WHIP (野球)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/03/01 04:58 UTC 版)
WHIP(Walks plus Hits per Inning Pitched、「投球回あたり与四球・被安打数合計」)とは、野球における投手の成績評価項目の1つで、被安打数と与四球数(与死球数は含まない)を投球回数で割った数値を指す。これにより、おおむね1イニングあたり何人の走者(=(対戦打者数-3×投球回数)/投球回数; 与死球や失策、振り逃げなどによる出塁は含まれないので実際にはこれよりも多くなる)を出したかを表す。但しエラー・併殺等は考慮されない。
走者が少なければ失点する可能性も低くなるため、この数値は投手の安定度を表す。一般に先発投手であれば1.00未満なら球界を代表するエースとされ、1.20未満ならエース級、逆に1.40を上回ると問題であると言われる。
また、防御率はどれだけ得点を奪われたかという「結果」を表すのに対して、WHIPはどれだけ打者を抑えたかという「投球内容」を表している。「結果的に抑えればそれで良し」と言う考え方は、セイバーメトリクスの対極に位置するものである[1]ため、「投球内容」を評価できるWHIPはセイバーメトリクスにおける分析手段として用いられることが多い。また、ショートリリーフの投手の場合、投球イニングが少なく、ワンポイントとしてイニングの途中で交替することが多いため、自分の残した走者を後続投手が返すと防御率が大きく変わってくる。そのため、WHIPはショートリリーフの投手の評価により適している。
一方、WHIPにおいては長打も短打・四球と同様にカウントされるため、長打を打たれやすい投手はWHIPが示す評価ほどの成績を残せないという欠点がある。一方で四球の多い荒れ球投手はWHIPに比べて良い成績を残すことが多い。
なお、WHIPは日本球界においては公式記録となっていないが、アメリカのメジャーリーグや台湾の中華職業棒球大聯盟では公式記録となっている。メジャーリーグのシーズン記録はペドロ・マルティネスが2000年に記録した0.74である。
脚注
- ^ 出野哲也 「2006年版 究極の"マネー・ボール"チーム」 『月刊スラッガー No.104 , 2006年12月号』 日本スポーツ企画出版社、52 - 54頁。
関連項目
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