ユニデンホールディングス
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ユニデンホールディングス事件(東京地裁平成28年7月20日)
元従業員との間で、雇用条件通知書に記載された退職金の支払いと、同社の行った給与減額の有効性について争われ、いずれについても同社の主張が退けられて敗訴した事案である。
元従業員である原告が提出した同社の雇用条件通知書には、代表者名を記名の上で総務部長印が押印されていた。同社は、代表者名に押印するのは代表印であって総務部長印を押印することはありえない、総務部長には採用の権限がなく本来雇用条件通知書に押印する会社としての正式な印鑑は角印である、として本件雇用条件通知書の有効性についての「二段の推定」が成立しないと争った。しかし、実際には同社の社会保険手続等の書類において代表者名に総務部長印を押印している例が多数あり、また、同社が他の従業員に対して発行した雇用条件通知書についても総務部長印が押印されている例が複数あることが判明し、同社の主張は退けられた。
同社の賃金規定では賃金の減額について「担当職務の見直しに合わせ、給与の見直しを行う場合がある。見直し幅は、都度決定する」と定めており、この規定に基づいて「毎年全社員の給与をゼロベースで見直す」という社内制度の下で従業員の給与を減額した。東京地裁は、「使用者(会社)が、個々の労働者の同意を得ることなく賃金減額を実施した場合において、当該減額が就業規則上の賃金減額規定に基づくものと主張する場合、賃金請求権が、労働者にとって最も重要な労働契約上の権利であることにかんがみれば、当該賃金減額規定が、減額事由、減額方法、減額幅等の点において、基準としての一定の明確性を有するものでなければ、そもそも個別の賃金減額の根拠たり得ないものと解するのが相当である。」と、賃金減額の根拠となる規定の基準を示したうえで、「当該規定では、減額方法、減額幅等の基準が示されているということはできない。」とし、本件規定に基づいて同社が行った賃金減額は無効であると判示した。
二段の推定について争われた珍しい判例であるとともに、賃金減額の根拠規定に求められる要件を判示した点で画期的であるといえる。[11][12]
注釈
- ^ 同氏の退職とともにfacebookサイトは閉鎖されている。
出典
- ^ a b 「代表取締役の異動(辞任)に関するお知らせ」
- ^ 「過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び決算短信等の訂正に関するお知らせ」
- ^ 「第三者機関の調査報告書の公表に関するお知らせ」
- ^ 代表取締役の異動(退任)に関するお知らせ
- ^ 怪物経営者 成熟と老害のはざま ユニデンHD藤本会長 大リストラで会社の規模は10分の1に
- ^ 新社長就任に関するお知らせ
- ^ 代表取締役の異動及び新社長就任に関するお知らせ
- ^ Valencia 株式会社による当社株式に対する公開買付けの結果並びに親会社、主要株主である筆頭株主及び主要株主の異動に関するお知らせ
- ^ 株式併合並びに単元株式数の定めの廃止及び定款の一部変更に係る株主総会承認決議に関するお知らせ
- ^ 日経Web版「履歴書の写真、採用に影響する?」
- ^ 労働経済判例速報68巻8号(日本経済団体連合会事務局編)
- ^ 労働判例 2017/7/1 No.1156
- ^ 【香港】1万7千人がスト、ユニデンの深圳工場
- ^ a b ユニデン藤本会長「年々規模縮小」でも続く”独裁の半世紀”(「ZAITEN」2016年11月号(新田龍))
- ^ a b c ユニデン藤本会長「年々規模縮小」でも続く”独裁の半世紀”(「ZAITEN」2016年11月号(新田龍))
- ^ 代表取締役の異動に関するお知らせ(公式サイトIR情報)
- ^ ユニデンホールディングス株式会社第54期「有価証券報告書」(公式サイトIR情報)
- 1 ユニデンホールディングスとは
- 2 ユニデンホールディングスの概要
- 3 ユニデンホールディングス事件(東京地裁平成28年7月20日)
- 4 備考
- 5 関連項目
- ユニデンホールディングスのページへのリンク