フィアリーブルーの伝説 フィアリーブルーの伝説の概要

フィアリーブルーの伝説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/27 02:53 UTC 版)

フィアリーブルーの伝説
漫画
作者 中山星香
出版社 秋田書店
掲載誌 プリンセス
レーベル プリンセス・コミックス
発売日 1983年4月 - 1984年4月
発表号 1982年11月号 - 1983年2月号
巻数 全2巻
漫画:はるかなるフィアリーブルー
作者 中山星香
出版社 秋田書店
掲載誌 プリンセス
発表号 1983年12月号 - 1984年4月号
漫画:銀灰色(フィアリーブルー)幻想
作者 中山星香
出版社 徳間書店
掲載誌 ペンギンカフェ
発表号 1984年2月号 -
漫画:銀青色(フィアリーブルー)の伝説
作者 中山星香
出版社 双葉社
レーベル 双葉文庫
巻数 全1巻
テンプレート - ノート

第1部が秋田書店プリンセス」で1982年11月号〜1983年2月号まで連載された。その第2部を『はるかなるフィアリーブルー』というタイトルで1983年12月号〜1984年4月号まで連載された。後日談の『銀灰色幻想』が「ペンギンカフェ」1984年2月号に掲載された。

プリンセス・コミックスからタイトルを統一して『フィアリーブルーの伝説』全2巻、双葉文庫から後日談「銀灰色(フィアリーブルー)幻想」を改題[1]して「銀青色(フィアリーブルー)幻想」とし収録し、『フィアリーブルーの伝説』を改題して完全版『銀青色(フィアリーブルー)の伝説』が刊行された。

概要

鳥の民ティンタスのファリオン皇子と森の民エル・カルーのエリ・エゼル王女の遺児、アイオン・エル・ファリドの生涯のプロローグを彩る悲劇。

血みどろの争いをやめようとしない2つの種族の醜い争いに激怒した神々の罰であるかのように、争ったままでは滅亡してしまう大きな運命「大寒期」が襲いかかろうとしていた。すべてを凍てつかせ氷獄と化す故郷の森に別れを告げねばならぬ試練が迫っていた。

愛する人より短い生を精一杯に生き彼女を愛し理解することに全身全霊を傾ける若き王と300年の古き寿命に鳥籠の生を疎むも短き命を拒絶する愚かな女王。自身より先に逝く者を忌避し"古いティンタス"を内面に抱える弱い心ゆえに愛している筈の森の若き国王を裏切った時、悲劇の歯車が廻り始めた。

愛を弄んだ大罪を神々に裁かれたリン皇女は愛の再生と贖罪の時間を許されず、アイオンを遺して絶命するという厳罰に処され、かくしてアイオンは愛する人のいない現実を孤独に生きることになる。

あらすじ

南へ下れ! 伝えるのだ。ファリド、南へ下らねば生きのびられぬ。南へ南へ、そして我が種族の民たちにこのことを伝えてくれ。

天を衝く緑の木々「世界樹」が生い茂る巨大な森で、森の上層部に銀の都を築き神を気取る長命種の"鳥の民"ティンタスと大地に近い下層部に都を営む短命種"森の民"エル・カルーが暮らしており、同じ森を故郷とする兄弟でありながら、血で血を洗う争いを繰り返していた。

漆黒の髪と緑の瞳を持つ11歳の少年エル・ファリドは父亡き後、母の生まれた森の都を目指し旅を続けていた。そんな或る日、異母弟の復讐に走ったティンタスの女王リン皇女は愚かにも戦争を引き起こし、私怨で罪なき流れの民をも巻き込んで戦禍による不幸を作り出してしまう。流れ矢で母を失ったファリドは私怨により戦禍を齎したことを悔やむリンに引き取られ、彼女にアイオンと命名されてアイオン・エル・ファリドと名乗り銀の都で暮らすことになる。6年後、白鷹(ハルファード)騎士として成長したアイオンは一命を取り留めながらも再起不能の傷を負い退団を余儀なくされた白鷹騎士タキアスの代わりに近衛騎士団への緊急入団をリンに命じられ、銀の都に迫ったペチスフェルの群れの撃退した。その直後、突然リンに森の都へ行くように言われ動揺するアイオンだったが、リンを恋する自身に気づく。詳細は明かせぬものの何か重大事が起こりつつあることを悟り、森の長老エル・ザドクへの密使として森の都を訪れた。

黒髪の白鷹騎士の噂を聞き及んでいたエル・ザドクにより手紙の内容を知らされたアイオンはあまりのことに愕然となる。まだ先のこととはいえ森が大寒期に襲われ凍結により森は死滅し、生き延びるには諍いをやめて2つの民族が協力し南下するしかない、或る人物の心話が知らせてきたとリンは手紙に記していた。紆余曲折の末、森の都の窮地を救い森の王エル・ギルダーに謁見するアイオンとリン。そこでアイオンは自身だけが知る事実を告げた。リンの兄ファリオンは自身の父であり15年前にペチスフェルの一群から自身と母を守って死に、母エリ・エゼルはギルダーの誤解が原因でリンが引き起こした戦に巻き込まれ森の都を目前に死んだことを。アイオンはティンタス王家とエル・カルー王家の間に生を受けた運命の子だった。1ヶ月後、国境の辻で2つの種族は和平の誓いを交わした。

正式に森の民の世継ぎの君として認知されたアイオンとティンタスの女王リン、2つの種族の絆は2人がしっかりと握っている筈だったが、リンは自身の内に巣食うティンタスの一人としての弱さゆえに密かにアイオンを裏切り彼に懸想する義姉アザーリアとの婚姻を画策し森の老王を懐柔して策謀を巡らす。エクセリオン率いる調査隊が何者かに襲撃されて全滅し、緊迫状態を鎮めようと国境の辻に集まる2つの種族。しかし、その場でアイオンは信じがたいリンの言葉を聞く。アザーリアとの政略結婚! 激しくリンを詰るアイオンに民にとって自身は"ティンタスそのもの"だからカルー族のアイオンを恋人には出来ても結婚は出来ないと告げ、森の王である自身を蔑ろにして民を洗脳して政略結婚を民の総意で決定づけさせる陰謀を結実せていたのだった。その時になって初めてアイオンは自身が"刹那の恋人"という名の慰み者に貶められ、散々利用された挙げ句に捨てられたことを知る。リンは破滅願望に駆られ、2つの種族を滅ぼそうとしていたのだった。謀略に加担した手駒でありながらアザーリアは自身の欲望を満たすことしか頭になく、リンを非難して自身こそがアイオンの妻に相応しいと思い込みリンを忘れさせてみせると傲慢にも宣言した。

3ヶ月後、ペチスフェルの群れに襲撃された積荷隊の救援に赴いたリンは、彼らを護衛していたアイオンと再会する。心をズタズタに引き裂かれ血を流すアイオンの姿に自身の罪を悟り、また別離に耐え切れずに真の想いを、アイオンを愛している自身の心を受け入れ賢者の塔の一室で遂に2人は結ばれた。しかし、リンは相変わらず策謀塗れの行動でリッド酒に薬を盛ってアイオンを置き去りにしてしまう。何もかも自身とティンタスに都合の良い流れを作ることのみに腐心し、カルー族を顎でこき使う奴隷扱いするという愚考・愚挙は改まらない。一方、アザーリアは王妃に成り上がろうとした恥知らずだとアイオンの拒絶に遭って罪を思い知り、そうした事情を知らない逆賊に拉致されていた。彼女を救い高官一味を捕縛したリンだが、彼らの一部が森の都を襲撃していることをリーダー格の高官に知らされて急行し、アイオンを庇って彼を狙う矢に射抜かれて転落した際、背を強打して脊髄損傷により下半身不随になる。リンは2人で背負う筈だった運命を自身の弱さに負けてアイオン一人に背負わせてしまう罪と悔恨に苛まれるが、心を残しながらも苦痛の果てにアイオンに後を託して絶命した。母の死から8年、遡って父の死から16年が過ぎ、アイオン19歳の冬だった。

リンの死によりアイオンが両種族統一後の最初の王になってから5年後、全準備を整え白鷹の先導で森の上層部を移動する先発隊を率いてアイオンは民族大移動を開始した。リンの補佐を務めた銀色の賢者レジオンは、彼らの無事を祈り送り出す。最下層の湖を行く後発隊と森の外れで合流し悪鬼の迷信のある荒野(ムーア)に踏み出し、安定した季節と平穏な生活を得るのは何代も先となるのは明白な、微かな希望を求めた果てしない南への旅は始まった。数年後、旅の途上で小さな希望の子がアイオンの傍らにあった。エクセリオンとエゼルの子、もう一人のアイオンだった。

罪を重ねてアイオンを置き去りにしてしまったリンは果てなき悔いを心に抱き、死人の身ながら伝説で語られるフィアリーブルーに扮し、つかの間の来訪を幾度も行ってはアイオンの心に寄り添うのだった。


  1. ^ ペーパームーン・コミックス『蒼空(そら)にある林苑(もり)II ALTODIAS』にも収録されているが、ここでは雑誌同様に旧題のままである。


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