コカンスゲ 分類など

コカンスゲ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/23 02:44 UTC 版)

分類など

本種は小穂が雄雌性であること、その数が少なくて果胞が大きいこと、常緑でひどくざらつく葉をつけること、必ず匍匐枝を伸ばすことなど判別に役立つ目立った特徴が多い。同様な環境に多く出現するヒメカンスゲは匍匐枝を出さないのが普通なので穂がなくても判別できる。その他の種とも区別することが容易である[13]。カンスゲ、ヒメカンスゲなど似た名を持つものはむしろそれぞれに縁が近く、いずれも頂小穂が雄性、側小穂が雌性である。

小穂が雄雌性である点ではナキリスゲ類があるが、これは果胞がはるかに小さく、また小穂は数多くつけるものが多い。また秋咲きなので混同することはない。

勝山(2015)では本種はコカンスゲ節 Sect. Decorae としており、日本産ではフサカンスゲ C. tokarensis を一緒にまとめている。この種はトカラ列島の固有種で、本種に似ているが、匍匐枝は出さず、また雄雌性の小穂は節ごとに数個ずつ出る[14]。ただしこれらの扱いについては問題があるようだ。勝山(2015)では本種をこの節に置くことについて『再検討を要す』る旨の記述がある[15]。またフサカンスゲに関しては分子情報からは本種でなく、イワカンスゲ C. makinoensis に近いとの指摘があるという[16]

参考文献

  • 星野卓二他、『日本カヤツリグサ科植物図譜』、(2011)、平凡社、ISBN 978-4582535228
  • 勝山輝男 (2015)『日本のスゲ 増補改訂版』(文一総合出版)、ISBN 978-4829984048
  • 谷城勝弘、『カヤツリグサ科入門図鑑』、(2007)、全国農村教育協会、ISBN 978-4881371244
  • 牧野富太郎原著、『新分類 牧野日本植物図鑑』、(2017)、北隆館、ISBN 978-4832610514
  • 宮脇昭責任編集、『改訂新版 日本植生便覧』(1994)、至文堂、ISBN 978-4784301478

  1. ^ 以下、勝山(2015),p.158
  2. ^ 大橋他編(2015),p.313
  3. ^ 牧野原著(2017),p.347
  4. ^ 牧野原著(2017),p.347
  5. ^ 牧野原著(2017),p.347
  6. ^ 以下、鱗片と花に関しては星野他(2011),p.244
  7. ^ 大橋他編(2015),p.313
  8. ^ 牧野原著(2017),p.347
  9. ^ 星野他編(2011),p.244
  10. ^ 牧野原著(2017),p.347
  11. ^ 星野他編(2011),p.244
  12. ^ 宮脇責任編集(1996),p.152
  13. ^ 星野他(2011),p.245
  14. ^ 星野他(2011),p.247
  15. ^ 勝山(2015),p.158
  16. ^ 星野他(2011),p.247


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