シュルツ方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 08:57 UTC 版)
シュルツ方式に関する解説
投票用紙
シュルツ方式に対する投票形式は、他の選好投票における単議席単票制と同じである。各々の投票者は、候補者たちに対して選好の順序(同順位も認める)を付けなければならない。
典型的には、投票者は以下の通りに投票用紙に選好を明記する。投票用紙には全ての候補者が一覧になっており、投票者は番号を用いて選好順にこの一覧に番号を振る。最も好ましい候補者には「1」を、次に好ましい候補者に「2」を、以下も順に番号を付ける。投票者には次のことも許されている。
- 複数の候補者に同じ番号を付けること。このことは、これらの候補者間に差異を付けられないことを意味する。
- 選好を示すのに連続しない番号を用いること。番号の絶対値は重要ではなく、選好の順序のみが選挙の結果に影響するためである。
- 何名かの候補者に順位付けしないままでいること。候補者に順位を付けないことで、投票者は以下の意見を表明したと解釈される。(i) 順位付けしていない候補者たちより、順位付けした候補者たちの方を選好する。(ii) 順位付けしていない候補者間に差異は付けない。
シュルツ方式
W候補者よりV候補者を選好する投票者の数を d[V,W] で表す。
X候補者からY候補者への強さ p の道とは、候補者 C(1), …, C(n) の列であって、以下の条件を全て満たすものである。
- C(1) = X かつ C(n) = Y
- 任意の i = 1, …, n-1 に対して、d[C(i),C(i+1)] > d[C(i+1),C(i)]
- 任意の i = 1, …, n-1 に対して、d[C(i),C(i+1)] ≥ p
さらに、A候補者からB候補者への道の強さの最大値を p[A,B] で表す。そのような道がなければ、p[A,B] = 0 と定義する。
p[D,E] > p[E,D] であれば、D候補者はE候補者より良いとみなす。
D候補者が他の全てのE候補者に対して p[D,E] ≥ p[E,D] であれば、D候補者は当選の可能性がある。
p[X,Y] > p[Y,X] かつ p[Y,Z] > p[Z,Y] ならば、p[X,Z] > p[Z,X] であることが証明できる[1]:§4.1。これは、上記の「より良い」という関係が推移関係であることを意味し、他の全ての候補者Eに対して p[D,E] ≥ p[E,D] を満たす候補者Dが少なくとも一人はいることが保証される。
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