シュルツ方式 例

シュルツ方式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 08:57 UTC 版)

45人の投票者が5人の候補者 A, B, C, D, E を順位付けする下記の例を考えてみよう。

  • 5 ACBED(5人の投票者がA > C > B > E > Dと選好することを表す。)
  • 5 ADECB
  • 8 BEDAC
  • 3 CABED
  • 7 CAEBD
  • 2 CBADE
  • 7 DCEBA
  • 8 EBADC

初めにペアに関する選好を計算する。例えば A と B を比較すると、B より A を好む投票者が 5+5+3+7 = 20 人いて、A より B を好む投票者が 8+2+7+8 = 25 人いる。よって d[A,B] = 20, d[B,A] = 25 となる。ペアに関する選好の全体像は以下のようになる。

d[*, *] の値を辺に付した有向グラフ
ペアに関する選好の表
d[*,A] d[*,B] d[*,C] d[*,D] d[*,E]
d[A,*] 20 26 30 22
d[B,*] 25 16 33 18
d[C,*] 19 29 17 24
d[D,*] 15 12 28 14
d[E,*] 23 27 21 31

右の図式は、最強の道を視覚的に把握しやすくしたもので、X から Y への矢印に d[X,Y] の値を付した有向グラフである。d[X,Y] > d[Y,X] ならば、d[Y,X] の値は選挙の結果に影響を与えないため、図には d[X,Y] の値のみ記す。

道の強さが辺の強さの最小値であることを思い出そう。例えば、B から D への最強の道は、強さ 33 の直接の道 (B,D) であり、よって p[B,D] = 33 である。比較のため、p[A,C] も見てみよう。直接の道 (A,C) の強さは 26 であるが、より強い道 (A,D,C) がある。その強さは d[A,D] = 30, d[D,C] = 28 の最小値 28 であり、ゆえに p[A,C] = 28 である。

下記の表では、最強の道を赤で示し、辺の強さの最小値に下線を引いている。

最強の道
... Aに ... Bに ... Cに ... Dに ... Eに
Aから ...
A-(30)-D-(28)-C-(29)-B
A-(30)-D-(28)-C
A-(30)-D
A-(30)-D-(28)-C-(24)-E
Aから ...
Bから ...
B-(25)-A
B-(33)-D-(28)-C
B-(33)-D
B-(33)-D-(28)-C-(24)-E
Bから ...
Cから ...
C-(29)-B-(25)-A
C-(29)-B
C-(29)-B-(33)-D
C-(24)-E
Cから ...
Dから ...
D-(28)-C-(29)-B-(25)-A
D-(28)-C-(29)-B
D-(28)-C
D-(28)-C-(24)-E
Dから ...
Eから ...
E-(31)-D-(28)-C-(29)-B-(25)-A
E-(31)-D-(28)-C-(29)-B
E-(31)-D-(28)-C
E-(31)-D
Eから ...
... Aに ... Bに ... Cに ... Dに ... Eに
最強の道の強さ
p[*,A] p[*,B] p[*,C] p[*,D] p[*,E]
p[A,*] 28 28 30 24
p[B,*] 25 28 33 24
p[C,*] 25 29 29 24
p[D,*] 25 28 28 24
p[E,*] 25 28 28 31

これでシュルツ方式による結果を確定できる。例えば A と B を比較すると、28 = p[A,B] > p[B,A] = 25 であるので、シュルツ方式ではA候補者はB候補者より良い。別の例では、31 = p[E,D] > p[D,E] = 24 であるので、E候補者はD候補者より良い。同様にして全ての候補者を比較すると、E > A > C > B > D となり、E が当選との結果を得る。言い方を変えれば、E は他の全てのX候補者に対して p[E,X] > p[X,E] であるがゆえに当選した。







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