三谷昭とは? わかりやすく解説

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三谷昭

三谷昭の俳句

ある窓は星燃ゆる夜を労働歌
ある街の木瓜の肉色頭を去らず
いとゞ飛ぶ電球暗き市場にて
げんげ田に恋猫がゐて神宿る
ごうな消え浜は汐ふく穴あまた
しどみ野の窪みよ遠く湧く汽笛
しんかんと炎天ザイル垂るるのみ
つかのまや飽食の蛭かがやかせ
でで虫が死して粘りを出しつくす
わが一生女はいつも野火に似て
わが五月レモンの汁を胃のおとし
わが忍苦ともしき薔薇よ窓に咲け
ビール乾す市民よハムはやせたれど
亡命に似て岸壁の鴉追う
人を憎み深夜も蠅を憎み打つ
低く翔ぶ高層都市の梅雨の蝶
佳人逝く無明の羊歯に眼鏡澄み
傷兵の義肢が跼める荒筵
冬落暉檻のけものら声挙げて
冷酒澄みコツプにきざす夕茜
切株や蓬は長けて人老いて
十月の路上父の手冷たかり
原爆の灰の中にも蝶がいる
原爆の無数の蝶が降りてくる
啼く鳩をいぶかしむ子と目覚めおり
地に子供春の夕焼母のごとし
坑を出て荒男の仰ぐ星寒し
夕焼けて窪みは暗き薊原
夕虹がうすれ白猫ひるがえる
外套の老いたる父にふと遅れ
夜々の星檸檬をしぼりながらへて
天冥く傷兵草を見ず歩く
女体透く岩湯に楡のあおければ
妹あわれ野遊の飯食みこぼし
妻遠き夜を大文字四方に燃ゆ
尾を持たぬさびしさに秋立ちにけり
山鳩は山恋う胸をふくらます
巌噛むは冬濤すべて三角波
抽斗に媚薬と星を閉じこめる
日照草麻疹のはやる村はづれ
春しんと狂院の女医もの食む刻
暗がりに檸檬泛かぶは死後の景
暗緑光あつめ流木上下動
曼珠沙華消えて大地に骨ささる
望遠鏡女が覗く秋果手に
朝焼の暗きところに耳二つ
木瓜紅しすべての骨が老い初めて
死が見える白い落花の吹き溜り
死ぬために天上帰る雁ならめ
死のあとも花菜明かりはおさなしや
 

三谷昭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/15 04:14 UTC 版)

三谷 昭(みたに あきら、1911年6月5日 - 1978年12月24日)は、東京府出身の俳人編集者

生涯

東京府巣鴨村(現豊島区)生まれ。東京府立第五中学校(現小石川高等学校)卒。1930年に素人社に入社。『俳句月刊』『俳句世界』編集に携わる。1936年赤坂区役所嘱託となり『赤坂区史』を編纂。「京大俳句」「天香」等に参加したが、1940年、新興俳句弾圧事件に連座し検挙された。1941年に実業の友社に入社、『新女苑』『オール生活』編集長を歴任。

戦後は「天狼」「俳句評論」「面」などに同人参加。1946年新俳句人連盟に入会するが翌年退会し現代俳句協会に加入、機関誌『俳句芸術』の編集に携わる。1961年より協会幹事長、のち初代会長を務める。1976年、第1回現代俳句協会賞功労賞受賞。

1978年12月24日、67歳で死去。

代表句「暗がりに檸檬浮かぶは死後の景」。句集に『獣身』『三谷昭句集』、ほかに『現代の秀句』などの著作がある。

編著書

  • 『人生対談』編 角川新書 1955
  • 『ゼロからの成功法』青春出版社 青春新書 1961
  • 『現代の秀句 俳句鑑賞のすべて』大和書房 1969
  • 『人に負けない戦略 "一歩立ち遅れ"て泣かねばならないとき』大和書房 1970
  • 『現代俳句用語表現辞典』編 俳句研究社 1976.
  • 『俳句史論集』三谷昭俳句史論集刊行会 1979
  • 『三谷昭全句集』俳句評論社 1983

参考文献

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