126フィルム
(ISO 3029 から転送)
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コダックインスタマチック100
(1963年発売)
126フィルム(いちにいろくフィルム、英語: 126 film )は、スチル写真用のフィルムの規格である。コダックが1963年に発表したフィルムと写真機の規格インスタマチックについてのロールフィルム番号であり、インスタマチックフィルム(英語: Instamatic film )とも呼ばれる。国際標準化機構によりISO 3029として規格が定義されていたが、現在は廃止されている。
1971年にコダックが導入したポケットインスタマチック規格のフィルムとは異なる。 ⇒ 110フィルム
インスタマチックフィルム以前の1906年にコダックが発表した、まったく同じロールフィルム番号を持つ、まったく別のロールフィルムの規格があった(126 film)。画面サイズ「4 1/4×6 1/2inch判」(10.795×16.51cm)、同社の写真機「No.4Aフォールディングコダック」のためだけの規格であり、1949年3月に廃番となり、その後、本番号は「インスタマチックフィルム」に割当てられた。
概要
コダックのマイナーかつ古いロールフィルム番号である126を割り当て直された新しい126フィルム(インスタマチックフィルム)は、製造者にとってはより簡便な機構で写真機を設計製造できる事を、また使用者にとっては非常に簡便に写真機を使用できる事を大きな目的として開発された。
本フィルムの規格は国際標準化機構において「ISO 3029」として定められていた[1]。また、本フィルムの「乳剤面の識別」については、「110フィルム」「135フィルム」とともに「ISO 897」として定められている。
「135フィルム」同様の35mm幅フィルムを使用し、コマカウンターとして使用されるコマ番号が印刷された裏紙を有する。フィルムは送り出し側と巻き取り側およびフィルムゲートが一体になったプラスチック製カートリッジに包まれていた。スプールは巻き取り側にのみ有り、送り出し側のフィルムは単に巻き込まれているだけであった。パーフォレーション穴は1フレームにつきフィルムの片側にのみ1個、フレームとフレームの間からすこしずれた位置に穿たれてていた。画面サイズは正方形で、28x28mmのフレームがあらかじめフィルムに焼き込まれており、プリントやマウントには26.5x26.5mm程度の範囲が使用された。同じく35mm幅フィルムを使用して裏紙も有する「24×24mm判」のボルタ判に比べるとやや大きい画像サイズであった[2]。当初は12枚もしくは20枚撮りであったが、後に24枚撮りとなった。
写真機への装填は、カートリッジを写真機に挿入して蓋を閉めるだけで良く、「135フィルム」のように巻き取りスプールにフィルムを巻き付ける等の操作は必要なかった。撮影済のフィルムはカートリッジの巻き取り側に収容される為、巻き戻し操作も必要ない。また正方形フォーマットである事で縦横構図の区別もない。
ドイツコダック製
フィルム感度についてもフィルムゲートの上方、カートリッジの上端にあるノッチの位置によって写真機に伝達され、自動的にセットされた。規格にはISO 8からISO 8000まで1/3EV刻みで31段階の感度が定義されており、コダックインスタマチック500などのようにハイエンド製品の中にはこのノッチを使用して正確にフィルム感度を設定する機種もあった。しかし、そのような機構を一切持たないものや、特定の感度を境にHi/Loの2段階でしかフィルム感度を検知せず、露出をフィルムのラティチュードに依存する写真機が大部分であった。このような現実もあり、実際に市販されたフィルムの感度もISO 64からISO 400の間に留まった。 規格上はフィルム下方のカートリッジ下端に、8箇所のノッチの有無によって255通りのコードを付加出来たが、事実上利用されなかった。
裏紙がある事と、圧版を有しない構造はフィルム面の安定性に対する配慮を欠いたもので、またフィルム全体がカートリッジに包まれているため、写真機側の工夫によってこれに対処するのは困難である[3]事から、大口径レンズを搭載して正確なピント合わせを必要とする高級写真機の開発には無理があった。このような技術的背景から、一眼レフカメラ製品は前玉レンズ交換式のレンズシャッター機Contaflex 126、Kodak INSTAMATIC REFLEX、Rolleiflex SL 26、およびRICOH 126C-FLEX TLSの4機種が市販されたものの、いずれも後継機種が無くまた短命であった。
コダックだけでも1963年から1970年の間に5000万台、1977年までに累計7000万台を超える写真機が製造されたが、同社が「110フィルム」発表後に見せた「126フィルム」に対する収束姿勢に加え、135判写真機も自動化や使い切りカメラの普及によって簡便化を遂げた事により、「126フィルム」の市場シェアは急速に低下していった。 フィルムの生産が終了して以降、「126フィルム」用の写真機を使用する場合には、同一幅の「135フィルム」や、35mm幅に裁断した「120フィルム」を、同フィルムの空カートリッジに巻きなおす等の手法がエンドユーザーにより試みられている。
略歴
1963年コダックはコダックインスタマチック50等の写真機とともに新規格「インスタマチック」を発表、この新規格のフィルムが「126フィルム」である[4][5]。コダックが採用したこのカートリッジ方式の特許は、1962年1月2日にヒューバート・ナーウィンが申請し、1964年6月23日に発効したものである[6]。
コダックの「インスタマチック」写真機以外にも、1964年にはイタリアのフェッラーニアが「126フィルム」用の写真機フェッラーニア3M ユーラマティックを発売している。日本のオリンパス、ミノルタ(現在のコニカミノルタホールディングス)、リコー、ヤシカ(京セラに吸収されブランド権は売却)等が、同フィルムに対応する写真機のシリーズを製造販売した。
アグフア・ゲバルトは、アグフア時代の1936年からダブルパトローネ式35mmフィルムの規格「カラートフィルム」を所有していたが、「インスタマチック」発表の翌年にカラートパトローネに感度自動設定機構を追加した新規格「ラピッドフィルム」を導入して対抗した。しかしラピッドフィルムのシェアは低迷し、1968年には同社の写真機子会社アグフア・カメラ・ヴェルケが、「126フィルム」用の写真機アグフア ISO-PAKの製造販売を開始し、1970年には「126フィルム」用の写真機シリーズ「アグフアマチック」の製造販売に踏み切らざるを得なくなり、結局はインスタマチック陣営に取り込まれることとなった。
その後、1971年にコダックは「126フィルム」を使用する従来の「インスタマチック」を刷新し、新規格「ポケットインスタマチック」を発表した。この「110フィルム」の画面サイズは「13×17mm判」で、「インスタマチック」よりもかなり小さいものであった[4][5]。「110フィルム」発表後、同社は「126フィルム」用写真機の生産を収束に向かわせる[4][5]。一方、ドイツコダック(かつてのナーゲル)などは、「ポケットインスタマチック」時代以降も「インスタマチック」写真機を製造販売した。
コダックは、1999年12月31日に「126フィルム」の生産を終了、36年間の歴史を終了した[4][5][7]。富士フイルム、アグフア・ゲバルトも生産を終了、フェッラーニアも2007年にソラリスFG200-24 126の生産を終了した。アドックスがフェッラーニアからOEMを受けて製造販売していたアドカラーインスタマチック200 ADC126も生産を中止、2012年末に製造再開できるかどうかの分析を明らかにするとアドックスは発表している[8]。
おもなフィルム製品
いずれも生産終了品である。
コダック
(生産終了品)
- コダカラー C126 - カラーネガフィルム
- コダカラーX CX126 - カラーネガフィルム
- コダカラーII C126 - カラーネガフィルム
- コダカラーVR200 126 - カラーネガフィルム
- コダックゴールド200 126 - カラーネガフィルム、1999年生産終了
- コダクローム64 126 - カラーリバーサルフィルム
- コダクロームX 126 - カラーリバーサルフィルム
富士フイルム
コダックゴールド200(生産終了品)
- フジカラーNK 126 - 富士フイルム、カラーネガフィルム
- フジカラーF-II 126 - カラーネガフィルム
- フジカラースーパーHR100 126 - カラーネガフィルム
- フジカラースーパーHG100 126 - カラーネガフィルム
小西六
アグフア・ゲバルト
(生産終了品)
(生産終了品)
- アグフアイソパン126 - アグフア・ゲバルト、白黒ネガフィルム
- アグフアカラーCNS126 - カラーネガフィルム
- アグフアカラーXRG200 126 - カラーネガフィルム
- アグフアカラーHDCプラス200 126 - カラーネガフィルム
3M
(生産終了品)
- ダイナパン DP126 - 3M、白黒ネガフィルム、イングランド製
ソラリスFG200-24 126
(生産終了品)。
フェッラーニア
- ソラリスFG200-24 126 - フェッラーニア (3M傘下)、カラーネガフィルム、イタリア製、2007年生産終了
アドックス
- アドカラーインスタマチック200 ADC126 - アドックス(フェッラーニアからのOEM)、カラーネガフィルム、生産中止
おもなカメラ製品
いずれも生産終了品である。
アグフア
(1968年発売)
- アグフア ISO-PAK(1968年発売)
(1969年発売)
- アグフア ISO-PAK C(1969年発売)
- アグフアマチック126(1969年発売)
- アグフア アクティオンティーン'70(1970年発売)- アグファマチックを含む若者向けキャンペーンセット。50万セット限定[9]。
- アグフアマチック100センサー(1970年発売)
- アグフアマチック200センサー(1971年発売)
- アグフアマチック300センサー(1971年発売)
- アグフア オートスターX 126(1972年発売)- アグフアマチック126と同等。アグファブラジル工場製。
(1972年発売)
- アグフアマチック50(1972年発売)
- アグフアマチック50 S(1972年発売)- アグフアマチック50側面の金属部分もブラックとしたもの。
- アグフアマチック55C(1978年発売)
(1972年発売) フリップフラッシュ装着時
- アグフアマチック108センサー(1978年発売)
(1972年発売)
- アグフアマチック208センサー(1978年発売)
- アグフアマチック308センサー(1978年発売)
アーガス
(1967年発売)
西ドイツバルダ社製
(1972年発売)
日本製(セディック)
- アーガスレイディケアフリー(1967年発売)- アメリカのアーガス社が販売。
ベンチーニ
- ウニマティックII(1970年発売)
ブーツ コメット 404-X
(1969年発売)
イタリアベンチーニ社製
- ブーツ コメット 404-X(1970年代初期発売)- イギリスの薬局チェーン、ブーツ社向けの製品。
ボルタ ヴェルケ
(1977年発売)
- フォタヴィットマティック100x(1977年発売)- シンガポール製。西ドイツのボルタ社が販売。
キヤノン
ベルハウウェル オートロード342
(1969年発売) キヤノン製
ダコラ
(1966年発売) ドイツ製
- ダコラ INSTACORA-R 126(1966年発売)
フォクトレンダー
フェッラーニア
(1964年発売) イタリア製
フェックス/アンド
- 126 LED
- ヴィヴァ126
- ヴィヴァ1000
- ヴィヴァ2000
- ヴィヴァ3000
- ヴィヴァ5000
- ヴィヴァS
- アンド126M
- アンド126XR
- アンド126EL
- モンディカ
- ラコ126X
- スコッチ
- ユニカXL
- ユニカXM
- ユニカXS
- ユニカII XA
- フェックスマチック
- フェックスマチックF
- フェックスマチックキューブ
GAF
GAFマテリアルズは1967年にアンスコを買収した米国の企業で、少数の写真機を製造販売した後、1978年にアンスコに関する権利は、OEM先であった香港の黄克競の経営するハキン社に譲渡された[10]。コダックが「ポケットインスタマチック」を発表した後には、「110フィルム」を使用する「GAF220インスタントロード」を発表している。
(1969年発売) 台湾製
- gaf 136 XF - ハリナシグナルフラッシュのリネイム品、1969年発売
ハキン
- ハリナ300(1960年代)
- ハリナシンプレット
- ハリナシンプレットF
- ハリナシンプレットFC
- ハリナシンプレットエレクトリック
- ハリナシンプレットEE
- ハリナシグナルフラッシュ - GAF 136 XFと同等。
イルフォード
キーストン
(1971年発売) アメリカ製
(1975年発売) アメリカ製
- キーストン Everflash 10(1971年発売)- 電子フラッシュ内蔵。
- キーストン 725EFL(1975年発売)- 電子フラッシュ内蔵。
コダック
ドイツコダックに関してはナーゲル (カメラ)#126フィルム使用カメラ参照。
コダックインスタマチック50
(1963年発売)
- コダックインスタマチック50(1963年発売)- AG-1フラッシュバルブ用フラッシュガン(発光器)を専用特殊シューに装着可能。
- コダックインスタマチック100(1963年発売)- AG-1フラッシュバルブ用フラッシュガン(発光器)を内蔵。
- コダックインスタマチック300(1963年発売)
- コダックインスタマチック400(1963年発売)
- コダックインスタマチック700(1963年発売)
- コダックホークアイインスタマチック(1963年発売)
- コダックインスタマチック200(1964年発売)
- コダックインスタマチック800 (1964年発売)
- コダックインスタマチック150(1964年発売)
- コダックホークアイインスタマチックF(1964年発売)- AG-1フラッシュバルブ用フラッシュガン(発光器)を内蔵。
- コダックインスタマチック154(1965年発売)- フラッシュキューブ用ソケットを採用。スプリングモーター巻き上げ。
- コダックホークアイインスタマチックR4(1965年発売)- フラッシュキューブ用ソケットを採用。
- コダックインスタマチック104(1965年発売)- 同上。
- コダックインスタマチック304(1965年発売)- 同上。
- コダックインスタマチック404(1965年発売)- スプリングモーター巻き上げ。
- コダックインスタマチック704(1965年発売)
- コダックインスタマチック804(1965年発売)
- コダックインスタマチック25(1966年発売)
- コダックインスタマチック204(1966年発売)
- コダックインスタマチックS-10(1967年発売)
- コダックインスタマチックS-20(1967年発売)
- コダックインスタマチック124(1968年発売)
- コダックインスタマチック134(1968年発売)
- コダックインスタマチック174(1968年発売)
- コダックインスタマチック26(1968年発売)
1968年発売)
- コダックインスタマチック314(1968年発売)
(1968年発売)
- コダックインスタマチック414(1968年発売)- スプリングモーター巻き上げ。
(1968年発売)
- コダックインスタマチック714(1968年発売)- 背面スライドレバー巻き上げ、ゾーンフォーカス。
- コダックインスタマチック814(1968年発売)- スプリングモーター巻き上げ、距離計(レンジファインダー)内蔵。
- コダックホークアイインスタマチックII(1969年発売)
- コダックホークアイインスタマチックA-1(1969年発売)
- コダックインスタマチック44(1969年発売)
- コダックインスタマチックX-15(1970年発売)- 電源不要のマジキューブフラッシュ用ソケットを採用。
- コダックインスタマチックX-25(1970年発売)- 同上。
- コダックインスタマチックX-35(1970年発売)- 同上。
- コダックインスタマチックX-45(1970年発売)- 同上。
- コダックインスタマチックX-90(1970年発売)- 同上。
- コダックインスタマチックX-30(1971年発売)
- コダックホークアイインスタマチックX(1971年発売)
- コダックインスタマチック28(1972年発売)
- コダックインスタマチック32(1972年発売)
- コダックインスタマチック36(1972年発売)
- コダックインスタマチック66X(1973年発売)
- コダックインスタマチックX-15F(1976年発売)- 電源不要のフリップフラッシュ用ソケットを採用。
- コダックインスタマチックX-35F(1976年発売)- 同上。
- コダックインスタマチック177X(1976年発売)- イングランド製。マジキューブフラッシュ用ソケットを維持。
- コダックインスタマチック76X(1977年発売)- イングランド製。マジキューブフラッシュ用ソケットを維持。
- コダックインスタマチック277X(1977年発売)- イングランド製。マジキューブフラッシュ用ソケットを維持。
- コダックインスタマチック177XF(1987年発売)- ブラジル製。
- 発売年不明
- コダックインスタマチック132 - アルゼンチン製(133の類似)、発売年不明
- コダックインスタマチック11 - ブラジル製(44の類似)、発売年不明
- コダックインスタマチック154X - アルゼンチン製(155Xの類似)、発売年不明
- コダックインスタマチック22 - 27の類似、発売年不明
- コダックインスタマチック27 - アルゼンチン製(22の類似)、発売年不明
コニカ
ミノルタ
オリンパス
フォト ポルスト
(1967年発売)
(1988年発売)
- ポルスト lucky(1967年発売)- 香港製。
- カリーナ 126 Sport(1988年発売)- シンガポール製。
リコー
(1965年発売)
ローライ
(1973年発売)
ヤシカ
(1965年発売)
ツァイス・イコン
(1967年発売)
その他・分類困難なカメラ・トイカメラなど
(1970年代発売?)
- INSTANTLOAD CARTRIDGE CAMERA(1970年代発売?)- 詳細不明[11]
(1971年発売)
- Mick-a-Matic(1971年発売)- ミッキーマウス型カメラ。アメリカChild Guidance Products社製。
注釈・出典
- ↑ ISO 3029:1995 Photography -- 126-size cartridges -- Dimensions of cartridge, film and backing paper
- ↑ Selecting and Using Classic Cameras, p.15.
- ↑ 例えばフィルムをカートリッジから引き出してカメラ側の圧板に挟み込む機構を追加するなど複雑な設計となる
- 1 2 3 4 The History of Kodak Roll Films , 2012年3月12日閲覧。[要文献特定詳細情報]
- 1 2 3 4 History of Kodak Roll Film Numbers , 2012年3月12日閲覧。[要文献特定詳細情報]
- ↑ US3138081 , Google Patents, 2012年3月13日閲覧。
- ↑ Kodak 126 Film to be Discontinued by 2000 , 1998年5月6日付、2012年3月13日閲覧。
- ↑ ADOX ADC 200 Instamatic , アドックス、2012年3月13日閲覧。
- ↑ “Teen Aktion - Werbung a la 1971 (Werbeaktion von Agfa) _ Andere Themen › Youtube-Videos, auch von unseren Nutzern _ Blende-und-Zeit-Forum” (ドイツ語). WWW.BLENDE-UND-ZEIT-FORUM.DE (BZF). 2026年7月11日閲覧。
- ↑ haking.com , Haking Hongkong, 2012年3月13日閲覧。
- ↑ “Camera from Kodak New for Old collection _ Science Museum Group Collection” (英語). Part of the Science Museum Group, London, U.K.. 2026年7月14日閲覧。
参考文献
- Selecting and Using Classic Cameras, Michael Levy, Amherst Media, 2001年7月1日 ISBN 1584280549
関連項目
外部リンク
「ISO 3029」の例文・使い方・用例・文例
- ISO 3029のページへのリンク
