障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律 障害者虐待の現状

障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/07 01:18 UTC 版)

障害者虐待の現状

2023年3月24日の厚生労働省の公表によれば、2021年度、全国の自治体が把握した家庭や施設で虐待を受けた障害者は2960人(前年度比295人増)で、調査を始めた2012年度以降で最多。家族などの養護者から虐待を受けた人は2004人(68%)、施設職員らから虐待を受けた人は2013年度と比べて2倍以上。虐待の内容(複数回答)は、身体的虐待が57%で最多、心理的虐待が42%、性的虐待が15%。障害別にみると、知的障害が73%、身体障害が17%、精神障害が15%。施設や事業所の種類別では、グループホームが23.2%で最多。発生要因(複数回答)は、教育・知識・介護技術などに関する問題64.5%、職員のストレスや感情コントロールの問題54.8%、倫理感や理念の欠如50.0%。自治体などへの相談・通報は、1万545件(前年比1124件増)。なおこの調査では精神科病院は含まれない[2]

通報窓口・相談援助機関

市町村・都道府県の部局又は施設に、障害者虐待対応の窓口等となる「市町村障害者虐待防止センター」・「都道府県障害者権利擁護センター」を設置し、相談援助、地域での虐待防止、通報の窓口としての機能を果たさせることとなっている。職員には罰則付きで守秘義務が課せられている。

  • 市町村障害者虐待防止センターの業務(法第32条)
    1. 虐待の通報・届出を受理
    2. 相談・指導・助言
    3. 広報・啓発

また、施設や職場での虐待において、虚偽や過失なく(本当のことを正確に)通報、届け出た場合、通報者は解雇その他の不利益取り扱いから保護される。

2013年(平成25年)11月には、千葉県社会福祉事業団が運営する施設で、利用者が虐待死する事件が発覚し、千葉県庁第三者委員会が調査・報告書を提出している。

問題点

問題点として挙げられるのは、各種学校医療機関病院診療所)での虐待に関する罰則規定がないことである。そのため、3年後を目途として法の見直しの際の検討課題となっている[注釈 6]


注釈

  1. ^ たたく、つねる、なぐる、蹴る、体を激しく揺さぶる、突き飛ばす、投げ落とす、熱湯を飲ませる、異物を食べさせる、監禁するなど。
  2. ^ 裸の写真やビデオを撮る、理由もなく不必要に身体に触る、わいせつな図画を配布する、性的暴力をふるう、性的行為を強要するなど。
  3. ^ 脅迫する、怒鳴る、悪口を言う、拒絶的な反応を示す、意図的に恥をかかせるなど。
  4. ^ 食事を与えない、意図的に無視する、放置することで健康・安全への配慮を怠るなど。
  5. ^ 本人の了解を得ずに現金を引き出す。収入を没収する、横領する。賃金等を支払わない、賃金額が最低賃金に満たない、使用者が強制的に通帳を没収するなど。
  6. ^ 病院での障害者に対する虐待事件として『宇都宮病院事件』が挙げられる[3]

出典

  1. ^ 日本法令外国語訳データベースシステム
  2. ^ 障害者虐待、最多2960人 家庭や施設、自治体把握分 21年度:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞. 2023年3月25日閲覧。
  3. ^ 【談話】障害者虐待防止法の成立にあたって』(プレスリリース)民主党、2011年6月17日http://www.dpj.or.jp/article/20271/【談話】障害者虐待防止法の成立にあたって2012年10月7日閲覧 





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