IEEE 1471
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/22 00:25 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動概要
IEEE 1471は、公式にANSI/IEEE 1471-2000 「ソフトウエア集約システムのアーキテクチャ記述のための推奨指針」 (Recommended Practice for Architecture Description of Software-Intensive Systems) として知られる標準の短縮名である。IEEE (Institute of Electrical and Electronics Engineers)用語で、これは、数あるIEEE標準の中でも最も少ない規範的標準の一つの「推奨指針」(Recommended Practice) である。2007年、この標準は ISO/IEC JTC1/SC7 によって ISO/IEC 42010:2007 「システムとソフトウエア工学--ソフトウエア集約システムのアーキテクチャ的記述のための推奨指針」 (Systems and Software Engineering -- Recommended practice for architectural description of software-intensive systems) として採用された[1]。
『アーキテクチャ(仕組)』は、長い間、システムのライフサイクルにわたる強い影響力を持つと認識されてきた。しかしながら、比較的最近になるまで、アーキテクチャ的思考の傾向は主にハードウエア課題に向けられており、全体から見てソフトウェア面は開発のプレッシャーから軽視されることが多かった[1]。IEEE 1471 は、ソフトウェア集約的システムのアーキテクチャについて考える基盤を提供するために作り出された。
IEEE 1471 の貢献は、以下のように要約できる(このリストで、イタリック体の項目は、その標準で定義されて使われている):
- それは、アーキテクチャ (architecture) 記述のためのメタモデルと定義を提供する。
- それは、アーキテクチャがシステムの利害関係者 (stakeholder) の関心 (concern) を取り扱うべきと明言する。
- それは、アーキテクチャ記述が本質的に多面的ビュー (multi-view) であり、全ての利害関係者の関心を適切に捉えた1つのビューは存在しないことを断言する。
- それは、視点 (viewpoint) とビュー (view) を分離する。視点は、関心のセットとそれらの関心を取扱うためアーキテクチャを記述するため使われる表現/モデリング技法を識別する。そしてビューは、1つの特定のシステムへ1つの視点を適用した結果である。
- それは、アーキテクチャ記述の要求内容と、アーキテクチャ記述に順ずることがその視点とそのビューの間に1対1の対応を持つという考えを確立した。
- それは、アーキテクチャの根拠を獲得することとアーキテクチャ記述内におけるビュー間の整合の無さ/未解決な課題を識別するためのガイダンスを提供する。
IEEE 1471-2000 は、IEEE 1471 で扱っている諸概念とRM-ODPや IEEE 12207 などの他の標準におけるアーキテクチャ概念とを関係付ける有益な付録を提供している。
歴史
1995年8月、IEEEのソフトウエア工学標準化委員会 (SESC) は、IEEEアーキテクチャ計画グループ (APG) へIEEE標準にアーキテクチャ的思考を取り入れるための方向性を設定する権利を与えた。1996年4月、アーキテクチャ作業グループ (AWG) がSESCによって作られた勧告を実現するため結成された。AWGの会長は Basil Sherlund、副会長は Ronald Wade と David Emery で、その仕様は Rich Hilliard が編集した。AWGには25人のメンバーがいた。草案には130人のレビュアーがコメントし、投票が行われた。2000年9月、IEEE-SA標準化委員会が、IEEE Std 1471-2000 としてその標準を承認した。
2006年、ISO/IEC 第1合同技術委員会 (JTC1) 、情報技術/サブ委員会 SC7 ソフトウエアとシステム工学は、特別な『最速持回り手順』の下、ISO/IEC 42010として採択し、並行してISOとIECの国家団体によっても承認された。ISO/IEC JTC1/SC7/WG42とIEEE CSによるこの標準の協調的改訂が2006年に始められ、ISO/IECの最速持回り投票の成功に続いてその標準のIEEE標準5年レビューが行われた。
2011年11月、IEEE 1471-2000 は ISO/IEC/IEEE 42010:2011 Systems and software engineering — Architecture description に置換された。
- ^ a b c d e ISO/IEC 42010:2007, Systems and Software Engineering -- Architecture Description
- ^ a b Architecture and Change
- ^ Description of IEEE 1471
- ^ IEEE Std 610.12−1990, IEEE Standard Glossary of Software Engineering Terminology.
- ^ IEEE 1471 Conceptual Framework
- 1 IEEE 1471とは
- 2 IEEE 1471の概要
- 3 アーキテクチャ記述の目的
- 4 IEEE 1471への遵守
- IEEE 1471のページへのリンク