モシレチクコタネチクとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > モシレチクコタネチクの意味・解説 

モシレチク・コタネチク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/12 08:02 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

モシレチク・コタネチクMoshirechik-Kotanechik)はアイヌの伝承で魔神。ロングバージョンは「モシレチク・コタネチク、モシロアシタ・コタネアシタ」という。

金田一京介全集十一アイヌ文学Vp337-に、「アイヌラックル(が)悪魔から神を救い出す話」として、新冠のトメキチが伝承していた「魔人の手から日の女神を救い出す話」(トカプチュプカムイはアイヌの日の女神)がいる。

あらすじ

粗筋は、魔神、モシレチク・コタネチク、に囚われた日神をアイヌラックルが救出するという天照大神天岩戸隠れに似た話である。この魔神は「巌の鎧を被った様は、小山が手をはやし、脚を生やしたに異ならず。トドの皮の縄を以て、櫂ほどの太刀を腰に縛りつけ、片方の目は紫蘇の実の粒ほどに小さく、片方の目は満月の如くにむき出した大怪物である」という。この悪神は、日の出の時にも日の入りの時にも、太陽を呑もうとして大口を開けるので、神々はその口の中に、朝には狐を二匹投げ込み、夕方には烏を十二羽投げ入れて、その隙に何とか日神を無事に通過させていた。ところがある日のこと、モシレチク・コタネチクはとうとう日の出時に太陽を捕え、彼女を木の筐カゴ六、金の筐六、巌の筐六を重ねた中に入れ、その周囲に、それぞれ六重に、巌の柵と金の柵と木の柵を巡らした。このため世界は暗闇になり、人間も神々も眠り込んだまま眼を覚ますことが出来ず、眠り疲れて眠り死にするものが続出する有様になった。神々の中でも特に強力なものたちは、日神を助け出そうとして、悪神の城に出掛けて行ったが、彼等は皆、城の柵の外に行き着いたところで悪神に捕らえられ、彼の怖ろしい魔力によって赤児に変えられて、揺り篭に入れられてしまう始末であった。[1]救出された日の神に関して、アイヌラックルは「雲の小船を手早く作り、船のみよしに手早く雲の倭人の童を造り、艪のわきに手早く雲のアイヌの童を造り、雲の小楫をリウと後ろへそりをうたせ、船の中央には雲の小帆を取り付け、帆の中央に日の神をくっつけて、蒼空めがけて投げたのである。ここに於いて世界が再び照りかがやいた。」しかしアイヌラックルとこの魔人との戦いはオイナ(古伝)の中でも特にポロオイナ(大伝)と云って著名なものであるが、秘曲であってめったに謡わないから、その伝えも早く失われてしまったのである。そはともあれ、この物語りはアイヌラックルが魔人の手から女神を救う説話の最も典型的な物語で、多く類型の説話の中には、あるいはこれから影響を受けて出来たものもあるかのように思われる。[2] あるバージョンは言う:「悪神はこれを見て怒り、大きな吼え声を発しながら、アイヌラックルに襲い掛かって来た。アイヌラックルはまず足を上げて悪神の城を地獄の底に蹴落とし、その後で日の神を雲の小船に乗せて空中に投げ上げた。このようにして世界に陽光の輝きを取り戻させておいて、彼は悪神を地底の冥界へ誘オビき出し、其処で大神と力を合わせ六年の間この難敵と死闘を演じた末に、遂に悪神を地獄の底へ蹴落とした。」[1]

名前

この説話というか名前を紹介したのは、一般的にアイヌ説話を紹介しようと言う事、日の神が魔神に囚われるという天照大神の岩戸隠れに通じそうな事の紹介、そして、この名前をもう少し考えてみたいからである。

コタネチクチク・モシレチクチク(村滴滴国滴滴)(むら、たらたら、くに、たらたら)の名は何の謂れであるか、今まで如何なる古老に問ってもはっきり答えるものがない。何の意味だか、すでに忘れられているそうだ。止むを得ず短い方の名前を「村滴々、国滴々」と訳出して「村、たらたら、国、たらたら」と読んでいる。[3]など。chik=滴る、(雫が)落ちる、だからだ。

アイヌラックル(半人半神)の名前は moshir shitchire, kotan shitchire, oipepi poro, sanenkor suoyankep sani である、という。[4]これは「国焼郷焼大椀額際鍋抱の子」と訳出されている。しかし筋は全然別な説話である。[5]

モシレチク・コタネチクが登場する作品

ゲーム

  • 大神 - 双魔神モシレチク・コタネチク。その姿から黄金魔神モシレチク、白銀魔神コタネチクと呼ばれる。腹部に時計の機械が埋め込まれたカラクリ仕掛けのフクロウの様な姿をしている[6]
  • Fate/Grand Order -期間限定イベント『神秘の国のONILAND!!』で登場した[7]

脚注

  1. ^ a b [1]
  2. ^ [2]
  3. ^ 金田一京介全集十一アイヌ文学Vp341
  4. ^ 金田一京助全集十一アイヌ文学V:p305など
  5. ^ [3]
  6. ^ 『大神絵草子 絆 -大神設定画集-』カプコン 137頁
  7. ^ [4]



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  モシレチクコタネチクのページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

モシレチクコタネチクのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



モシレチクコタネチクのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのモシレチク・コタネチク (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS