海域公園
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/12 14:37 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動2017年(平成29年)3月7日現在、128の地区が指定され、指定に関係している公園は30箇所になり、また総面積は56,401.4ヘクタールに及ぶ。
特徴
海域公園は重要度によって、その中で2つの地区に分けられる。
- 海域公園地区は、特に海産資源、海底地形などにおいて特に重要とされている地区で、公園の根幹を成す。
- 普通地区は、その海域公園地区の周囲1kmを占める。風景、景観の維持を図ることが目的である。
いずれにしても、視覚に訴えた自然保護ではなく、資源を含めた自然の保護という観点に基づいた指定である。しかしながら、海域公園には自然保護と共に観光資源としての一面も持ち、串本海中公園を皮切りに全国の至る海域公園に海中展望塔など施設等々が設けられるようになり、これらも含めて「海域公園」と呼ぶのが一般的である。これらは観光振興に一役買っており、人が自然と触れあう公園としての役割を持っている地区もある。また、地区によっては自由に遊泳することも可能であり、スキューバダイビングなどのメッカとなっている所も見られる。
設置の背景
海域公園の前身である海中公園は、国際会議によって設置するように定められたものである。契機は1962年に実施された第1回世界国立公園会議であり、その中の議題の一つとして陸上だけでなく、海中の自然、景観についても提起され、それを保全すべく海中公園設置の検討を行うよう勧告を受けたことが始まりである。それを受けた日本政府は環境庁(現環境省)に国内でも特に海中景観が優れた地区の調査を行うことを命じ、その結果1970年(昭和45年)に自然公園法改正によって海中公園の設置を行うことになった。
その背景には急激な工業化、経済成長によって公害問題が深刻になりつつある中で、工場や住宅による汚水の流出、レジャー開発などの影響を受け、海中の環境が著しく悪化していながらも従来の公園制度では陸上しか対象となっていなかったことがある。
歴史
- 1962年(昭和37年):シアトルにて世界国立公園会議を開催。各国に海中公園の設置検討の勧告が出される。
- 1964年(昭和39年):日本自然保護協会が、海中公園調査委員会を設置し、委員会が設置に向けて動き出す。
- 1966年(昭和41年):厚生省(現厚生労働省)の中で海中公園の調査に関する経費を計上。設定に向け、有望な海域の調査を開始する。
- 1970年(昭和45年):自然公園法の一部を改正する法律案が可決。同年5月16日に公布、施行される。同年7月に日本全国で串本、天草、日南海岸など10箇所の海中公園を設置。
- 2009年(平成21年5月):自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案が可決。同年6月3日に公布され、翌2010年4月1日に施行される。
- 2010年(平成22年4月):自然公園法が改正され、従来の「海中公園地区」は「海域公園地区」と改められ、法改正前に現に指定されていた海中公園地区は、改正後の法規定により指定された海域公園地区とみなされる。
開発時の制約
海域公園は、国立公園または国定公園の海域の景観を維持することが目的であり、そのために指定された地域では開発に制約が掛かる。たとえば、以下の行動を行う際には環境大臣(国定公園の場合都道府県知事)の許可を得なければならない。
- 工作物の新築、増改築
- 鉱物の採掘、土砂の採取
- 広告物等の表示
- 海面の埋め立て、干拓
- 海底の形状の変更
- 環境大臣が指定した熱帯魚、サンゴなどの捕獲、損傷、殺傷
- 物の繋留
- 関連施設からの汚水の排出
- 環境大臣が指定する区域、期間内における動力船の使用
- 1 海域公園とは
- 2 海域公園の概要
- 3 日本国内の海域公園
- 4 関連項目
- 海域公園のページへのリンク