ピアノ協奏曲第26番 (モーツァルト)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/27 00:54 UTC 版)
評価
この協奏曲は、ロココ(またはギャラント)様式の華やかさのために高い人気を得てきたものの、今日一般的には、先行する12曲のウィーン協奏曲群および最後の協奏曲である第27番(K. 595)には及ばない水準であると見なされている。しかし、このような見解はかつての評価をまったくひっくり返すものであり、実のところ、以前、特に19世紀にはモーツァルトのピアノ協奏曲の中でもっとも高く評価されるものの一つであった。
オイレンブルク版を校訂したフリードリヒ・ブルーメは、1935年、この作品を「モーツァルトのピアノ協奏曲のなかで、もっともよく知られ、もっとも頻繁に演奏される」と述べている[10]。しかし、10年後の1945年には、アインシュタインが次のようにこの作品の位置づけの見直しを迫っている。
とてもモーツァルト的であるが、同時に統一体としてのモーツァルトを、いやモーツァルトの半分すら表現していない。実のところ、あまりに「モーツァルト風」であるために、モーツァルト自身が自分を模倣したかのようだ。彼にとってそれは簡単なことだ。華麗かつ、特に緩徐楽章では、親しみやすい。独奏と合奏の関係はとても単純、プリミティブですらあり、まったくわかりやすいために、19世紀ですらいつも難なく理解することができた。 — 翻訳は引用者による[5]
1991年にタイソンは、モーツァルトの他のピアノ協奏曲が広く知られ、よく演奏されるようになったものの、本作は依然としてモーツァルトのピアノ協奏曲の中で評価の高いものであり続けていると述べている[11]。
- ^ 『モーツァルトの手紙』下巻pp.177-182
- ^ Tyson, p. viii.
- ^ See Mozart: Piano Concerto No. 26 in D Major ("Coronation"), K. 537--The Autograph Score. (NY: The Pierpont Morgan Library in association with Dover Publications, 1991), pp. 8-11; 57-68.
- ^ Alfred Einstein, Mozart: His Character, His Work.Trans. Arthur Mendel and Nathan Broder. (London: Oxford University Press, 1945), p. 314. 翻訳は引用者による。
- ^ a b Einstein, p. 313.
- ^ a b クラヴィーア協奏曲 ニ長調 K.537 の"管楽器およびティンパニなし版"、野口秀夫、神戸モーツァルト研究会
- ^ Einstein (日本語訳、ISBN 4560037329) p.425
- ^ Wolfgang Amadeus Mozart, Piano Concertos Nos. 23-27 in Full Score (NY: Dover Publications, 1978), pp. 211, 216.
- ^ Neue Mozart-Ausgabe, Serie V, Werkgruppe 15, Band 8, ed. Wolfgang Rehm (Baerenreiter-Verlag, Kassel, 1960), pp. 47, 56.
- ^ Tyson, p. xi の引用による。
- ^ Tyson, p. ix.
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