ミニバン ミニバンの概要

ミニバン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/12 01:02 UTC 版)

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トヨタ・エスティマ(3代目・改良型)
日産・プレサージュ(2代目・後期型)

概要

ミニバンは、規格や技術的な定義は存在しないが、スペース効率を上げるため着座姿勢が立ち気味(アップライト)で、全長に対する室内長と室内高は比較的大きい車種を示す。1.5BOX、2BOX、ワンモーションとも言われる車体形状を包括し、欧州ではMPVピープルムーバーモノスペースとよばれる場合が多い。一般に乗車定員は6名以上であるが(乗車定員が5名以下のミニバンは実質的にトールワゴンまたはステーションワゴンに分類される)、日本独自規格の軽自動車の場合は4名である。

メーカーの販売戦略上、乗用車の一形態として位置付られ商用車との差別化を図るため、商用車ベースであるキャブオーバースタイルのいわゆるワンボックスカーバンと区別される。小型自動車の場合はミニバンと呼ばれずに、トールワゴンや場合によってはコンパクトカーと呼ばれ、大型のミニバンと区別される。ミニバンタイプの軽自動車の場合はミニバンと呼ばずにトールワゴン・ハイトワゴンと呼ばれることが多い[注 1]

「ミニバン」はアメリカにおける「フルサイズバン」を基準とした呼称であるが、「フルサイズバン」が一般的でない日本では、「ミニバン」の「ミニ」に「小さい」バンであることを表す必要はないという意見もある[2][注 2]。また、「バン」は本来貨物車であるバン: Van)を意味したが、米国においては厳密な区別なく用いられており、「ミニバン」にも貨物車を表す意味はない[2]

行政による区分は、アメリカでは商用車ライトトラックとして安全性や排ガス規制が緩和され、日本では乗用車ステーションワゴンとされるなど、国により取り扱いが異なる。

歴史

日産・プレーリー(初代・前期型)

日本では、1975年(昭和50年)の第21回東京モーターショー(東京晴海)にトヨタからマルチパーパスワゴンMP-1が参考出品されている。トヨタはステーションワゴンをアレンジしたRV系の車を以前から参考出品していたが、より実用的な方向として多目的ワゴンのMP-1が開発された。

日本では多人数が乗れる乗用車という視点から1982年(昭和57年)8月発表の日産・プレーリー[3]1983年(昭和57年)2月発売の三菱・シャリオ [4] が日本でのミニバンの始祖といわれる[5]三菱自動車シャリオの開発を1977年(昭和52年)に開始し、コンセプトカーのSSW(スーパースペースワゴン)を1979年(昭和54年)の第23回東京モーターショーに参考出品発した。

ダッジ・グランドキャラバン
(初代・後期型)

アメリカでは、「クライスラーKプラットフォーム」という乗用車のモノコックベースで製作されて1983年に1984年モデルとして発売されたクライスラーダッジ・キャラバン(現在のジャーニー)2代目およびプリマス・ボイジャー (Voyager) 2代目が北米サッカーマム達に受け入れられ[注 3]、ミニバンのスタイルを決定付けたオリジナルとされる。この型はのちにもう一つの姉妹車種であるクライスラー・タウンアンドカントリー英語版としても販売され、さらにその後の世代交代で姉妹車種が集約され、クライスラー・ボイジャーも生まれた。バン型で、フルサイズよりもはるかに小さいことからミニバンとの名称が使用されるようになったが、FFの乗用車ベースで、床が低く、乗り心地に優れるというのが大きなセールスポイントの一つでもある。

一方、日本でキャブオーバーワンボックスカーと認識されているトヨタのタウンエース/マスターエースサーフだが、米国では「Toyota Van」として同年に発売され、これがキャラバンと並び、米国ではミニバンの始まりの一車種とされている(英語版: Minivan § History)。

ゼネラルモーターズ (GM) はキャラバンに対抗して、ライトトラックのフレーム構造をベースとしたフルサイズバンシボレー・エクスプレス / シェビーバン)の縮小版として、1985年に、シボレー・アストロ、GMCサファリを出したが、乗り心地の点で乗用車には及ばず、キャラバンには対抗できなかった。フォードもGM同様、トラック・プラットフォームであるフォード・エコノラインの一クラス下として、1985年にエアロスターを発売している。クライスラー以外はいずれも商用車ベースで、二輪駆動の場合はFRである。

ルノー・エスパス(初代・後期型)

ヨーロッパでは1984年に発売が開始されたルノー・エスパスがミニバンに相当する最初の車種として知られている。エスパスは、当時クライスラー社の欧州子会社(欧州クライスラー)が自社ブランドのシムカから発売しようとマトラ社に製作を依頼していたものだった。マトラ社は1977年にはかなりの開発を進めていたが、エスパスとなるまでに時間を要したのは、クライスラーが欧州から資本を引き上げたためだった。

日欧米の最初のミニバンが共にクライスラーがらみであったためミニバンの源が三菱、日産かマトラか、あるいはクライスラーかは議論の的となる。米国ではクライスラーが最初であるとされ、一方フランスではマトラが最初とされている。


注釈

  1. ^ パーク24株式会社の集計では、セダン、ミニバン、ワンボックスと言ったレベルに軽自動車が含まれる[1]
  2. ^ 全幅が小型車の基準外で3ナンバーとなっているバンを「ミニバン」と称する人もいる。
  3. ^ そのためかアメリカでのミニバンに対する見方は日本とは大きく異なり、例えばPimp My Rideでミニバンをベース車にする回(トヨタ・バン(マスターエース)(Season2 第15回)やダッジ・キャラバン(Season3 第4回)など)では「ママのバンだ」、あるいは「若者がミニバンに乗ることになるなんて最悪だ」と言った旨の発言がしばしば見受けられる。
  4. ^ ただし、車高が高く全体的に箱型でユーティリティを重視した車種であれば、たとえ2列シートでもメーカー自ら「ミニバン」と称するケースもある。さらに、同一車種でも2列シートモデルと3列シートモデルが用意される場合もあるため、3列シートの存在の有無はミニバンの分類の根拠にはならない。
  5. ^ なおステーションワゴンを3列シートにしてしまうと、その多くはストリームプリウスαのようにステーションワゴンではなくミニバンとみなされる。
  6. ^ 側面衝突時の横転の様子 → JNCAP公開衝突試験映像「ホンダ・ステップワゴンYouTubeWebCG公式)

出典

  1. ^ 【パーク24】男性はセダンが好き。女性は軽自動車が好き。~性別、世代を超えて憧れのクルマはBMW~ パーク24株式会社
  2. ^ a b 近藤暁史 (2018年4月26日). “クルマのジャンルで耳にする「バン」って何?”. WEB CARTOP. 株式会社交通タイムス社. 2018年4月26日閲覧。
  3. ^ 日産自動車. “会社と商品の歴史 1980年代”. 会社情報. 日産自動車. 2020年2月1日閲覧。
  4. ^ 三菱自動車. “DETAIL 1983 シャリオ”. 歴代車種一覧. 三菱自動車. 2020年2月1日閲覧。
  5. ^ ミニバン文化の発展(1994年)”. GAZOO. トヨタ自動車 (2014年1月31日). 2018年4月26日閲覧。
  6. ^ マツダがミニバンを見限った理由 決断の裏に生産改革 日経ビジネスオンライン 2017年9月21日


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