香港特別行政区政府 中央政府との関係

香港特別行政区政府

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/31 00:38 UTC 版)

中央政府との関係

香港の自治権は、外交と防衛を含まない。そのため、香港の外交事務については外交部駐香港特派員公署が、防衛については人民解放軍駐香港部隊が香港に設置および派遣されている。香港における中央政府の代表部として中央政府駐香港連絡弁公室が設置されている。

香港基本法の規定により、中央政府は香港政府高官の任命権を持っている。その対象は行政長官、司長、副司長(未設置)、局長のほか、廉政専員(廉政公署の長官)、審計署署長(会計検査院長に相当)、警務処長(警察長官)、入境事務処長,海関長(税関長)を含む。ただし行政長官は選挙で選出されることになっており、他の高官は行政長官が指名するため、事実上の任命拒否権に近い。

公務員制度

香港政府本体の職員つまり公務員には、政務職系、行政主任職系、法定言語主任・同時通訳主任・校正員職系、訓練主任職系、文書・秘書職系のカテゴリーがある。いずれも中国語(広東語と普通話)、英語の能力が必須とされる。

給与水準は職系によって大きく異なる。一般職では日本よりやや低く、行政職系でほぼ同じである。一方、政務職系ではほぼ日本の倍程度の水準となり、さらに首長級に昇進するとさらなる高給が支給される。公務員最高位の決策局秘書長(D8、首長級甲一級政務官)では月給が21万香港ドル、日本円で300万以上と規定されている。部門である香港金融管理局の局長は、運用ファンドの成績次第とされつつも、実際には日本円で1億円を軽く超える報酬を得ている[1]。ただし、2001年以降、不景気や財政赤字の拡大を理由に、公務員の給与は多少低減されつつある。

政務職系(政務官)

政務職系(AO、Administrative Officer)は、公務員の中で最高ランクのカテゴリーであり、公務員の最高位である決策局秘書長への門戸が開かれている。問責制以後は公務員を退職する必要があるが、局長や司長に任命される機会もある(中国国籍の者に限る)。香港政府全体で583人(2006年末現在)いる。

大学卒業とともに、1級もしくは2級栄誉学士(学士のうち特に成績優秀なものに与えら得る称号)を取得していることが就職条件である。就職後2年間の訓練の後、海外の大学院へ留学する機会が与えられる。北京の清華大学で中国国内の事情や中央政府との関係に関する研修も行われている。最初の職務は、民政事務処で末端の行政を学ぶことであり、その後は原則3年に1度ポストを替わりつつ、香港政府のさまざまな部署での経験を積む。配属先は、決策局、部門、海外の出先機関などさまざまである[1]

返還前は、政務職系の多くがイギリス人であった。しかし、返還決定後、特にパッテン総督が就任してから、香港華人の登用が進んだ。現在でも、香港永住権があれば、外国籍でも政務職系を含む公務員になることができる。ただし、首長級と呼ばれる幹部クラスへの登用は中国籍の者に限定されており、イギリス人や英国籍の華人の昇進には限界がある。また、優秀な香港の学生が海外に留学していることも多いため、海外からの受験もスムーズに行えるよう採用試験の実施が工夫されている。

行政主任職系

行政主任職系(EO、Executive Officer)は、2番目のカテゴリーであり、主に執行部門での行政事務を担う。2122人いる。大学卒業が就職条件であるが、海外研修の機会が与えられていない[2]

その他

その下に位置するのが、文書・秘書職系であり、いわば一般職である。約2万人強いる。法定言語主任・同時通訳主任・校正員職系は、その名の通り、政府文書を英語と中国語で作成したり、翻訳する専門職である。合計で600人強。訓練主任職系は公務員への訓練プログラムを担っており、70人強(いずれも、2006年末現在)いる。




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