時空警察ヴェッカーシグナ
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概要
オリジナルビデオ作品『時空警察ヴェッカー』、その続編のテレビドラマ『時空警察ヴェッカーD-02』に続く作品。前2作同様に時空犯罪から時間と歴史を守る時空刑事(ヴェッカー)という基本設定を題材としているが、本作品は正規のヴェッカーが主人公である前2作とは異なり、ヴェッカーとなるために未来から現代を訪れた候補生たちの成長と活躍を描く物語である[1]。
監督の畑澤和也によれば、当時、特撮ヒロイン作品が安易に多数製作されていると感じたことから、再度、そのジャンルに真剣に挑んでみたいと思ったことが、本作品の製作の発端という[1]。当初はヴェッカーシリーズではなく、まったく新たな作品として構想されていたが、ヴェッカーの名を記憶している関係者や企業が多く現れたことから、敢えてヴェッカーシリーズの1作品として位置づけられた[1]。DVD第1巻の特典映像でも畑澤は同様に、新たな作品として企画した内容がヴェッカーに酷似していたため、「もう一度『ヴェッカー』をやるという手もある」と発言したところ、賛同する関係者や企業が多かったため、皆がヴェッカーを記憶していることを痛感し、再度ヴェッカーの製作に挑んだと語っている[2]。
変身シーンを省略した『D-02』と異なり、第1作同様に主人公たちがヴェックフォームと呼ばれる制服姿から、エクスターナルフォームと呼ばれる素顔を隠した戦闘スーツ姿に二段変身することも特徴のひとつ。前作『D-02』ではヴェックフォームが変身体として設定され、素顔を隠した戦闘スーツ姿(クロノスーツ)は最終回のクライマックス時のみ登場するイレギュラー的な存在として位置づけられていたが、本作品ではこのイレギュラーである戦闘スーツ姿が毎回、レギュラーとして登場することとなった[3]。
本来はDVDソフトのみの予定であったため[4]、地上波ではDVD1枚分のドラマを30分番組として前・後編に再編集して放映された。
放映局の都合上、リアルタイムで視聴できる地域は限られていたが、放映月にあわせてDVD全6巻がバップから発売され[4]、放映局の地域外でも視聴可能となった。
作風は、畑澤が「スポ根や青春ドラマに近い」と形容しているように、個性豊かな候補生たちが数々の出来事を通じて一つのチームとしてまとまっていくことをテーマの一つに掲げており[3]、前作までと比較するとキャラクターの描写に重点が置かれていることが特徴。特にそれは候補生ゆえの任務に対する葛藤や、中盤でのシグナレナリーとキリーの衝突を機にシグナのメンバーの心がバラバラになり、再び団結してゆくという流れに色濃く現れている。反面、前作までの大きな題材であった「時間」の要素が希薄となっており、このことは本作品でシナリオライターを務めた兵頭一歩も反省点として挙げている[5]。
キャスティング
畑澤の「著名な俳優ではなく、まだ色の付いていない俳優が演じることで、その俳優ではなくキャラクターそのものを表現したい」との意向により、一般公募で出演者陣を選定[6]。加えて、「時空警察」という舞台装置の中でのキャラクターの成長を表現するため、オーディションではあえて15歳以下の俳優から主人公陣が選出された[7]。その過程で、選定当時で芳紀11歳の現役小学生、シリーズ最年少のキャスティングである葉月あいが主人公・春日さりあ役に抜擢され、他の主人公陣も葉月の年齢に近い中から選出した結果[8]、平均年齢14歳のジュニアアイドルが主人公陣を演じることとなった[9]。このうちの4人は、Signaly'sの名のユニットでエンディングテーマも担当している。
主要人物はシグナ4人に加えて、時空特捜キリー・桐乃かすみを加えた5人と設定されている[3]。この5人のうち、秋葉えみりを変身しない人物、桐乃かすみを他の4人とは別の立ち位置の人物と設定することにより、同様の複数キャラクターによるシリーズ作品との差別化が図られている[3]。
男性キャラクターでは、『ウルトラマンメビウス』などでスーツアクターをこなした和田三四郎がシリーズ初の男性の変身キャラクターとして変身前後共に出演。さらに第1作で制作に携わった上に自らも出演をこなし、特撮ヒーローの大先輩でもある渡洋史が脇を固めている。和田の演じる「時空刑事オリオン」は、本作品中では主人公陣に先んじて最初にデザインが起こされたキャラクターであり、作品の世界観を代表するキャラクターとして設定されている[3]。
前作以前のシリーズのほかのキャラクターとしては、第1話で『D-02』のレギュラーの1人・時空刑事サキを演じた西村優子が[10]、終盤で第1作第1話の主人公・時空刑事ユリーを演じた天野めぐみがゲスト出演。また本編の登場人物ではないが、『D-02』の時空刑事ハル役の森本さやかがDVDの特典映像のナレーションを担当している[11]。
『ウルトラマンレオ』の主演俳優である真夏竜が第1話に特別出演したことも、特撮ファンの間では大きな話題となった[8]。真夏の演じる敵キャラクター・獅子皇は、作中でウルトラマンレオ同様に指輪を変身アイテムとしているが、これは真夏が出演オファーを受けた際に自ら希望したもので、その希望をもとに指輪のプロップが作られたという[12]。
商品化
フィギュア玩具として長い歴史を持つミクロマンとのコラボレーションによるシグナのフィギュアが、企画面での協力者でもあるタカラトミーのホビー開発チーム・安彦一民らの尽力により、作中で語られない裏設定を映像化した特典DVDを添付し、放映に伴って発売された(一部はキャンペーン限定商品)。
ヴェッカーシグナがミクロマンシリーズの一環として発売されたことは、第1作のオリジナルDVD版『ヴェッカー』が安彦らによりフィギュア化されたことが縁となっている[13]。開発に際しては、すでに商品化されていた「ミクロマン200X」のシリーズをベースとしたため、特撮番組のフィギュアとしては異例の早さで商品化された[14]。また安彦の発案により、このフィギュアは作中でも時空刑事のサポート用小型ドロイド「レディ」または「バディ」という設定で、小道具としても活用された[14]。
渡演じる「時空刑事エクスヴァーン」も安彦の要望で生まれたキャラクターで[3]、安彦が個人的に渡の大ファンという事情もあり、渡が演じた『宇宙刑事シャリバン』と『時空戦士スピルバン』を強くイメージしたデザインとなっている[15][16]。
放映終了後の展開
2009年、本作品を含む『ヴェッカー』シリーズの外伝として、時空刑事オリオンを主人公とした劇場版作品『時空警察ハイペリオン』が公開され、『シグナ』の主人公陣も引き続き登場している[17]。
2011年には、シリーズ初の舞台作品『時空警察ヴェッカーサイト』が上演され、しほの涼がゲスト出演した[18]。同2011年の舞台第2弾『時空警察ヴェッカーχ ノエルサンドレ』では彩月貴央演じるキャラクター・夏沢るり香が別設定で登場し[19]、しほのも再びゲスト出演を果たした[20]。
注釈
出典
- ^ a b c 特撮ニュータイプ 2008, p. 94
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.1「Signa 候補生たち」』(DVD)バップ、2007年7月25日、該当時間: 24:30。VPBT-12779 。(特典映像『Signa Report FILE』)
- ^ a b c d e f 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.2「Digna 未来の価値」』(ブックレット)2007年(原著2007年)。VPBT-12780。
- ^ a b 宇宙船 2008, p. 30
- ^ a b c 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.5「Kizuna 友情」』(ブックレット)バップ、2007年(原著2007年)。VPBT-12783。
- ^ “市川由衣、小倉優子らが出演した伝説の特撮が復活”. Web De☆View (オリコン・エンタテインメント). (2007年1月26日). オリジナルの2012年7月12日時点におけるアーカイブ。 2014年11月8日閲覧。
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.1「Signa 候補生たち」』、該当時間: 24:57。(特典映像『Signa Report FILE』)
- ^ a b 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.3「Festa 謝肉祭」』(ブックレット)2007年(原著2007年)。VPBT-12781。
- ^ a b “『時空警察ヴェッカーシグナ』製作発表記者会見”. スクランブルエッグ (2007年4月25日). 2022年4月9日閲覧。
- ^ a b 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.1「Signa 候補生たち」』(ブックレット)2007年(原著2007年)。VPBT-12779。
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.5「Kizuna 友情」』(DVD)2007年11月21日、該当時間: 27:46。VPBT-12783。(特典映像『Signa Report FILE』)
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.1「Signa 候補生たち」』、該当時間: 35:09。(オーディオコメンタリー)
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.2「Digna 未来の価値」』(DVD)2007年8月22日、該当時間: 19:12。VPBT-12780。(特典映像『Signa Report FILE』)
- ^ a b 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.2「Digna 未来の価値」』、該当時間: 20:31。(特典映像『Signa Report FILE』)
- ^ 安彦一民 (2007年11月). “ミクロマン2007 ウイングマンという青春が甦る! 最注目はウイナア初の立体化!”. 月刊タカラホビー.com. タカラトミー. 2012年3月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年11月8日閲覧。
- ^ 安彦一民 (2008年1月). “ミクロマン2007 時空警察の伝説的存在が、特撮ファンを熱くする!”. 月刊タカラホビー.com. 2014年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年11月8日閲覧。
- ^ 時空警察ハイペリオン - allcinema
- ^ “Cast&Staff”. 時空警察ヴェッカーサイト. ダブルフォックス (2011年). 2013年4月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年11月8日閲覧。
- ^ “SUPER☆GiRLS 宮崎理奈&八坂沙織が舞台に初挑戦”. @nifty タレント図鑑 (ニフティ). (2011年10月12日). オリジナルの2012年7月18日時点におけるアーカイブ。 2014年11月8日閲覧。
- ^ “キャスト”. 時空警察ヴェッカーχ ノエルサンドレ. アリスインプロジェクト (2011年). 2013年11月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年5月11日閲覧。
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.1「Signa 候補生たち」』、該当時間: 22:11。
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.1「Signa 候補生たち」』、該当時間: 28:51。
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.1「Signa 候補生たち」』、該当時間: 08:41。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p “Characters”. 時空警察ヴェッカーシグナ (2007年). 2019年6月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年6月1日閲覧。
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.1「Signa 候補生たち」』、該当時間: 16:55。
- ^ 玩具『ミクロマンMWS-01 時空警察ヴェッカーシグナ・シグナサリー&シグナルリーセット』パッケージのキャラクター解説より。
- ^ a b “Story”. 時空警察ヴェッカーシグナ:公式サイト. レイアップ (2007年). 2015年5月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年6月1日閲覧。
- ^ a b 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.1「Signa 候補生たち」』、該当時間: 37:38。(オーディオコメンタリー)
- ^ a b 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.3「Festa 謝肉祭」』(DVD)2007年9月25日、該当時間: 12:19。VPBT-12781。
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.1「Signa 候補生たち」』、該当時間: 44:42。(オーディオコメンタリー)
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.1「Signa 候補生たち」』、該当時間: 15:20。
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.1「Signa 候補生たち」』、該当時間: 24:25。
- ^ a b c d e f g h i j 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.6「Sign 未来へのサイン」』(ブックレット)2007年(原著2007年)。VPBT-12784。
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.5「Kizuna 友情」』、該当時間: 04:53。(特典映像『Signa Report FILE』)
- ^ 玩具『ミクロマンMWS-04 時空警察ヴェッカーシグナ・エクスヴァーン&グランミラーセット』パッケージのキャラクター解説に、エクスヴァーンの正体がヴァーンであり、装備がエクスターナルフォームでなくクロノスーツとの記述がある。
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.1「Signa 候補生たち」』、該当時間: 33:11。
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.1「Signa 候補生たち」』、該当時間: 35:20。
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.1「Signa 候補生たち」』、該当時間: 18:58。
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.1「Signa 候補生たち」』、該当時間: 19:12。
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.1「Signa 候補生たち」』、該当時間: 11:25。
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.1「Signa 候補生たち」』、該当時間: 18:46。
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.1「Signa 候補生たち」』、該当時間: 11:40。
- ^ a b c d e f g h i “Staff&Cast”. 時空警察ヴェッカーシグナ:公式サイト (2007年). 2012年8月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月26日閲覧。
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.6「Sign 未来へのサイン」』(DVD)2008年12月12日、該当時間: 14:18。VPBT-12784。(特典映像『Signa Report File』)
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.3「Festa 謝肉祭」』、該当時間: 42:26。
- ^ a b 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.6「Sign 未来へのサイン」』、該当時間: 45:22。
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.5「Kizuna 友情」』、該当時間: 45:17。(特典映像『Signa Report FILE』)
- ^ 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.6「Sign 未来へのサイン」』、該当時間: 08:04。(特典映像『Signa Report File』)
- ^ a b 『時空警察ヴェッカーシグナ Phase.2「Digna 未来の価値」』、該当時間: 50:19。
- ^ “On Air Schedule”. 時空警察ヴェッカーシグナ (2007年). 2019年6月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年6月1日閲覧。
固有名詞の分類
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