Return of the Obra Dinn
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/07 08:06 UTC 版)
開発
ルーカス・ポープは自身が子供のころに遊んだMacintosh Plus向け1ビットゲームのビジュアルを好んでおり、このスタイルで現代的な3Dゲームを作れないかとの考えが本作開発のきっかけとなっている[2][3]。当初のシステムはGiant Sparrow開発のソフト『フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと』に類似したもので、遺体に時計を使うことでその人物の視点となり死亡1分前からの状況をプレイヤーが再現するという内容だったが、実現には大変な作業が必要だと気づき、規模を縮小していく中で、対象人物が命を落とした瞬間の静止した世界を調べるというアイデアに行き着いた[4][5]。
オブラ・ディン号は1800年頃の実際の船を参考にしており、このサイズの船を動かすには最低120人程が必要という史実を踏まえ当初ゲーム内でも120人のキャラクターを登場させようと考えていたが、後に半数の60人に減らしている。一方で、本作には人魚やクラーケンといったファンタジー要素が含まれているが、これは多数の人物が登場する中で死因のバリエーションを増やすための措置である[3]。
2014年10月には数人のキャラクターが登場するゲーム冒頭部分のみのデモ版を配信し[3]、2016年にはゲームイベント「Game Developers Conference 2016」向けのデモ版も配信された。ここまでで自信を深めたポープは、乗員乗客の死が断片的に明かされていく物語を作り進め、新たなキャラクターを13人加えるなどしたバージョンを同年11月開催のゲームイベント「PAXオーストラリア」に持ち込んだ。ところが、物語の時系列が順不同であることを理解できていないプレイヤーたちの様子を目の当たりにしポープはショックを受ける。このことを踏まえポープはUIの改善に取り組み始めるが、一方で明示的なチュートリアルは用いたくないと考えていた。試行錯誤の末に本の形式を用いることにし、各場面に見出しをつけることやページをめくる直感的な操作により物語の時系列の把握が容易になった[6]。
注釈
出典
- ^ “奇才ゲームクリエイターLucas Pope氏インタビュー[開発編]。傑作『Return of the Obra Dinn』を生み出すため、いかに苦しみ抜いたのか(2/4)”. AUTOMATON (2019年7月19日). 2020年11月8日閲覧。
- ^ “『Return of the Obra Dinn』作者・ルーカス・ポープ氏と翻訳者・福市恵子氏が極上の推理アドベンチャーの秘密を明かす”. ファミ通.com (2019年10月18日). 2020年11月8日閲覧。
- ^ a b c “奇才ゲームクリエイターLucas Pope氏インタビュー[開発編]。傑作『Return of the Obra Dinn』を生み出すため、いかに苦しみ抜いたのか(1/4)”. AUTOMATON (2019年7月19日). 2020年11月8日閲覧。
- ^ “Lucas Pope on life after Papers, Please” (英語). Eurogamer (2017年11月2日). 2020年11月8日閲覧。
- ^ “奇才ゲームクリエイターLucas Pope氏インタビュー[開発編]。傑作『Return of the Obra Dinn』を生み出すため、いかに苦しみ抜いたのか(3/4)”. AUTOMATON (2019年7月19日). 2020年11月8日閲覧。
- ^ “How a book binds the Return of the Obra Dinn” (英語). Rock Paper Shotgun (2018年11月7日). 2020年11月8日閲覧。
- ^ “「The Game Awards 2018」各部門受賞作品リスト―『RDR2』が最多4部門受賞!【TGA2018】”. Game*Spark (2018年12月7日). 2020年11月8日閲覧。
- ^ “Titanium Awards 2018” (英語). Fun & Serious Game Festival. 2019年7月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月8日閲覧。
- ^ Rob Keyes (2019年1月3日). “2018 New York Game Awards Nominees Revealed” (英語). Screen Rant. 2020年11月8日閲覧。
- ^ “「God of War」が第22回“DICE Awards”のGOTYを含む9部門を制覇、“Celeste”の2冠を含む部門別受賞作品まとめ”. doope! (2019年2月14日). 2020年11月8日閲覧。
- ^ “2018 Awards” (英語). NAVGTR. 2020年11月8日閲覧。
- ^ “GOTYは『ゴッド・オブ・ウォー』に!「2019 SXSW Gaming Awards」受賞作品リスト”. GameBusiness.jp (2019年3月19日). 2020年11月8日閲覧。
- ^ “インディーゲームアワード「IGF Awards」第21回受賞作品決定!大賞は『Return of the Obra Dinn』”. Game*Spark (2019年3月21日). 2020年11月8日閲覧。
- ^ “Red Dead Redemption 2 leads list of GDC 2019 Choice Awards nominees!” (英語). Gamasutra (2019年1月4日). 2020年11月8日閲覧。
- ^ “[GDC 2019]「Game Developers Choice Awards」の大賞は「ゴッド・オブ・ウォー」に”. 4Gamer.net (2019年3月21日). 2020年11月8日閲覧。
- ^ “BAFTA Games Awards 2019 winners announced” (英語). Eneba (2019年4月5日). 2020年11月8日閲覧。
- ^ “Itarian Video Game Awards” (イタリア語) (2019年4月11日). 2019年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月8日閲覧。
- ^ “ニコニコ動画アワード2022”. ニコニコ. 2023年2月7日閲覧。
- Return of the Obra Dinnのページへのリンク