アベノ橋魔法☆商店街 作品の成り立ちとパロディ要素

アベノ橋魔法☆商店街

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/03 03:55 UTC 版)

作品の成り立ちとパロディ要素

本作品は1990年前後に赤井孝美が企画したデジタルノベル向けの原作として、北欧のノルウェーを舞台に少年魔法使いの成長をテーマに山賀博之が執筆した未発表の脚本『ウィザード』が下敷きとなっている[1]。脚本は作品化されないままお蔵入りとなっていたが、赤井によれば本作品の制作にあたって山賀が赤井の許諾を得てテレビアニメの企画に転用された。あかほりを招いて脚本の再構成を行った結果、物語の舞台も内容も大きく姿を変えて作品となった[2]

一応のストーリーは存在するが、明確にストーリー性が表に出るのは第1話や最終話など一部にとどまり、多くは主要キャラクターの配置を固定して各話ごとに異なる世界を用意する手法でスラップスティック劇が展開され、過去の著名なアニメや映画、ゲームなど様々なジャンルの作品のパロディが大量に取り込まれた。

ガイナックスで同時期に制作していた『まほろまてぃっく』のプロデューサー佐藤裕紀も監督の山賀らが決めた「キャラクター固定」のコンセプトを元に各話ごとに作画監督が自由に演出し、製作者(アニメーター)のそれぞれの技量を前面に出す考えで制作したことを明かしている[3]

劇中に取り込まれたパロディの質と量は過剰といえるほど激しく、制作段階から内部で議論を呼んだ。特に恋愛シミュレーションゲームを題材にした8話「ときめけ! アベノ橋☆学園商店街」の台本では、金月真美(『ときめきメモリアル』藤崎詩織役)が演じるゲストヒロインのキャラクター名を「しおりん」とするなど、モチーフとした作品との類似性が極めて高かった。

主演のサエキと松岡によると、アフレコ時になってキングレコード側がこうした内容を問題視したため、作業を中断して長時間の協議を行った上でキャラクター名を「しおたん」に修正して収録し直すことになった[4]。なお、金月はレギュラーとしてあるみの母親(朝比奈文子)役でも出演しているが、あるみ役の松岡によれば藤崎詩織をモチーフとしたゲストヒロイン回で金月をダブルロールで登場させる前提で決められた配役だった[4]


注釈

  1. ^ 実際に舞台となる阿倍野区この地域では阿倍野再開発事業が実施され、大型商業施設や高層住宅などが建設されている。
  2. ^ 当時の背番号11は後にメジャーリーガーとしても活躍する大塚晶文
  3. ^ a b c d e f g h i 魔法陣シークエンス絵コンテ
  4. ^ メカ作監

出典

  1. ^ ラジオ大阪『ラジオ・アベノ橋魔法☆商店街』第1回"語れ!アベノ橋"(2002年10月13日放送)
  2. ^ ラジオ大阪『ラジオ・アベノ橋魔法☆商店街』第10回"語れ!アベノ橋"(2002年12月15日放送)
  3. ^ WEBアニメスタイル『アニメの作画を語ろう・ガイナックス若手アニメーター紹介(3)』小黒祐一郎・スタジオ雄、2003年2月15日付)
  4. ^ a b ラジオ大阪『ラジオ・アベノ橋魔法☆商店街』第12回"語れ!アベノ橋"(2002年12月29日放送)


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