フォー・ウィメン・スコットランド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/27 04:53 UTC 版)
フォー・ウィメン・スコットランド(英語: For Women Scotland)は、スコットランドの活動団体。個人が自己申告によって法的文書に記載された法的性別を変更することを認める法律などに反対している[1]。反トランスジェンダーであると評されている[2][3]。
歴史
この団体は2018年に設立され、トリナ・バッジ、マリオン・カルダー、スーザン・スミスがディレクターを務めている[4][5]。
活動
「性別は2つしかなく、人の性別は選択できず、変更もできない」という信念を表明している[8]。
16歳と17歳の若者が自己申告によって法的な性別を変更できるようにする2004年性別認定法の改正案は「女性の権利を侵害し、2010年平等法に違反する」と述べている[9]。
2025年4月、この団体が開始した長期にわたる法廷闘争の結果、最高裁判所は「2010年平等法における『女性(woman)』および『性別(sex)』という用語は、生物学的な女性および生物学的な性別を指している」という判決を下した[10][11]。つまりこの法律(2010年平等法)における法的な性別の定義は生物学的なものであり、性別認定証明書(GRC)を持つトランスジェンダーの人々は含まれないという判断となった[10]。ただし、同時に裁判判決では、2010年平等法は依然としてトランスジェンダーの人々に差別からの保護を提供しているとも強調した[10][12]。この判決は「トランス女性は女性ではない」という主張を支持したわけではなく[13]、「女性とは常に生物学的女性を意味する」とみなしたわけでもなく[14]、トランスジェンダー女性は「女性」あるいは「トランスジェンダー」とみなされることを理由とする差別から依然として保護されている[13]。裁判官も「この判決を、社会のある集団が別の集団を犠牲にして勝利したと解釈するのはやめてもらいたい」と忠告した[15]。一方でフォー・ウィメン・スコットランドのディレクターのマリオン・カルダーは「ドアに女性用と書かれた看板があれば、そこは今から単一の性別空間になります。今日の判決によってそれは極めて明白になりました」と述べた[13]。
批判
フォー・ウィメン・スコットランドは、LGBTQのメディアや専門家から、反トランスジェンダーであると評されている[3][11][16][17][18]。
インターセクショナル・フェミニスト団体の「シスターズ・アンカット」は「フォー・ウィメン・スコットランドの行動や発言はスコットランドのトランスジェンダーおよびノンバイナリー・コミュニティに実際のダメージを与えている」と批判している[1]。
出典
- ^ a b Brooks, Libby (2019年2月1日). “Scottish feminist group says transgender laws risk women's rights”. The Guardian. オリジナルの2021年2月22日時点におけるアーカイブ。 2025年4月17日閲覧。
- ^ “Pub manager targeted by sick trolls after calling police on anti-trans group”. PinkNews (2021年8月23日). 2025年4月17日閲覧。
- ^ a b “Scottish court rejects campaign appeal to axe trans inclusion in gender legislation”. Gay Times. オリジナルの2021年11月28日時点におけるアーカイブ。 2025年4月17日閲覧。
- ^ Paciaroni, Sara (2021年7月20日). “Women Won't Wheesht: protesters in Glasgow Green are joined by comedy writer Graham Linehan”. Herald. オリジナルの2021年8月11日時点におけるアーカイブ。 2025年4月17日閲覧。
- ^ Hyland, Jennifer (2020年9月6日). “Women's rights campaigners 'living in fear of trans attack' after vile abuse directed at group”. Daily Record. オリジナルの2021年6月4日時点におけるアーカイブ。 2025年4月17日閲覧。
- ^ “Legal definition of woman is based on biological sex, UK supreme court rules”. The Guardian (2025年4月16日). 2025年4月18日閲覧。
- ^ “JK Rowling toasts ‘TERF VE Day’ and confirms donation to group behind Supreme Court case”. PinkNews (2025年4月17日). 2025年4月18日閲覧。
- ^ Stephens, Max (2022年10月9日). “JK Rowling calls Nicola Sturgeon a 'destroyer of women's rights'”. The Sunday Telegraph 2025年4月17日閲覧。
- ^ Johnson, Simon (2021年8月23日). “Nicola Sturgeon facing backlash over proposed gender legislation”. The Daily Telegraph (London). オリジナルの2021年8月24日時点におけるアーカイブ。 2025年4月17日閲覧。
- ^ a b c “Four key takeaways from the Supreme Court’s ‘definition of a woman’ ruling”. PinkNews (2025年4月16日). 2025年4月17日閲覧。
- ^ a b “UK Supreme Court rules that trans women are not women under the law”. LGBTQ Nation (2025年4月16日). 2025年4月17日閲覧。
- ^ “英最高裁、平等法における女性を「生物学的性別」と定義 トランスジェンダーの保護も強調”. BBC (2025年4月17日). 2025年4月17日閲覧。
- ^ a b c “Thursday briefing: What a landmark supreme court ruling on biological sex does – and doesn’t – mean”. The Guardian (2025年4月17日). 2025年4月18日閲覧。
- ^ “「女性」の法的定義めぐるイギリス最高裁判決 識者からの警鐘”. 朝日新聞 (2025年4月17日). 2025年4月18日閲覧。
- ^ “Supreme Court rules that the word ‘woman’ in UK law refers to ‘biological women’”. Attitude (2025年4月16日). 2025年4月18日閲覧。
- ^ “Anti-trans protesters wearing suffragette colours boo Nicola Sturgeon without a hint of irony”. Pink News. オリジナルの2021年11月28日時点におけるアーカイブ。 2025年4月17日閲覧。
- ^ “U.S. activists call U.K. anti-trans ruling 'a serious blow' to human rights”. The Advocate (2025年4月16日). 2025年4月18日閲覧。
- ^ “Scottish newspaper The National bites back at JK Rowling’s claims it is ‘anti-woman’”. Attitude (2025年6月20日). 2025年6月27日閲覧。
関連項目
- フォー・ウィメン・スコットランドのページへのリンク