増積み擁壁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/10 00:16 UTC 版)
増積み擁壁(ましづみようへき)は既存の擁壁の上部に更に土留めや擁壁を設置してかさ上げをした状態を指す。宅地造成及び特定盛土等規制法や建築基準法、がけ条例に不適合であり、危険な構造であることから原則継続利用は認められない[1][2][3]。
概要
土地の所有者が既存の擁壁の高さよりも高い位置をその土地の地盤高としたい場合、もとの擁壁を撤去したうえでより高い擁壁を設置するべきである。しかしその方式は費用がかさむことから既存の擁壁の上に更に擁壁やコンクリートブロック積みの土留めを設置し、そこに盛土をすることがあった。増積みした場合、既存の擁壁は既存の擁壁の高さ分の土圧に耐え得るように設計されている[注釈 1]が、その上に更に盛土をすることで増える土圧は考慮されていないため地震や集中豪雨の際などの崩壊の危険性が高くなる[4][5][6][7][8]。なお、見た目が似ているものに「擁壁の上のブロック塀」があるが、ブロック塀の裏側に土が盛られていない場合は擁壁ではなく塀となることから増し積み擁壁にはあたらない[5]。
脚注
注釈
- ^ 高さ2m以下の擁壁は準用工作物に該当せず、確認申請の義務がないため設計当初の土圧すらも耐え得る設計になっていない可能性がある。
出典
- ^ “福岡市建築基準法施行条例 第 5 条 (がけに近接する建築物の制限) の解説・設計の留意事項及び がけ条例・既存擁壁等に関する Q&A集”. 福岡市 (平成30-12). 2025年7月9日閲覧。
- ^ 中川寛子. “安全な擁壁の見分け方、改修費用を徹底調査。わが家の安全を守ろう”. LIFULL HOME'S. 2025年7月9日閲覧。
- ^ 『宅地開発 (167)』1998年1月。doi:10.11501/2266579 。2025年7月9日閲覧。
- ^ “盛土・宅地防災:宅地擁壁について - 国土交通省”. www.mlit.go.jp. 2025年7月9日閲覧。
- ^ a b “既存擁壁の安全確保について お宅の擁壁は大丈夫ですか?”. 東京都多摩建築指導事務所. 2025年7月9日閲覧。
- ^ “高さ2m超の擁壁に注意 住宅購入前に「がけ条例」を確認”. 日本経済新聞 (2024年7月15日). 2025年7月9日閲覧。
- ^ 『宅地造成の実務』1979年。doi:10.11501/12598243 。2025年7月9日閲覧。
- ^ 『建設月報 49(5)(563)』1996年5月。doi:10.11501/3361710 。2025年7月9日閲覧。
関連項目
- 二段擁壁
- 空石積み擁壁
- 張出し床版付擁壁
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