軍事費 軍事費の概要

軍事費

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/27 01:34 UTC 版)

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2014年に於ける世界の対GDP比に於ける軍事支出
2005年に於ける世界の軍事支出

日本では、自衛隊自衛隊法により「自衛や治安維持のための必要最小限度の実力」という設立目的が定められていることから、自衛隊用語により「防衛費」と呼ばれる。

概説

軍事費とは、ある国家から見て、戦争が起きていない時(=平時)においては、軍の維持費という性格を持ち、戦時においては戦費という性格を持っている。

軍事費は狭義には、陸軍海軍空軍人件費給料採用の費用 等)、装備の維持や拡張などのための経費を指す。よっておおむね陸・海・空各軍の所管経費を合算したものを指す。広義には治安部隊や国境警備隊沿岸警備隊(日本では海上保安庁)といった準軍事組織、軍事に活用できる技術の研究開発(R&D)投資なども含む。

国ごとに予算上の分類方法や公開度合いは異なっている。自由民主主義国家では議会報道機関、研究者、世論などによる監視があり、軍事予算の総額を大きく偽ることは難しい。一方、独裁的な政府では外国から軍事的能力を推測・警戒されることを避けて国際社会に平和愛好国とのイメージを広げ、国民の不満を抑えることなどを目的に、軍事費を少なく見せることが珍しくない。例えば日本防衛省は、中国の軍事費は国家予算の他項目に分散されており、実際には公表国防費の約1.5倍と推計している[3]

軍人恩給費や軍備拡張の財源確保のために発行する公債の元利償還の費用(=利子の支払い)なども、広義には軍事費に含むことがある。

したがって、一言で「軍事費」と言っても、国ごとに指す内容がいくらか異なっていることがある。よって、比較をする場合などは、若干の補正が必要な場合がある。

軍事費の内訳としては一般に、人件費関係が最も大きな比率を占める。

軍事費の出所は基本的に、ひとりひとりの国民が払っている税金である。他にも戦争が迫っている時などに政府が必要に迫られて発行する公債によって調達するお金(借金)も加わる。

なお2016年現在、世界の軍事費は米国、中国ロシアの順に大きく、世界のGDP総額の2.3%を占めている[4]。 2019年IISSによると、世界の軍事費は前年比4%増(過去10年で最高の伸び率)の約190兆円になった[5][6]

また中国人民解放軍イラン革命防衛隊など、傘下に企業他の経済事業体を持つ軍隊も発展途上国には多い。その内容は、兵士が消費する食料を自家生産する農場から、軍用トラックを使った運送業、兵器輸出まで幅広い。こうした経済活動により、軍は食料などの購入費を節約したり、国家予算以外の収入を得たりできる。

軍隊と経済

軍事力を持つということ、つまり軍隊を持ちそれを維持するには、将兵の人件費類に加えて、兵器の開発・調達費、日常的な訓練の経費、弾薬燃料の備蓄費用などがかかる。国家が軍事力を維持するには、その経済的な基盤が必要となる。

もっとも、経済的視点から見ると、軍隊というのは非生産組織であるため[7]投資が行われても再生産によって投資金額が回収されることはなく、ひたすら消費するのみである[8]。一般論として言うと、好況時に軍隊・軍事部門に労働力が奪われることは民間部門の経済活動を阻害する場合が多い。ただし、不況時などで民間企業が必要とする以上の労働力がある場合には、過剰な労働人口に対して軍需産業や軍隊で雇用および福利厚生を提供する性質も備えており、彼らによって消費が維持されることによって景気の過度な落ち込みも抑制される効果が期待される。ただし軍事費は通常、国民からの税金によって支払われるためさらに需要を低下させる可能性もある。

様々な経済モデル

軍事費の規模を導くモデルのひとつとして、ルイス・フライ・リチャードソンのモデルがある。これは、X,Yをそれぞれ軍備、kは脅威係数、aは消耗係数、gはY国へのX国の警戒感として、△X=kY-aX+gという式で現す。要するに、X国の軍事費の規模はY国の脅威をX国の武力で相殺した上でのY国に対する警戒度を足したものだと考えて表現している。

またフリードマン・モデルにおいては、UはX国の軍備有効度、IはXの消耗係数、KはXの脅威係数として、Uk=I×X2乗+K×(X-Y)2乗で現す。このモデルでは両国の勢力の差が2乗されることによって強調されている。




  1. ^ World military spending: Increases in the USA and Europe, decreases in oil-exporting countries”. ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)ホームページ. 2017年4月29日閲覧。
  2. ^ 世界の軍事費185兆円 アジア4.6%増 領有権問題で緊張続く「読売新聞」朝刊2017年4月25日
  3. ^ 中国の国防費”. 防衛省資料. 2018年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年4月29日閲覧。
  4. ^ http://www.epochtimes.jp/2016/04/25504.html
  5. ^ 京都新聞2020年2月16日朝刊
  6. ^ 世界の19年軍事費は4%増”. 共同通信 (2020年2月15日). 2020年2月20日閲覧。
  7. ^ つまり生産性がゼロである
  8. ^ エコノミスト」のハーストはこの点を取り上げてあらゆる軍備は浪費であると論じた。同時に世界的かつ恒久的な平和が実現されるまでは軍備は絶対に必要であるとも論じた。またアダム・スミスも軍事費の必要性は国家にとって防衛の必要から普遍的にあると論じた。
  9. ^ “NATO国防費負担増/独仏、2%目標「幻想」/財政事情が影響”. 毎日新聞朝刊. (2017年2月22日). https://mainichi.jp/articles/20170222/ddm/007/030/166000c 
  10. ^ http://www.news.com.au/world/asia/north-korea-spends-whopping-22-per-cent-of-gdp-on-military-despite-blackouts-and-starving-population/news-story/c09c12d43700f28d389997ee733286d2
  11. ^ Frank Harris (editor) (February 1898). Saturday Review Magazine 
  12. ^ Terror attacks drive public support for higher military spending A. Tovey, The Daily Telegraph, 18 Jul 2016


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