その場形成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 05:53 UTC 版)
巨大ガス惑星が内側へ移動してきたとする説の他に、ホット・ジュピターのコアはより一般的に存在する系外惑星であるスーパー・アースとして形成され、現在の場所でガスを降着してその場で巨大ガス惑星になった、という別の仮説も提唱されている。これはラテン語で「本来の場所で」を意味する「in situ」から、「その場形成」(英: in situ formation) と呼ばれている。この仮説では、ホット・ジュピターのコアとなるスーパー・アースの起源としては、その場で形成される場合、あるいは円盤の外側で形成された後にガスのエンベロープを獲得する前に恒星付近まで移動してきた場合のどちらもが考えられている。 スーパー・アースはしばしば付近にさらなる惑星が存在するため、その場形成されたホット・ジュピターも付近に別の惑星が存在していることが期待される。局所的に成長しているホット・ジュピターの質量が増加すると、周囲の惑星に数々の影響を及ぼす可能性がある。ホット・ジュピターの軌道離心率が 0.01 より大きな値に維持されていた場合、永年共鳴によって付近にある惑星の離心率が増大し、ホット・ジュピターと衝突する可能性がある。この場合、ホット・ジュピターのコアは非常に大きなものになるだろう。もしホット・ジュピターの離心率が小さい場合、永年共鳴は付近の惑星の軌道面を傾ける場合もある。 従来はホット・ジュピターが現在の軌道の位置でその場形成するのは困難であると考えられてきた。これは、ホット・ジュピターの形成に必要な重いコアを形成するためには、円盤中の固体物質の面密度が 104 g/cm2 程度かそれ以上である必要があるからである。しかし最近の系外惑星のサーベイ観測では、惑星系の内側領域はしばしばスーパー・アース型の惑星によって占められていることが分かってきた。もしこれらのスーパー・アースがより遠方で形成されてから内側に移動してきたのであれば、その場形成でのホット・ジュピターの形成過程は、完全に「その場」ではないことになる。
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