かかし 名称

かかし

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/04 00:11 UTC 版)

名称

「かかし」の直接の語源は「嗅がし」ではないかとも言われる。鳥獣を避けるため獣肉、髪の毛や魚の頭などを焼き焦がしてに通し、地に立てたものもカカシと呼ばれるためである[2][3] 。これは嗅覚による方法であり、これが本来のかかしの形であったと考えられる。また、「カガシ」とも呼ばれ、日葡辞書(17世紀に発行された外国人の手による日本語辞典)にもこちらで掲載されている。またカカシではなくソメ(あるいはシメ)という地方もあり、これは「占め」に連なる語であろう。

「案山子」という字をあてる理由について、以下のような記述が北慎言「梅園日記」(1845年)に見られる。

玉池難藻三篇に、案山子禅語に出、愚此文字を鹿驚しに当る事、或禅師に問しに、云、案山子とは、大山に添し小山を云、人ならば、前に書案を置形なり、陰に有て不用の山故、影法師の意にて、用立ぬ人を案山子と云と、是にて思へば、わらにて作り人の影法師同前の物ゆへ、右の文字をかり用ひしなるべしとあり、按ずるに、いふにもたらぬ僻説なり、隨斎諧話に、鳥驚の人形、案山子の字を用ひし事は、友人芝山曰、案山子の文字は、伝燈録、普燈録、歴代高僧録等並に面前案山子の語あり、注曰、民俗刈草作人形、令置山田之上、防禽獣、名曰案山子、又会元五祖師戒禅師章、主山高案山低、又主山高嶮々、案山翠青々などあり、按るに、主山は高く、山の主たる心、案山は低く上平かに机の如き意ならん、低き山の間には必田畑をひらきて耕作す、鳥おどしも、案山のほとりに立おく人形故、山僧など戯に案山子と名づけしを、通称するものならんといへり、徂徠鈴録に主山案山輔山と云ことあり、多くの山の中に、北にありて一番高く見事な山あるを主山と定めて、主山の南にあたりて、はなれて山ありて、上手につくゑの形のごとくなるを案山とし、左右につゞきて主山をうけたる形ある山を輔山といふとあり、又按ずるに、此面前案山子を注せる書、いまだ読ねども、ここの人の作と見えて取にたらず、此事は和板伝燈録巻十七通庸禅師傳に、僧問。孤廻廻、硝山巍巍時如何、師曰孤迥峭巍巍、僧曰、不会、師曰、面前案山子、也不会とあり、和本句読を誤れり、面前案山子也不会を句とすべし、子とは僧をさしていへり、鹿驚の事にあらぬは論なし、案山は増集続伝燈録巻四如?伝にも拈却門前大案山放?、諸人東去西去など、禅家にてよくいふ語也、按に、此語はもと堪興家とて、地理のことを業とするものゝいへること也、唐土にては人を葬る土地むづかしくして、親など死たる時、葬るべき地を撰に、彼堪興家をたのみて撰ばするなり、もしよき地を見あたらぬ時は、数年葬らで置事などあり、撰みてその詮もなき事あり、西湖遊覧志餘侫倖盤荒論に、葬京之父準、葬臨平山為駝形術家謂駝負重乃行、遂作塔山頂以浙江為帯水、泰望為案山、何其雄也、富貴既極、一旦顛覆、幾于滅族、俗師風水之説、安定憑哉、按にこれもと陸游いへる事なり、入蜀記 宿臨平者、太師葬京、葬其父準於此、以錢塘江為水、會稽山為案、山形如駱駝、老学庵日記にもこの説あり、是なり、さて諧話に、案山は低く、上平かに机の如き意ならんとあれど、平かならぬをもいふべし

一方「鹿驚」という表記もある。


  1. ^ 木村修次・黒澤弘光『大修館現代漢和辞典』大修館出版、1996年12月10日発行(1283ページ)
  2. ^ 飯島吉晴 著「カカシ」、桜井徳太郎 編『民間信仰辞典』東京堂出版、1980年、72頁。 
  3. ^ 語源由来辞典 (2005年9月16日). “案山子/かかし”. 語源由来辞典. 2023年10月4日閲覧。
  4. ^ a b c 日本国語大辞典,世界大百科事典内言及, ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,デジタル大辞泉,百科事典マイペディア,とっさの日本語便利帳,世界大百科事典 第2版,大辞林 第三版,精選版. “案山子(かかし)とは”. コトバンク. 2020年6月26日閲覧。
  5. ^ 株式会社つみき (2023年8月8日). “映画『キートンの案山子/キートンのスケアクロウ』の感想・レビュー[265件 | Filmarks]”. filmarks.com. 2023年9月14日閲覧。
  6. ^ 詳細検索結果|「へのへのもへじ 水島新司」に一致する資料: 2件中1から1件目|国立国会図書館サーチ”. iss.ndl.go.jp. 2022年12月7日閲覧。
  7. ^ 詳細検索結果|「伊藤潤二 案山子」に一致する資料: 6件中1から2件目|国立国会図書館サーチ”. iss.ndl.go.jp. 2022年12月7日閲覧。
  8. ^ 伊藤潤二コレクション 74巻 / 伊藤 潤二 | 無料・試し読み 漫画(マンガ)コミック・電子書籍はよむるん”. よむるん. 2022年12月7日閲覧。
  9. ^ ひなこのーと | 作品紹介”. コミックキューン. 2023年10月3日閲覧。
  10. ^ あらすじ|TVアニメ「ひなこのーと」公式サイト”. hinakonote.jp. 2023年10月3日閲覧。





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