ポンティアック・バンシーとは? わかりやすく解説

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ポンティアック・バンシー

(Pontiac Banshee から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/04/06 00:04 UTC 版)

ポンティアック・バンシー(Pontiac Banshee)は、ゼネラルモーターズ(GM)のポンティアック部門が1964年に発表したコンセプトカーである。開発コードネームは「XP-833」。量産には至らなかったがそのデザインはシボレー・コルベットC3に採用された。

デザイン・コンセプト

1964年、当時ポンティアックの責任者であったジョン・デロリアン主導のもと、爆発的なヒットを記録する初代フォード・マスタングに対抗し、シボレー・コルベットより一回り小さい2人乗りスポーツカーの開発が始まった。コードネームは「XP-833」、デロリアンは「マスタング・ファイター」と呼んだという。

GM経営陣からの反発を予見したデロリアンは、計画を公にせずに開発をスタートし、まだ試作車も出来ていない段階から「この車を市場に投入すべき理由」を説明する分厚い資料を作成した[1]。車名はマクダネルF2Hバンシー戦闘機にちなんで「バンシー」と名付けられた。意味はアイルランド神話に登場する妖精のこと。

完成した試作車は、1962年に発表されたシボレー・コルヴェア・モンツァGTコンセプトと似ている[2]。デロリアンは資料と共にGM経営陣に披露したが、彼らの対応は冷ややかだった。保守的な経営陣と常に野心的なデロリアンとの間には深い溝があったうえ、自社のフラッグシップであるコルベットC2の市場を脅かすのを懸念したのである。その結果1966年初めに正式にプロジェクトの中止が決定した。

'64ポンティアック・バンシー

だがそれだけでは終わらなかった。実は前年の9月頃、GMデザイン部門の責任者であるビル・ミッチェル宛に「XP-833のデザインをシボレーの2人乗りクーペに転用せよ」という指示書が送られており、その結果バンシーのデザインは1968年のコルベットC3に引き継がれた[3]

'64ポンティアック・バンシー

その後も4人乗りの「XP-851」、XP-833の後継となる「XP-858」が計画されたが、設計のみで終わった。それでもデロリアンは粘り強くバンシーの計画を推し進め、6.9リッターV型8気筒エンジンを搭載する「XP-898コンセプト」を1966年のデトロイトオートショーに出品しようとしたが、ショーの前夜になってGM上層部によって阻まれた[4]

車の概要

ベースとなったのはポンティアック・テンペストで、部品の70%はシボレー・コルヴェアやテンペストからの流用品だった。

2台作られた試作車のうち、1台はシルバーのハードトップで3.7リッター直列6気筒エンジンを搭載し推定出力は165馬力、重量は997kg。もう1台は白のコンバーチブルで、5.35リッターV型8気筒エンジンを搭載し、推定出力は250馬力である。いずれも4速のマニュアルトランスミッションと4輪ドラムブレーキを備える。ポンティアックは強力なエンジンを持っていたが、あえて出力を控えたのはGM経営陣のご機嫌をうかがうためであった[5]。それでもコルベットより230キロも軽く、2速で時速100キロに到達した。

2台とも現存しそれぞれコレクターが所有している。

後継機種

バンシーII(1968年)

ポンティアック・ファイアバードをベースとし、インテリアはほぼファイアーバードのままとなる。翌年ファイアバード・フィエロと改名された。

バンシーIII(1974年)

ファイアバードをベースとする。ソフトフェイス・バンパーシステムと呼ばれるフロントバンパーはボディーと一体型で、衝撃吸収フォームの上にボディ同色塗装のウレタンを被せてある。サイドウィンドウは空力と静粛性を向上するためボディに固定されており、運転席側のみ料金所用の小さなパワーウィンドウが付く。この小窓は後にデロリアンDMC-12に採用された。

バンシーIV(1988年)

専用設計のチューブラーフレームにFRPボディを載せ、230馬力の4.0リットルV型8気筒SOHCエンジンを搭載。これまでのバンシーコンセプトと違い未来的かつ非現実的なデザインを採用した結果、非常に話題になりポンティアックブランドの宣伝に貢献した。1993年にデビューした第4世代ファイアバードとシボレー・カマロにも影響を与えた[6]

ヘッドアップディスプレイのほか、電動調整式のステアリングコラムとペダル、メモリー機能付きパワーシート、ETAK社の”Etak Navigator”を装備する。Etak NavigatorはGPSを使用しない初期のナビゲーションシステムで、コンパスとホイールから取得したデータを磁気テープに記録した地図と照合する[7]

バンシーⅣは、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」や「デモリションマン」に登場した。「ナイトライダー2000」のナイトインダストリー4000も外観は同じだが中身は1991年型ダッジ・ステルスである[8]

脚注

出典

  1. ^ Owen, Justin (2024年6月11日). “Everything To Know About The Pontiac Banshee, And What Made It So Unique” (英語). SlashGear. 2026年2月5日閲覧。
  2. ^ 1962 Corvair Monza GT Concept Corvette” (英語). MotorTrend (2016年3月31日). 2026年3月15日閲覧。
  3. ^ O'Callaghan, Dave (2025年2月24日). “This Forgotten Pontiac Concept Would Have Been The Corvette’s Biggest Rival” (英語). TopSpeed. 2026年3月15日閲覧。
  4. ^ Concepts: The 1966 Pontiac Banshee XP-798 - MyCarQuest.com”. mycarquest.com. 2026年3月15日閲覧。
  5. ^ O'Callaghan, Dave (2025年2月24日). “This Forgotten Pontiac Concept Would Have Been The Corvette’s Biggest Rival” (英語). TopSpeed. 2026年3月15日閲覧。
  6. ^ O'Callaghan, Dave (2025年2月24日). “This Forgotten Pontiac Concept Would Have Been The Corvette’s Biggest Rival” (英語). TopSpeed. 2026年2月5日閲覧。
  7. ^ Percy, Robert (2025年3月14日). “Pontiac Once Built A Sports Car So Advanced, It Was Too Expensive To Sell” (英語). HotCars. 2026年3月15日閲覧。
  8. ^ Pontiac Banshee (1989)” (英語). NetCarShow.com. 2026年2月4日閲覧。



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