齊藤泥雪

現代俳句データベース(人名)

齊藤泥雪

齊藤泥雪の俳句

あけぼのの霧がはなるる鷺の丈

ねぷた小屋前の踏板疲れをり

ピラミッド造れる程の雪捨場

二夜ほど機嫌よろしき螢かご

卒業の列が過ぎゆく大鏡

可愛い気のもどるが如し風邪の妻

地球儀に帽子被せる夏休み

外灯のどこかで逸れし雪女

大雪のあとの小止みの窓明り

好々爺さらに小さく春を病む

嬰も犬もねぷた囃子に慣れにけり

捨て傘の骨生きてゐる十二月

教科書に弁当の染み二月尽

日出於忌や苦みの抜けぬ塩蕨

林檎鈴生り八十翁の話好き

枯野より何掴みきて手を洗ふ

梅雨深し白墨減らす化学式

正月の顔して犬に曳かれをり

殺生の水きらきらと下り簗

津軽野の巨き闇生む吹雪かな

海鳴りの戸口に人の香雪明り

濁りみな早苗の元に収まりぬ

焚火の輪選挙運動する人も

眠りゐる蛇に近づく御霊あり

素うどんの華となりたる寒卵

臥龍山系初日のつばさ得たるかな

草原に溺れてゐたり虹の脚

草紅葉夫婦異なる体操す

葦原に波の分け入る雪解水

裸木の貫禄走り根に及ぶ

逃水を津軽の北へ北へ追ふ

除雪車に見放されたる別荘地

雪解風誰彼となく抱き付きぬ

雲の峰腹式呼吸して太る

鮭の胴のたうつはまた打たれけり