特許事務所 特許業務法人

特許事務所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/15 06:47 UTC 版)

特許業務法人

特許業務法人の数:313法人(2021年9月末現在)[6]、183法人 (2013年6月末現在)[7]

特許業務法人制度の目的は、基本的に弁理士が行ってきた業務を法人が行えるようにするものであり、法人の所有者である社員については弁理士に限定され、債権者に対する社員責任については、社員の連帯による無限責任制であり、2名以上の弁理士が共同して定款を作成し、登記することをもって設立されるものである。

特許業務法人制度は、専門化・高度化する知的財産専門サービスへのニーズに対応するために、総合的サービスの提供を実現すべく導入されたものであるが、現在の法人数は 183法人 (2013年6月末現在) にとどまっており、その利用が十分に進んでいない。アンケート調査等によれば、利用が進まない最大の要因は社員の無限責任[注釈 1]にあり、具体的には、特許業務法人の大規模化を図ろうとした場合、社員数が多くなれば自己の知り得ないうちに他の社員が関与した業務にまで無限責任を負うことから、大規模法人化が進まないのではないかとの指摘がある。

弁理士法人

「特許業務法人」の名称では取扱業務が正確に反映されないなどの声を受けて、2021年2月、特許庁において、法人名を「弁理士法人」と改正する方向性が示された[8]

特許法等の一部を改正する法律(令和3年5月21日法律第42号)が令和3年5月14日に制定され、これに伴って、弁理士法が改正され、「特許業務法人」という名称が「弁理士法人」という名称に変更することになった[9]。令和3年法改正が施行後、1年以内に特許業務法人は弁理士法人に名称を変更する登記をすることが求められる。

弁護士法は弁護士法人について定め、税理士法は税理士法人について定めていることから、令和3年弁理士法改正で平仄を合わせることになる。


注釈

  1. ^ たとえばある活動を任意団体として行った場合に、それに対する無限責任が発生するところ、法人であれば有限責任でよくなる、つまり責任が軽減されることがある。しかし特許業務法人では責任が軽減されるものではない。

出典

  1. ^ 弁理士及び特許業務法人に対する経済産業大臣による懲戒処分に関する運用基準” (PDF). 特許庁 (2018年1月4日). 2018年10月31日閲覧。
  2. ^ 弁理士会
  3. ^ 知財ラボ 知財ランキング”. 特許庁ウェブサイト. 2021年7月14日閲覧。
  4. ^ 弁理士ナビ”. www.benrishi-navi.com. 2019年8月20日閲覧。
  5. ^ 『特許情報プラットフォーム』独立行政法人工業所有権情報・研修館、2018年https://www.j-platpat.inpit.go.jp/ 
  6. ^ 日本弁理士会会員の分布状況”. 日本弁理士会 (2021年9月30日). 2021年11月7日閲覧。
  7. ^ (PDF) 日本弁理士会会員の分布状況, 日本弁理士会, (2013年06月30日), http://www.jpaa.or.jp/about_us/information/pdf/kaiinbunpu.pdf 
  8. ^ 弁理士制度の見直しの方向性について” (pdf). 産業構造審議会 知的財産分科会弁理士制度小委員会. pp. 52-55 (2021年2月). 2021年7月14日閲覧。
  9. ^ 特許法等の一部を改正する法律(令和3年5月21日法律第42号)| 経済産業省 特許庁”. www.jpo.go.jp. 2021年11月7日閲覧。


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