ビニローグ
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/25 00:20 UTC 版)
ビニローグ (英: vinylogue) もしくはビニレン同族体(ビニレンどうぞくたい)は、ある有機化合物に関してその構造からC=C二重結合が伸長、あるいは挿入した構造を持つ類縁体である。例えば、アセチルアセトンのケト-エノール互変異性体 (CH3C(=O)-CH=C(OH)CH3) は、カルボン酸 (RC(=O)OH) のビニローグにあたる。すなわち、カルボン酸ではカルボニル基 (C=O) とヒドロキシ基 (OH) が直接結びついているのに対し、アセチルアセトンの互変異性体ではカルボニル基とヒドロキシ基がC=C二重結合を挟んで結びついているためである。一般式で表すと構造
また電子求引性置換基 (EWG) を持つハロベンゼン (Ph-X) において、ケクレ構造を考えるとo体とp体はEWG-Xのビニローグである。o置換体とp置換体が芳香族求核置換反応を受けやすく、m体が受けにくい理由をこれにより説明できる。
アリル性求電子剤に対して求核剤が置換反応を行うとき、しばしばビニロガスな反応が起こり官能基の場所が変わる。この形式の求核置換反応はアリル転位 (allylic rearrangement)、あるいは SN'反応と表される。
脚注
- ^ The Principle of Vinylogy R. C. Fuson Chem. Rev. 1934; 16(1) pp 1 - 27; (Review) doi:10.1021/cr60053a001
- ^ Zu den O-Alkylderivaten des Benzoyl-acetons und den aus ihnen entstehenden Isoxazolen. (Entgegnung an Hrn. O. Weygand.) Ber. Deutsch. Chem. Ges. (A and B Series) Volume 59, Issue 2, Date: 10. Februar 1926, Pages: 144-153 L. Claisen. doi:10.1002/cber.19260590206
- ^ The Vinylogous Aldol Reaction: A Valuable, Yet Understated Carbon-Carbon Bond-Forming Maneuver Giovanni Casiraghi, Franca Zanardi, Giovanni Appendino, and Gloria Rassu Chem. Rev. 2000; 100(6) pp 1929 - 1972; (Review) doi:10.1021/cr990247i
関連項目
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