原野商法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/15 14:00 UTC 版)
外国人相手の原野商法
日本人だけではなく、外国人も日本の原野を高値で買わされる。
2010年代以降、日本では原野商法そのものの被害よりも原野商法の被害者に対する二次被害が中心となる一方で、海外富裕層に法外な価格で日本の土地を購入させる外国人相手の土地取引が急増している[4]。2010年に「ニセコ」の土地を中国資本が購入したことが報道され、問題となった(なお「ニセコ」と言ってもニセコ町にあるとは限らない。ニセコ町まで1時間くらいなら詐欺師は平気で「ニセコ」と称する)。販売されるのは観光施設や別荘として活用できるような土地ではなく、道路も通っていない上に年間のかなりの期間が雪に閉ざされる人跡未踏の原野であるが、外国人富裕層(いわゆる「成金」)の間では海外の有名観光地に土地を持つのがステータスと言うことと、また日本の庶民とは金銭的な価値観が違うこともあり地図の上では有名観光地域にあるというだけの人跡未踏の原野を法外な価格と納得した上で購入する人も多い、と業者は主張しており、2010年代に活発に販売された。海外富裕層相手のブローカーは、牧場経営などに失敗した日本人が多かったという。
それに関連して、「中国に日本の水源が狙われている」という説が日本国内でインターネットの噂として起こり、前述の「水源地投資詐欺」につながった。NHKの2018年の記事によると、この説が起こったきっかけは、2010年に北海道議会における調査により、中国やシンガポールの法人や個人が北海道の土地を多数購入していることが発覚したことで、それを一部メディアなどが取り上げたことで有名になったという[4]。しかしNHKが調査した結果では、2018年までに土地が実際に水資源をめぐるビジネスなどに使われたケースは確認できず、NHKは「狙われていたのは水資源ではなく、海外の富裕層だった可能性」[4]を指摘している。
アジアの富裕層が、タックスヘイブンに拠点を置くペーパーカンパニーを介して、ニセコエリアを中心とする日本の不動産を常識では考えられないほどの価格で売買している理由としては、NHKの調査でたどり着いた香港のエージェントによると、財産の保護のためで、こうすることで税務署に取引の事実を把握されず、税金を払わずにすむ、とのこと[56]。これは「不動産化体株式の譲渡」と呼ばれる手法で、「脱税」ではなく、「節税」(合法)であるとのこと。
- ^ 投資詐欺にご注意を 気をつけるべき6つのポイント。相談窓口もご紹介。 - 政府広報オンライン
- ^ キャンプブームに乗って購入も後悔する若者…50万円で1000坪以上の物件もある「山」、それでも気軽に手を出してはいけないワケ - ABEMA TIMES
- ^ より深刻に!「原野商法の二次被害」トラブル-原野や山林などの買い取り話には耳を貸さない!契約しない!- 国民生活センター
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- ^ スクープ!三浦瑠麗が夫の会社から「385万円の太陽光コンサル料」を受け取っていた「証拠書類」入手 FRIDAYデジタル
- ^ 土地抱き合わせ融資 不動産会社「リベレステ」社長ら3人逮捕 出資法違反容疑 - 産経ニュース
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- ^ 投機型分譲地と成田空港 - 吉川祐介のYouTube
- ^ 国民生活 2018年6月号【No.71】(2018年6月15日発行) 国民生活センター
- ^ 止まらない!!増え続ける原野商法の二次被害トラブル(発表情報 )] 国民生活センター
- ^ 原野所有者に管理委託契約させた事業者に業務改善指示 東京都
- ^ “「あなたの土地、買いたがってる人がいるよ。」同一人物を次々に紹介し測量・整地代金を不当に搾取・・・など原野商法二次被害!!6社に対し指示・勧告!!”. 2018年5月22日閲覧。
- ^ 千葉の限界ニュータウン「まさに荒れ放題」…「自分の土地はどこか」と尋ねる人も 読売新聞オンライン
- ^ 限界ニュータウン狙う悪質業者、なぜいなくならないのか 楽待不動産投資新聞
- ^ 戸所岩雄氏設計・監修の伊勢志摩のリゾートが販売開始 - 伊勢志摩経済新聞
- ^ 実家の相続[下] 原野商法で買った土地、相続放棄ってできる? スーモジャーナル
- ^ 会議情報は“第11回投資等ワーキング・グループ 議事次第”. 内閣府 規制改革推進会議 会議情報. 2018年2月1日閲覧。 レポートは、“電子政府から見た土地所有者不明問題” (pdf). 内閣府. 2018年2月1日閲覧。
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- ^ キタサンショウウオが絶滅の危機 背景に太陽光発電の建設ラッシュ 毎日新聞
- ^ 協会のトラスト地 公益社団法人 日本ナショナル・トラスト協会 ホームページ
- ^ 【北海道が危ない】学生16人が現地を視察 「われわれも問題意識を 」 - 産経ニュース
- ^ 法務省:地図データのG空間情報センターを介した一般公開について 法務省
- ^ マップルラボ「MAPPLE法務局地図ビューア」 マップル
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