ホーンブロワーシリーズ
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『ホーンブロワーシリーズ』は、セシル・スコット・フォレスター(1899年 - 1966年)の、ホレイショ・ホーンブロワーを主人公とした海洋冒険小説シリーズの総称。
- ^ 18世紀の英国海軍では、士官を目指す少年は、10代前半で海軍に入り、縁故のある艦長の下で士官候補生としてキャリアを始めるのが通常であった。海軍士官の多くが貴族かそれに準じる上流階級の出身であり、平民出身者は士官候補生の地位を得ること自体が難しく、海尉 Lieutenant への任官・海尉艦長 Commander への昇進・勅任艦長 Post Captain への昇進のいずれも、貴族出身者(コネのある者)には容易なことであるのに対し、平民出身者には高い壁となった。ホーンブロワーの親友であり、やはり平民出身であったブッシュは、ホーンブロワーより年長で、ホーンブロワーより先に海尉に任官したが、勅任艦長への昇進はホーンブロワーより6年遅れた。ホーンブロワー・シリーズには、昇進の機会を得られずに海軍生活を終えようとしている「白髪の老海尉」が登場し、艦長や提督に栄進しているホーンブロワーが「自分も運に恵まれなければ海尉で終わっただろう」と想起するシーンが何度もある。
- ^ 『ナポレオンの密書』は、物語の時系列では、『砲艦ホットスパー』と『トルコ沖の砲煙』の間に入る。
- ^ 『最後の遭遇戦』は、短編として一応完結する内容である。しかし、訳者の高橋泰邦は、これは未完の長編の序章であるとし、「ホーンブロワーは嫌いなフランスと組み、好きなロシアと戦うべく、老軀をおしてふたたび英国艦隊を率い、遠征の途に出で立つ運命ではなかったろうか・・・」と記している。
- ^ ブラウンは、何をやっても上手にこなし、ホーンブロワーが「ブラウンは自分よりずっと立派な社会人だ」「ブラウンが教育を受け、士官候補生として海軍に入っていれば、艦長になっていただろう」と認めるほどに有能。ホーンブロワーは、水兵の身分である艇長から、准士官の身分である航海士 (Master's mate. 海尉任官試験の受験資格がある) への昇格をブラウンに打診したが、辞退された。
- ^ 士官候補生として軍艦に乗り組み、海軍士官への道を踏み出すには、縁故がないと困難であった。ジャスティニアン号に乗り組んだホーンブロワーを艦長室に呼んで面接したキーンは「きみは医者の息子か…独力で出世したかったら、貴族を父親に選ぶべきだったな」と辛辣に言っており、ホーンブロワーとの縁故は伺えない。
- ^ 貴族出身でなく、海軍本部や政府・議会に縁故がないホーンブロワーが、28歳という比較的若い時期に勅任艦長に昇進できたのは、コーンウォリスの恩顧によるもの。
- ^ 18世紀末のイギリスでは、庶民は読み書きができないのが普通だった。また、属する階級が訛りで識別できた。マリアは、結婚前に教師をしていた経歴に加え、海上のホーンブロワーと手紙のやり取りをしており、ホーンブロワーについての新聞や海軍公報の記事を苦もなく読んでおり、高い読み書き能力を有していた。また、庶民階級の訛りで話していた描写がない。ホーンブロワー・シリーズの中に、マリアの亡父についての情報は皆無だが、ホーンブロワーやブッシュと共通の「庶民よりは上の階級」に属していたと思われる。
- ^ ブッシュが海尉として乗り組んでいた戦列艦「テメレーア号」は、トラファルガー海戦において、ネルソンの旗艦である戦列艦「ヴィクトリー号」に続航する2番艦として奮戦した。
- 1 ホーンブロワーシリーズとは
- 2 ホーンブロワーシリーズの概要
- 3 主な登場人物
- 4 本作を題材とした作品
固有名詞の分類
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