ジャムシード ゾロアスター教におけるイマ

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ジャムシード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/03 05:32 UTC 版)

ゾロアスター教におけるイマ

『ウィーデーウ・ダート』では、「アフラ・マズダーが最初に語りかけた人間は誰なのか」と尋ねるザラスシュトラに、アフラ・マズダーはイマだと答えている。その時イマは「教えを広めよ」という神の言葉を「自分はそのために創造されたのではない」として拒否する。しかし、宣教をしないのならアフラ・マズダーの庶類を繁栄させよ、という言葉には従い、神から王権を象徴する黄金の矢と黄金で飾られた鞭[2]を与えられた[3]

『アルドウィー=スール・ヤシュト』によれば、アナーヒターを祀り、ダエーワや人間たちを統べる最高の支配者となって富や繁栄を得るという願いを叶えられたという[4]。 彼にはまた「カウィの光輪」がアフラ・マズダーから与えられており、その治世においては食物や飲み物が不足せず、人間も獣も死なず、水も植物も枯れることがなかったという。さらには暑さや寒さ、老いによる死、ダエーワがもたらす嫉妬に人々が苦しめられることもなかった[5]。 しかしイマ王が邪念にとらわれると光輪は大鴉の姿になって飛び去り、それを見たイマは悲しみ歎くあまり錯乱して地に伏した。一方、彼から離れた光輪はミスラ神によって捕捉された[6]

サンハワークとアルナワークという2人の娘がいたが、悪竜アジ・ダハーカの手に落ちてしまい、アースヴヤの息子スラエータオナ(フェリドゥーン)はアナーヒターに彼女たちを救出できるように祈願した[7]。 イマから去った光輪は、ミスラ神の次にスラエータオナの手に渡った[8]

神話に描かれたイマの治世において前述のような豊穣が実現されたため、旱魃が起こった際には彼のフラワシが勧請される[9]


  1. ^ 『ペルシア文学におけるジャムの祝杯』黒柳恒男
  2. ^ イナンナ#イナンナとフルップ(ハルブ)の樹のプックとミックを参照せよ。この鞭は「輪っか」に丸めた状態だと考えられる。矢が「棒」にあたる。
  3. ^ ウィーデーウ・ダート第7章1-7
  4. ^ アルドウィー=スール・ヤシュト第7節25-26
  5. ^ ザームヤズド・ヤシュト第7節31-33
  6. ^ ザームヤズド・ヤシュト第7節34-35
  7. ^ アルドウィー=スール・ヤシュト9節33
  8. ^ ザームヤズド・ヤシュト第7節36
  9. ^ ゾロアスター教の悪魔払い』45頁


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