エルト・エ・カッソ 歴史

エルト・エ・カッソ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/23 14:58 UTC 版)

歴史

近代まで

エルトにはローマ時代から人が暮らすようになったのが文書で確認でき、8世紀にはセスト・アル・レーゲナの領域に含まれた。カッソの集落ができたのはそれよりも新しく、11世紀のことである。

1950年代まで、この地の産業は伝統的な農業と、ささやかな交易によって成り立っていた。

ヴァイオント・ダム災害

1950年代の終わり、アドリア電力会社(SADE) (it:Società Adriatica di Elettricitàが、カッソの集落の下に巨大ダムを建設し、ヴァイオント谷を貯水池とする事業を行った。1960年、世界最大の高さ(堤高262m)を持つヴァイオント・ダムが竣工した。しかし、ダムの完成後しばしば地滑りが発生した。

1963年10月9日、集落の対岸にあるトック山 (it:Monte Tocが大規模な地滑りを起こし、ダム湖に発生した津波が周辺の町や村を襲った。これにより、コムーネのダム湖南岸にあったピネダ(Pineda)、プラダ(Prada)、北岸にあったスペッセ(Spesse)、サン・マルティーノ(San Martino)などといった集落が破壊され、中心集落であるエルトとカッソの一部も打撃を受けた。ヴァイオントダム災害は、全体で2000人以上の犠牲が出たが、エルト・エ・カッソのコムーネは、347人の犠牲者を出した。

再建

災害発生後3日以内に、この村の人々は安全のために避難をし、ヴァイオント谷は3年間無人の谷となった。

この間、一部の村人はマニアーゴに定住した。ヴァイオント谷の人々が移り住んだこの地区は、1971年にヴァイオントという独立のコムーネになった。

残る人々は、避難から3年後、村への立ち入りが禁止されていたにもかかわらず帰還し、エルトとカッソの集落を復興した。1976年には、国家モニュメント(Monumento nazionale)として指定された。近年は "EcoMuseo Vajont: continuità di vita" を謳い、エコツーリズムの拠点となっている。

ジロ・デ・イタリア 2013では、ヴァイオントダムの事故から50周年を記念し、第11ステージのゴールにエルト・エ・カッソを、翌日の第12ステージのスタートにロンガローネを組み込んだ。




  1. ^ Popolazione residente per sesso, età e stato civile al 1° gennaio 2023” (イタリア語). 国立統計研究所(ISTAT). 2024年2月11日閲覧。メニューでVista per singola areaを選択。Ripartizione:Nord-est, Regione:Friuli-Venezia Giulia, Provincia:Pordenone, Comune:Erto e Casso を選択
  2. ^ a b 国立統計研究所(ISTAT). “Tavola: Popolazione residente - Pordenone (dettaglio loc. abitate) - Censimento 2001.” (イタリア語). 2019年10月22日閲覧。
  3. ^ 国立統計研究所(ISTAT). “Tavola: Superficie territoriale (Kmq) - Pordenone (dettaglio comunale) - Censimento 2001.” (イタリア語). 2019年10月22日閲覧。
  4. ^ Tabella dei gradi/giorno dei Comuni italiani raggruppati per Regione e Provincia”. 新技術エネルギー環境局(ENEA) (2011年3月1日). 2017年1月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月20日閲覧。
  5. ^ classificazione sismica aggiornata al aprile 2023” (xls). https://rischi.protezionecivile.gov.it/it/sismico/attivita/classificazione-sismica/. イタリア市民保護局. 2023年12月16日閲覧。
  6. ^ Sergio De Filippo. “La storia di Erto” (PDF) (イタリア語). 2012年6月30日閲覧。






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