TheSkyNet
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/07/05 02:44 UTC 版)
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運用当時のtheSkyNetの画面
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| URL | www |
|---|---|
| 言語 | 英語 |
| タイプ | 市民科学、分散コンピューティング |
| 運営者 | BOINC |
| 設立者 | オーストラリア国際電波天文学研究センター |
| 営利性 | なし |
| 現在の状態 | 完了・閉鎖 |
theSkyNetはかつて行われていた、インターネット経由でつなぎ合わされたボランティアのコンピューターを天文学の研究に使用する、分散コンピューティングによる市民科学プロジェクトである。カーティン大学と西オーストラリア大学が共同運営する国際電波天文学研究センター(ICRAR)が主導して運用していた。
theSkyNet内では、ソースファインダー[1]と呼ばれるタスクとPOGSと呼ばれるタスクの[2]2種類が運用されていた。 両方のプロジェクトが現在完結している[3][4]。 theSkyNetのソースファインダーは、将来的な次世代観測装置であるスクエア・キロメートル・アレイとそれに先立つオーストラリア・スクエア・キロメートル・アレイ・パスファインダーを用いたサーベイ観測に備えて、電波源を発見する自動アルゴリズムのテストと改良を行うことを目的としていた。 一方でtheSkyNetのPOGSはハワイのハレアカラ天文台にあるパンスターズが運用するパンスターズ-1望遠鏡(PS-1)が撮影した画像中に写った多数の銀河について、スペクトルエネルギー分布をフィッティングする計算処理を行いその特徴量を算出することを目的としていた。
沿革
theSkyNetのうちソースファインダープロジェクトは2011年9月13日に公開された[5]。このプロジェクトはJavaをベースとするユーザープラットフォームで運用されており、Nereusと呼ばれる新型の分散コンピューティングソフトウェアでを用いてデータの処理を行っていた。
最初の運用開始から1周年を迎えたtheSkyNetは、2012年9月に新しく、分散コンピューティングのプラットフォームとして人気にあったBOINC上でtheSkyNet POGSプロジェクトを開始した。オーストラリアに拠点を持つプロジェクトとしては、初めてのBOINCプロジェクトとなった[6].
POGSというプロジェクト名は、ミルクキャップとも呼ばれる、ハワイのマウイ島で1920年代に流行した、牛乳瓶の蓋やそれに似た円盤を使って行われた子供たちの遊びであるPogsに由来しており、実際にプロジェクトのデータ元となっている画像をマウイ島にあるパンスターズのPS1望遠鏡が撮影していることにも因んでいる[7]。 その上で、プロジェクト名をその概要をよく表している"Pan-STARRS Optical Galaxy Survey"(パンスターズ光学銀河サーベイ)と名付け、その頭文字をとって"POGS"をバクロニムとしている[8]。
POGSは2018年5月にすべてのデータの処理が完了し終了した[3]。そしてソースファインダーだけではデータ処理の必要性が低いとして、同時にソースファインダーも終了した[4]。
科学的目標
theSkyNetのうちPOGSプロジェクトの目標は
- GALEX、パンスターズ、WISEがそれぞれ違う波長帯でカバーするスペクトルを組み合わせ、近傍宇宙(赤方偏移0.05から0.1以内)における多波長(紫外線から可視光線、近赤外線まで)の銀河マップを構築する
- スペクトルエネルギー分布のフィッティングを用いて、それぞれの銀河について、星形成率や銀河内の恒星質量、星間塵による減衰量や塵の総量といった物理パラメータを算出する
などが挙げられている。
一方でtheSkyNet ソースファインダープロジェクトの目標としては、
- オーストラリア・スクエア・キロメートル・アレイ・パスファインダーやスクエア・キロメートル・アレイを用いた次世代電波望遠鏡サーベイがもたらす膨大な量のデータに備えるため、大規模データセットの処理のためのデュシャン・ソースファインディング・アルゴリズムと呼ばれる手法を改良する
などがある。 POGSでは約10万個近くの銀河についてデータ処理を行うが、その計算量は大学の大規模計算機クラスタを用いても数十年を要すると見積もられていた。しかしPOGSプロジェクトでは1日に100個以上の銀河を処理できており、3年以内での予定されていたデータの処理の完遂が実現する[10]。
ソフトウェア
theSkyNet POGSを実施しているボランティアコンピューティングソフトウェアのBOINCは、ユーザーがコンピューターを動かしている間、そのバックグラウンドで継続してデータ処理を行い、コンピューターリソースのうち使用されていない処理時間を活用している。 なおBOINCはこの手法でSkyNetの他にも様々な分野の計算プログラムをホストしており、ユーザーは自分の興味に応じて複数のプロジェクトの計算を並行して実行させることもできる[10]。
POGSに参加するには、ユーザーはBOINCのマネージャーソフトウェアをダウンロード・インストールし、ソフト内からtheSkyNet POGSプロジェクトへの参加を選択すると、計算に必要なプログラムや計算対象のワークユニットと呼ばれるデータなどがバックグラウンドで自動でダウンロードされ、そのままユーザーが設定したコンピューターのリソース割合やアイドル時間を使用して計算処理される[10]。
ワークユニットごとのデータ処理が完了するたびに、データ処理の計算結果はtheSkyNetの運用チームにインターネット経由でBOINCが自動で返送する。ユーザーにはその計算へのクレジットが付与され、次のデータも自動で受領し処理が始まる[10]。
一方でtheSkyNet ソースファインダーは2014年初頭に、ソフトウェアの再開発のために一時閉鎖されるまで、ブラウザやインストールソフトウェアを用いてJavaをベースとしたカスタムソフトウェアを使用していた。その後theSkyNet Sourcefinderも、BOINCとVirtualBoxを使用するようにリニューアルされた。
ハードウェア
このソフトウェアは、Microsoft Windows、Unix/Linux、MacOS、Androidのシステムに対応している。ただしAndroid端末上で処理された結果は、その他のデバイスで処理された計算結果と多少差異があることが指摘されている[11]。
参加状況
このプロジェクトは西オーストラリア州のパース (西オーストラリア州)にあるICRARが、Kevin Vinsen准教授率いるチームのリードのもとで運用されていた[12]。 2014年の10月13日時点で、プロジェクトのステータスページによるとボランティアの参加者はのべ13770人に達し、そのうち5268人が直近でクレジットを取得しているアクティブユーザーであり、1人で複数のデバイスを参加させるユーザーも多いため計算に参加したコンピューターはのべ40897台におよび、直近でアクティブなのはこのうち16508台であった[13]。
チームリーダーのVinsenは、プロジェクトに特に貢献したボランティアにレゴセットや3Dプリンターを用いた玩具を感謝のしるしとして贈っている。 [14]
科学的成果
2013年6月7日に、「多波長サーベイでピクセル分解された銀河のスペクトルエネルギー分布フィッティングのためのBOINCベースの市民科学プロジェクト」と題した最初のこのプロジェクトについての論文が投稿され、同年10月にAstronomy and Computing誌より出版された[10]。 2014年1月にはアメリカ天文学会の第223回会議で、プロジェクトの初期成果について発表された[15]。
2014年9月23日には、プロジェクトのチームリーダーよりプロジェクトで5万番目の銀河について処理が行われているとアナウンスされた[16]。
将来的なプロジェクト
theSkyNetには将来的に、西オーストラリアにあるマーチソン広視野アレイや、場合によってはスクエア・キロメートル・アレイなど、新しいデータ源からの観測データを処理できるよう拡張する可能性があるとしていた[17]。
しかしPOGSやskynetのウェブサイトの維持だけで毎月2000オーストラリア・ドルを要するという資金面の問題から、プロジェクト完了後に公式のウェブページなどは閉鎖されており、BOINCのプロジェクト一覧からも選択できなくなっている[3]。
関連項目
脚注
出典
- ↑ “Sourcefinder” (2018年2月5日). 2018年2月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月30日閲覧。
- ↑ “theSkyNet POGS - the PS1 Optical Galaxy Survey” (2013年7月25日). 2013年7月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月30日閲覧。
- 1 2 3 “POGS is complete!” (2018年5月2日). 2018年5月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月2日閲覧。
- 1 2 “Sourcefinder shutting down.” (2018年5月8日). 2018年5月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月9日閲覧。
- ↑ International Centre for Radio Astronomy Research (2011年9月14日). “Discovering the hidden universe: TheSkyNet Launched”. ScienceDaily. 2016年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年3月9日閲覧。
- ↑ Day, John (2012年9月13日). “Rise of the machines as theSkyNet turns one”. Government of Western Australia. 2014年10月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月14日閲覧。
- ↑ “TheSkyNet”. 2014年10月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月14日閲覧。
- ↑ “TheSkyNet”. 2014年10月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月14日閲覧。
- ↑ “PhotoMosaic of Messier 100 made with images from theSkyNet.org” (英語). www.gigapan.com. 2022年8月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月29日閲覧。
- 1 2 3 4 5 Vinsen, Kevin; Thilker, David (2013). “A BOINC based, citizen-science project for pixel Spectral Energy Distribution fitting of resolved galaxies in multi-wavelength surveys”. Astronomy and Computing 3: 1–12. arXiv:1306.1618. Bibcode:2013A&C.....3....1V. doi:10.1016/j.ascom.2013.10.001.
- ↑ Vinsen, Kevin; Thilker, David (2013). “A BOINC based, citizen-science project for pixel Spectral Energy Distribution fitting of resolved galaxies in multi-wavelength surveys”. Astronomy and Computing 3: 1. arXiv:1306.1618. Bibcode:2013A&C.....3....1V. doi:10.1016/j.ascom.2013.10.001. (sections 3 & 9)
- ↑ “TheSkyNet”. 2014年10月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月14日閲覧。
- ↑ “TheSkyNet”. 2014年10月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月14日閲覧。
- ↑ “US supercomputer needs more people power” (2017年2月22日). 2026年2月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年7月5日閲覧。
- ↑
Thilker, David A. , Vinsen, K. (2014年1月). Early science from the Pan-STARRS1 Optical Galaxy Survey (POGS): Maps of stellar mass and star formation rate surface density obtained from distributed-computing pixel-SED fitting. AAS Meeting #223: American Astronomical Society. Bibcode:2014AAS...22311611T. 116.11.
{{cite conference}}: CS1メンテナンス: location (カテゴリ) CS1メンテナンス: 複数の名前/author (カテゴリ) - ↑ “TheSkyNet”. 2014年10月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月14日閲覧。
- ↑ “TheSkyNet: History of theSkyNet”. 2014年10月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月14日閲覧。
外部リンク
- TheSkyNetのページへのリンク
