マンスール (曖昧さ回避)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/09 00:38 UTC 版)
マンスール(アラビア語: منصور, ラテン文字転写: Manṣūr)は、「(神からの)助力を受けた(者)」「(神の助力の結果勝利を得た)勝利者」を意味するアラビア語のアラブ男性名、アラブ家名[1]ならびにイスラーム教徒男性名。
ナセルと書かれることもあるアラビア語能動分詞で男性名としても用いられるナースィル(アラビア語: ناصر, ラテン文字転写: Nāṣir, 「助力者、支援者」の意)[2]、動名詞で男性名やスポーツチーム名などとしても用いられるナスル(アラビア語:نصر, 「勝利」「支援、援助」の意)[3]とは語根を同じくし「援助、支援、助力」や「勝利」に関する概念を共有し合う姉妹語に当たる。
イスラーム王朝の君主
中世の君主については本人のファーストネームではなくラカブ(尊称、アラビア語: لقب, ラテン文字転写: laqab)として用いられた例が多い。
尊称の場合は「神の助力を受けし者」という形で用いられることからアラビア語では定冠詞を伴う المنصور(al-Manṣūr, アル=マンスール)という形を取る。しかしながら日本では学術的カタカナ表記と一般記事の表記の両方においてこの定冠詞を省略する慣行がある[4]ため、アッバース朝カリフのように原語のアラビア語ではアル=マンスールである称号がマンスールに置き換わり、アル=マンスールのように書かれることは少ない。
- マンスール - アッバース朝の第2代カリフ。
- ヤアクーブ・マンスール - ムワッヒド朝の第3代アミール。
- シャー・マンスール - ムザッファル朝の最後の君主。
- マンスール・アリー - バフリー・マムルーク朝の第3代スルターン。
- マンスール・ラージーン - バフリー・マムルーク朝の第12代スルターン。
- マンスール・アブー=バクル - バフリー・マムルーク朝の第16代スルターン。
- マンスール・ウスマーン - ブルジー・マムルーク朝の第13代スルターン。
- マンスール (モグーリスタン) - モグーリスタン・ハン国のハン。
その他の人物
近代以降では、ファーストネームであるイスム(個人名、アラビア語: اسم, ラテン文字転写: ism)に用いられている。
日本のような姓・名字制度が存在しない中東地域などでは父親、父方祖父、父方曽祖父ほかのファーストネームがラストネームとなったり家名として定着し代々引き継がれることも多いため、「女性名・マンスール」「女性名・男性名・マンスール」といった形でフルネームに登場するなどする。
- マンスール・イサエフ - ロシアのダゲスタン共和国出身の柔道選手。
- マンスール・オジェ - シリア生まれのサウジアラビアの大富豪、実業家。
- マンスール・コルドバッチェ - イラン出身の美術家。
- マンスール・ジャーニュ - セネガル出身の日本のタレント、モデル、マネージャー。
- マンスール・チャーヴォシー - イランの外交官、大使。
- マンスール・バーラミ - イラン出身のテニス選手。
- アドリー・マンスール - エジプトの判事、最高憲法裁判所長官、暫定大統領(2013年 - )。
- アフタル・ムハンマド・マンスール - ターリバーンの2代目最高指導者。
- アブド・ラッボ・マンスール・ハーディー - イエメンの大統領(2012年 - )。
- サイイド・マンスール・ナーディリー - アフガニスタンのイスマーイール派指導者。
- タラル・マンスール - カタールの陸上競技選手。
- コートニー・マンスール - カナダ出身の女性フィギュアスケート選手。
- ハイファ・アル=マンスール - サウジアラビア出身の女性映画監督。
- ジョエリトン・リマ・サントス - ブラジルのサッカー選手。
- マンスール (後ウマイヤ朝宰相)
脚注
- ^ “المعاني : معانس الأسماء - منصور”. 2025年1月9日閲覧。
- ^ “المعاني : معاني الأسماء - ناصر”. 2025年1月9日閲覧。
- ^ “المعاني : معانس الأسماء - منصور”. 2025年1月9日閲覧。
- ^ 『岩波 イスラーム辞典』岩波書店、2002年、11頁。
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