ビーチクラフト モデル 34
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/28 16:23 UTC 版)
設計と開発
この機種は首車輪式降着装置を持つ4発の高翼単葉機であり、元々は14人乗り(横3列座席と側面に6名分の追加座席)として設計された[2]が、最終的には20名乗りに改装された[1]。キャビン内に貨物を搭載する場合には側面の「ベンチシート」は折り畳むことができた。各座席用の荷物収容スペースは、座席頭上の胴体側に据え付けられていた。大きな貨物を搭載するための貨物ドアが操縦席の近くに設けられていた[3]。
設計上の特異な点はV字型尾翼と通称「ツイン・クワッド」の元となったエンジン配置であった。4基のエンジンは主翼内に置かれ、片側2基のエンジンがクラッチと共有のギアボックスで結ばれて1つのプロペラを駆動した[1]。エンジンは8気筒空冷水平対向エンジンのライカミング GSO-580s[1](GSOはGeared Supercharged and Opposedを示し、共用ギアボックスに加え各エンジンに減速ギアが組み込まれていた)。このエンジンは400 馬力/3,300 rpmを発生した。ツイン・クワッドの尾翼は通常の航空機で見られる垂直尾翼と1対の水平尾翼とは異なり、当時のビーチ社の新型機モデル 35 ボナンザに取り付けられていた尾翼と似たV字型尾翼であった[1]。V字型尾翼は双発のビーチ AT-10に取り付けられて飛行テストが実施された[3]。
より一般的ではあるがもう一つの設計上の特徴は、主車輪が出ない場合の着陸での損傷を最小限にとどめるために胴体下面に丈夫な埋め込み式の胴体キールとソリを備えていることであった[4]。先端から先端までの翼幅は70 ft (21 m)、胴体長は53 ft (16 m)[5]、地上からV字型尾翼先端までの高さはほぼ18 ft (5.5 m)、設計上の最大離陸重量(MTOW)は20,000 lbs[3]というもので、モデル 34は現在に至るまでビーチクラフト機で最大級、最重量級の民間機であり[6]、より小型の軍用機であるXA-38 グリズリーが重量で上回るだけであった。
- ^ a b c d e Phillips 1992
- ^ Neal 1970, pp. 14–15.
- ^ a b c d Neal 1970. p. 15.
- ^ Neal 1970, pp. 16–17.
- ^ "List of Beechcraft Models with basic specifications." www.aerofiles.com. Retrieved: November 9, 2007.
- ^ The ビーチクラフト 1900 has a longer fuselage but shorter wingspan, with a significantly lower MTOW, and the ビーチクラフト スターシップ is smaller in all dimensions and also has a significantly lower MTOW.
- ^ “Wings Over Kansas List of Aviation Anniversaries”. 2007年11月9日閲覧。
- ^ Simpson 1991, p. 42.
- ^ Neal 1970, p. 17.
- ^ a b Neal 1970, p. 64.
- ^ Illustrated Encyclopedia of Aircraft 1985, p. 534.
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