因果力学的単体分割
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関連する理論
CDT にはループ量子重力理論との類似点がいくつかあり、特にスピン泡による定式化が似ている。たとえば、ローレンツィアン・バレット–クレーンモデルは本質的には経路積分を非摂動論的に計算する処方であり、CDT と同じである。しかし、重要な違いもある。ループ量子重力理論のスピン泡定式化は異なる自由度と異なるラグランジアンを利用する。例えば、CDT では単体分割により得られるなんらかの2点間の距離もしくは「間隔」は厳密に計算することができる(単体分割は距離演算子の固有状態である)。これは、スピン泡や一般のループ量子重力理論では成り経たない。
ほかにも因果力学的単体分割とよく似た量子重力理論として、因果集合と呼ばれるアプローチがある。CDT と因果集合の両方が時空を離散的な因果構造によりモデル化しようとしている。主な違いは、因果集合アプローチは比較的一般的で、CDT はより特定の関係を時空上の事象と幾何に仮定する。したがって、CDT のラグランジアンは明示的書き下して解析することが可能な程度まで初期仮定により拘束されている(例えば hep-th/0505154, 5ページ参照) 因果集合理論においては作用を書き下せる程度よりも多くの自由度が存在する。
参考文献
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- この主題に関する初期の論文
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- Causal dynamical triangulation on arxiv.org
関連項目
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