Bactrian languageとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > Bactrian languageの意味・解説 

バクトリア語

(Bactrian language から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/18 03:17 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
バクトリア語
話される国 バクトリア
消滅時期 9世紀末
言語系統
表記体系 ギリシア文字マニ文字
言語コード
ISO 639-3 xbc
Linguist List xbc
テンプレートを表示
スルフ・コタル出土のバクトリア語碑文(1957年発掘)。ギリシア文字で書かれている。
カニシカ1世の貨幣。 ϷΑΟΝΑΝΟϷΑΟ ΚΑΝΗϷΚΙ ΚΟϷΑΝΟ(王の王、カニシカ、クシャン)

バクトリア語(バクトリアご)は、中央アジアバクトリア(現在のアフガニスタン北部、別名トハリスタン)を中心とする地域で使用された言語インド・ヨーロッパ語族イラン語群に分類される。

歴史

バクトリア語は、クシャーナ朝(1世紀 - 3世紀)の時代から8・9世紀ごろまで使われた[1]

紀元前4世紀のアレクサンドロス大王以来、バクトリア地方ではギリシア人の支配が続いたが、紀元前2世紀後半になると月氏などが侵入した。クシャーナ朝でははじめギリシア語を公用語としていたが、カニシカ1世のときにバクトリア語を公用語に改めた[1]。文字としてはひきつづきギリシア文字を使用したため、バクトリア語はイラン語派中唯一ギリシア文字で筆記される言語になった。

クシャーナ朝は勢力が広かったため、バクトリア語もインド北部から中央アジアトゥルファンに至る地域まで使用された。

エフタルの侵入後もバクトリア語は使われつづけたが、7世紀のアラブ人の侵入を経て絶滅した。

資料

バクトリア語の資料は近年まで非常に限られていたが、1990年代以降大幅に増加した[2]

バクトリア語の資料にはカニシカ1世以降の貨幣印章碑文文書および落書きなどがある[1]。碑文は1957年に発見されたスルフ・コタルのものが有名であったが、1993年にラバータク碑文が発見された。文書は中央アジアで見つかったわずかな断片しかなかったが、1991年以降100点もの文書が知られるようになり、その多くはナセル・ハリリ英語版のコレクションに加えられた[2]

文字

バクトリア語はギリシア文字で書かれるが、ギリシア語にない [ʃ] の音を表すための文字 Ϸ が追加されているため25文字になっている。玄奘は覩貨邏国(トハリスタン)で25文字から構成され、左から右に読む文字を使っていると書いているが、バクトリア語の文字を指していると考えられる[3]

碑文の文字は通常のギリシア文字で書かれるが、文書や後期の貨幣では草書体のギリシア文字が使われ、解読が困難である。

ギリシア文字のほかにマニ文字でバクトリア語を書いたトゥルファン出土の文書がひとつ知られている[1]。複数の文字体系で書かれているため、バクトリア語の音韻はほかの中期イラン語にくらべて詳しくわかっている。

他言語との近縁関係

音韻からみてバクトリア語は東イラン語に属し、パシュトー語ソグド語などと近縁関係にある。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d N. Sims-Williams (1988). “Bactrian Language”. Encyclopaedia Iranica. http://www.iranicaonline.org/articles/bactrian-language 
  2. ^ a b ニコラス・シムズ=ウィリアムズ、熊本裕訳 『古代アフガニスタンにおける新知見』、1997年。 オリジナルの2012年9月11日時点によるアーカイブhttp://web.archive.org/web/20120911015250/http://www.gengo.l.u-tokyo.ac.jp:80/~hkum/bactri_j.html 
  3. ^ 大唐西域記』巻一「出鉄門、至覩貨邏国。(中略)字源二十五言、転而相生、用之備物。書以横読、自左向右。文記漸多、逾広窣利。」

関連項目

外部リンク



「Bactrian language」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Bactrian language」の関連用語

Bactrian languageのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Bactrian languageのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのバクトリア語 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS