ウィンチェスター M69 ウィンチェスター M69の概要

ウィンチェスター M69

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/15 04:46 UTC 版)

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Winchester Model 69
M69初期型。照星に覆いが付いている。
種類 民生用小銃
原開発国  アメリカ
開発史
開発者 Frank F. Burton
開発期間 1934年
製造業者 ウィンチェスター・リピーティングアームズ
製造期間 1935年 - 1963年
製造数 355,363丁
派生型 69A, 697
諸元
重量 5 lb (2.3 kg)程度

弾丸 .22LR, .22ロング英語版, .22ショート英語版
作動方式 ボルトアクション
初速 1,280 ft/s (390 m/s)
装填方式 5発/10発着脱式箱型弾倉ないし単発
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設計

1930年代初頭、ウィンチェスター社は新製品としてM56ライフルおよびM57ライフルを発表したが、いずれも商業的な成功は収められなかった。M56とM57の22 in (560 mm)銃身を短いと感じるユーザーが多かったこと、および高価過ぎたことが失敗の原因であるとされた[1]。M69はこれらの製品を代替するべく、より長銃身(25 in (640 mm))かつ安価なライフルとして設計された。1934年、ウィンチェスター社員のフランク・F・バートン(Frank F. Burton)によって設計され[2]、1935年1月1日に商品カタログへ掲載された。最初の出荷が行われたのは同年3月であった。

M69初期型の機関部。コッキングピースにはSAFE(安全)とFIRE(発砲)の文字があり、照準器の下方に分解用ネジがわずかに見えている。側面にあるのはマガジンリリースボタンである。

M69の撃針はボルトの閉鎖と共にコッキングされる。安全装置はボルト後端にあり、これをひねるとコッキングピースが固定される。こうした構造はロシア製のモシン・ナガン小銃と類似している。弾倉はM52、M56、M57、M75[3]と共通の5連発着脱式箱型弾倉が標準的に付属したほか、オプションとして10連発弾倉や単発用アダプタが存在した。マガジンリリースボタンは銃床の左側面にある。銃床にはクルミ材が使用され、表面加工などは通常施されなかった。テイクダウン設計が取り入れられており、硬貨などを使って銃床下のネジを外すことで簡単に銃身および機関部を取り外すことができた。照星の覆いは取り外しが可能である。照門には銃身上に取り付ける調整可能なバックホーン・サイト、機関部上に取り付けるピープ・サイトのいずれかを取り付けることができた。また、全てのモデルでバットプレートは合成樹脂製だった。

1935年8月、カナダの輸入規制に適合させるべくボルトに反発式の撃針を組み込むように再設計が施された。1937年10月、銃床が再設計され、その中にテイクダウン用のねじ回しが格納できるようになった。この際に形状も変更されている[4]

1937年、ウィンチェスター社から最初の光学照準器が発表された。倍率2.75倍のものと倍率5倍のものがあり、2.75倍のモデルにはクロスヘアのほかに垂直の照準ポストが描かれたものもあった。これらは小銃とは別売りで、銃身と一体型のマウントに取り付けることができた[4]

M69A

1937年11月、M69の大幅な設計変更が発表された。ボルトはコッキングされても開放状態を維持するようになり、安全装置はスライドレバー式に改められた上で機関部右側面に配置された。これによりコッキングピースの後方も小型化されている。銃身も元々はやや先細りになっていたものが一定の太さとなり、ライフル全体の重量はわずかに増加した[4]。トリガー機構には調整ネジが追加され、トリガープルを変更できるようになった。これらの改良を加えたモデルはM69Aと呼ばれた。

元々、M69は狩猟やプリンキング(Plinking, 趣味の範囲での射撃)ではなく、純粋な射撃競技での使用を想定したライフルであった。1940年12月には最高級製品のM52と中価格製品のM75のさらに中間を埋める製品として、M69にターゲット・モデルとマッチ・モデルのバリエーションが発表された[4]。これらは2種ともM69の標準モデルより大型の銃床を備えており、.22LRのみ使用可能だった。ターゲット・モデルはウィンチェスター製#80アパーチャ・サイトを搭載し、またマッチ・モデルはライマン製#57Eピープサイトを搭載していた。いずれも照星に覆いがあり、負革を備えていた。負革は当初25mm幅だったが、1947年には32mm幅に改められている。


  1. ^ Henshaw 1993, p. 106.
  2. ^ Houze, p. 168.
  3. ^ M75は1938年発表。
  4. ^ a b c d Henshaw 1993, p. 107.
  5. ^ Henshaw 1993, pp. 117-118.
  6. ^ Fjestad 2009, pp. 2029-2030.


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