イェメク

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イェメク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2025/10/23 02:37 UTC 版)

イェメク人またはキメク人はキメク・キプチャク連邦を構成するトルコ系部族であり、アブ・サイード・ガルディズィー（1061年没）によれば、キメク・キプチャク連邦を構成する他の6つの部族はイムール人（またはイミ人）、タタール、バヤンドゥル人、キプチャク、アニカズ人アジュラド人であった。

民族

ミノルスキーは、マルクヴァルト、バルトルド、セミョーノフなどの文献を引用し、キマク（発音はキマク）という名称はイキ・イマク（「二つのイマク」）に由来し、おそらく連邦の最初の二つの氏族（イミーとイマク）を指しているのではないかと提唱した。[3] 一方、プリツァクは、キメクをクモ・シー連邦のモンゴル祖語クモ（庫莫奚、中期中国語：kʰuoH-mɑk̚-ɦei、*qu(o)mâġ-ġay、「黄色っぽい」*quoと名詞接尾辞*-mAkから）と結び付けようとした。ピーター・B・ゴールデンは、プリツァクの再構成を「非常に問題がある」と評価している。プリツァクはクオマがどのようにしてキメクを生み出したのかを説明していないからである。それでも、ゴールデンは依然として原モンゴル語世界とのつながりを真剣に考えている。[4] マフムード・アル＝カシュガリはキメクについては言及せず、ヤマクについては言及している。さらに、彼と同じようなカラ・ハン朝はイェメクを「キプチャク人の一族」と見なしていたが、同時代のキプチャク人は自分たちを別の一派と見なしていたと述べている。[5][6][7]イェマクという民族名は、7世紀半ばに中国の著述家によって鹽莫 Yánmò < 中期中国語 *jiäm-mâk[8] と転写された可能性がある。これは、当初モンゴル北西部に居住し、その後アルタイ山脈北部とイルティシ地方に移住したティエレ族を指す。[9][10][a] 当初、ゴールデン (1992:202, 227, 263) は、中世キプチャク語方言のいくつかにおいて、/k/ > ∅ （つまりキメク > イメク）が実際に確認されているため、キメク族をイメク族/イメク族/イェメク族と同一視していた。また、ゴールデンは、イェメク族が中国語資料において鹽莫 *jiäm-mâk > Yánmò である可能性は低いと考えていた。[13] しかし、ゴールデンは後に考えを変えている。彼は、中世キプチャク方言の音変化/k/ > ∅が7世紀半ばの古テュルク語ではまだ起こっていなかったため、イェメク族とキメク族の同一視は議論の余地があると主張している。その結果、ゴールデン（2002:660-665）は後にキメク族 > イェメク族の同一視を放棄し、ハンビス、ズエフ、クメコフといった学者による鹽莫ヤンモとイェメク族の同一視（ゴールデン（1992:202）に引用）に賛同するようになった。[14] ティシン（2018）によれば、イェメク族は7つの構成部族の中で最も重要な部族であり、その代表者たちはイルティシュ渓谷で会合し、そこで多様なキメク族の部族連合が形成されたとガルディジは述べている[15]。

歴史

西突厥カガン国では、チュムクン族とチュバン族という二つのチュイ族が、連合のオノク族のエリート層として投票権を持つ特権的な地位を占めていた[16]。一方、チュエ族とチュミ族はそうではなかった。チュエ族の一部は突厥の残党と混血し、シャトゥオ族と呼ばれる部族を形成し、ジュンガル南部、バルコル湖の西側に居住した[17]。シャトゥオ族は7世紀半ばにチュエ族から分離した。 （チュイ族のもう一つの構成員であるチギル族は、帝政ロシアとソビエト連邦初期の数十年間に行われた国勢調査に依然として記載されていた。） 西暦743年に西突厥カガン国が崩壊した後も、チュイ族の一部はその後継国であるウイグル・カガン国（740-840）に留まり、他の一部は独立を維持した。[18] ウイグル時代には、チュイ族はアラブとペルシャの文献でキマク族として知られる部族の中核に統合された。[19]レフ・グミリョフは、ドゥオル・チュイ族の一つであるチュムクン（處木昆、< *čomuqun「水に浸かった、溺れた」）[20]をキメク族と関連づけた。これは、両者が偶然にもセミレチエという同じ領土を占領していたこと、そしてチュムクンは中国人にのみ知られ、キメクはペルシャ人とアラブ人にのみ知られていたことによる。[21][22] キメク連合の長は、シャド・トゥトゥク（「太守」）[23]（トゥトゥクは中期中国語の都督（tuo-tuok「軍事知事」に由来）[24]）という称号を持ち、またイナル・ヤブグ（Yinal Yabghu）という称号も持っていたとガルディジは述べている。[25] 8世紀半ばまでに、キメク族はウラル川とエンバ川の間、そしてアラル海とカスピ海ステップからジェティス地域に至るまでの領土を占領していた。 キメク・ハン国 編集 主要記事：キメク・ハン国 840年にウイグル・ハン国が崩壊した後、イエメク族は新たな政治的部族連合を率い、キメク王国を樹立した。アブ・サイード・ガルディズィー（1061年没）は、キメク連邦は7つの部族、すなわちイエメク族（アル：ヤマク族 < MTrk *Yemǟk または *(Y)imēk）、エイムル族、タタール族、バヤンドゥル族、キプチャク族、ラニカズ族、アジュラド族で構成されていたと記している。後に拡大したキメク・ハン国は、オグズ族、カンリ族、バグジャナク族の領土を部分的に支配し、西側はハザール族とブルガール族の領土と接した。キメク族は半定住生活を送っており、フドゥードには*イマキヤ（> ヤマッキヤ > ms. ナマキヤ）という町が記されている。一方、キプチャク人は、いくつかの慣習において、遊牧民であった同時代のオグズ族に類似していた。[26][27] 11世紀初頭、キプチャク・ハンルィクは西方へと移動し、以前はオグズ族に属していた土地を占領した。オグズ族の領土を奪取した後、キプチャク人は著しく勢力を拡大し、キメク族はキプチャク人の従属国となった。11世紀半ばのキメク・カガン国滅亡は、中央アジアからモンゴル語を話す遊牧民が移住したことが原因であった。これらの遊牧民は、916年に中国北部で成立したモンゴル語を話す契丹族の国遼によって追い出された。契丹族の遊牧民は、イルティシ川以西のキメク族とキプチャク族の領土を占領した。 11世紀から12世紀にかけて、モンゴル語を話すナイマン族が西方へと移動し、モンゴル領アルタイ地方と上イルティシュ地方に住んでいたキメク族とキプチャク族を追い出した。 9世紀から13世紀にかけて、キメク族は現在のロシア連邦アストラハン州の草原で遊牧生活を送っていた。オビ川とイルティシュ川の合流地域を離れたキメク族の一部は、モンゴル侵攻まで存続したキプチャク連邦に加わり、後にキプチャク族の子孫であるノガイ連邦と統合した。ロシアの史料に残るノガイ族の最後の組織化された部族は、17世紀から18世紀にかけてロシア人がドン川とヴォルガ川の地域にザセカ防壁を建設した際に解散した。この防壁は、牧畜民と夏の牧草地を隔てていた。ノガイ族の別の一部は、18世紀から19世紀初頭にかけてロシアが西ウクライナとモルドバを征服した後に、ブジャク草原から追放された。