「発見」までの経緯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/25 17:52 UTC 版)
「アブクマトラノオ」の記事における「「発見」までの経緯」の解説
福島県の阿武隈山地ではイブキトラノオ属の植物はよく知られていた。1987年刊行の『福島県植物誌』では、ハルトラノオ Bistorta tenuicaulis は「浜通り、中通りにややまれ」に分布、クリンユキフデ Bistorta suffulta は浜通り地方と中通り地方で「ごくまれ」に分布、とされていた。これは、このイブキトラノオ属の植物を春に観察し標本を採集した場合は、根茎や花序がハルトラノオに近いのでハルトラノオと同定し、夏に観察し標本を採集した場合は、葉の基部が深い心形になるのでクリンユキフデと同定していたと思われる。しかし、両種に当てるには形質が一致せず、正体不明であった。 1987-1988年に東北大学の池津純子は、阿武隈山地北部の植物相を研究していた。その時、同地に分布するイブキトラノオ属の植物は、ハルトラノオでもクリンユキフデでもないことに気づいた。同じ頃、仙台市在住のアマチュア植物研究者から東北大学教授の大橋広好に同様の研究依頼があり、研究はその後同大学の学生である米倉浩司に引き継がれた。米倉は阿武隈山地を詳細に調査し、この植物の生態と形態の変異を観察し、併せて国内のハーバリウムの標本と比較研究をした。その結果、この植物は宮城県南部と福島県にまたがる阿武隈山地の太平洋側に固有の新種であることが判明し、和名:アブクマトラノオ、学名: Bistorta abukumensis Yonek., Iketsu et H.Ohashi (1995). と命名記載された。
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