とつげき!人間戦車 とつげき!人間戦車の概要

とつげき!人間戦車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/26 13:35 UTC 版)

とつげき!人間戦車
ジャンル ウォー・シミュレーションゲーム
開発元 焼肉万歳(同人サークル)
発売元 焼肉万歳
1作目 とつげき!人間戦車
(2008年8月16日)
最新作 とつげき!人間戦車 LIMITED OPERATIONS
(2009年12月30日)
公式サイト 焼肉万歳
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ラインナップは以下のとおり。

概要

現代日本に似た架空の世界における「ジャポン帝国」と「ジャポン王国」との戦争を舞台として、そこで主力兵器として使われる人型兵器「人間戦車」と、それを率いる部隊指揮官たちの活躍をコミカルに描く。プレイヤーは作品毎に決められた部隊の指揮官として、敵の人間戦車部隊を撃破しながら物語を進める。駒である人間戦車たちは敵の攻撃に脆く、視界外の敵は見えないので、いかに索敵を進めて先制攻撃を加えるかが鍵となる。こうした特徴を、公式には「使い捨て戦術シミュレーション」と称する。シリーズを通して世界観を共有し一部に前作と同じもしくは関係のあるキャラクターが登場するなど連続性はあるが、それぞれ単体で遊ぶことができる。また、全作品とも物語や最終局面に分岐のある「マルチストーリー/マルチエンディング」を採用している。

評価

このシリーズは、かわいらしい外見のキャラクターを「使い捨てる(自爆させる)」という着想を特徴として、しばしば注目される。第1作『とつげき!人間戦車』は、4Gamer.netの「インディーズゲームの小部屋」Room#61[1]に掲載され、DLsite.comでは特集ページ[2]が組まれたほか、ギュッと!の全年齢向け「やりこみゲーム特集」[3]にて17本中の一つとして挙げられた。第2作『とつげき!人間戦車 ALTeR』は、サンデー社月刊「パソコンパラダイス」2009年5月号に掲載、DiGiket.comの体験版特集[4]にて10本中の一つとして挙げられた。全体の売上げは明らかでないが、DLsite.comの一般向け同人ソフト年間ランキングでは2009年に第1作が8位と第2作が13位[5]、2010年に第1作が23位と第2作が36位[6]をそれぞれ記録した。

シリーズ共通のシステム

ゲームの流れ

このシリーズは共通して、シナリオごとに「第x話」という形で区切られる。各話は、以下の流れで進行する。[7]

  1. オープニング‐各話開始時に必ずオープニング動画が流れる(スキップ可能)。アバンタイトル風の演出が入る場合もある。
  2. タイトルアイキャッチ‐そのステージで描かれる物語のサブタイトルが示される。
  3. シナリオAパート‐各話で戦闘に到るまでの物語を、キャラクターによってアドベンチャーゲーム風に描く。
  4. 出撃準備‐戦場(マップ)を確認し、人間戦車(ユニット)を配置し、「出撃」を選択すると戦闘が開始される。
  5. 戦術画面(バトルパート)‐実際にユニットを動かし、敵と戦う。戦闘結果によって、以後のシナリオが変化する場合もある。
  6. シナリオBパート‐戦闘終結後の物語を、Aパートと同様に描く。
  7. エンディング‐各話終了時に必ずエンディング動画が流れる(スキップ可能)。
  8. インターミッション[8]‐各種情報を確認したり、システム設定を行う。「次のシナリオへ」を選ぶと、次のステージへ移行する。

戦闘

このシリーズの戦闘は、正八角形のマスが縦・横に並ぶ盤上で行われる。[9]シナリオ毎にマスの配列によって地形が表現され、マスそのものには移動・防御などに影響を与える地形効果は無い。プレイヤーは、「出撃準備」で所有する人間戦車(ユニット)を指定範囲内に規定の上限数まで任意に配置でき、「出撃」を選ぶと戦闘が開始される。第1作と第2作では、ユニットを盤上に配置する際に「プラグイン」という追加装備でユニットの性能を向上させたり特殊能力を付与することもできる。

戦闘は、敵味方問わず時間経過に従い行動可能となったユニットを動かす「セミリアルタイム方式」[1]で進行する。時間経過は画面左上の時計に大まかに示され、「通信速度」の能力値が高いユニットほど順番が早く、行動機会も多い。行動可能を示す「CONNECT」と表示されたユニットを選択すると時間経過が一時停止して当該ユニットの行動を選択できる。また、CONNECT表示の無い味方ユニットや視界内の敵ユニットを選択すると、それらの能力を確認できる。ユニットの行動には、以下の5つがある。

攻撃
各車両固有の武器で対象を攻撃する。攻撃可能範囲がオレンジ色で示され、任意のマス(自爆攻撃は自爆するユニットの居るマス)を指定すると攻撃を実行する。広範囲を攻撃できる場合は、攻撃対象範囲が赤く示される。マスを対象に攻撃するので、ユニットの居ないマスや索敵していない「UNKWON」マス、さらには味方の居るマスも攻撃でき、攻撃は視界外の敵や味方にも当たる。攻撃は原則として必ず命中し(剣客/騎士車両並びにそれらと同等の「回避」プラグインを付与したユニットを除く)、被弾したユニットは必ず撃破(除去)される。但し、複数のマスにまたがる「大型車両」は1発では撃破されず、被弾した部分に「×」印が付き、マスを占有する全ての部分に被弾すると撃破される。いずれも攻撃が実行されると、攻撃側が発砲する様子と対象側の被弾する様子がアニメーションで演出される。
移動
各車両に規定された「移動力」の範囲で移動する。1移動力につき縦または横に1マス動ける計算で、緑色で示される範囲内から目的のマスを選ぶと移動が即座に完了する(取消不可)。目的地までの経路で、それまで未発見だった敵ユニットと隣接すると移動停止する。移動完了時にユニット毎の視界による索敵が実行され、移動後には攻撃・索敵・待機のいずれかを実行できる。
索敵
「UNKWON」と表記された視界外のマスを調べる。実行するユニットの索敵可能範囲が青く表示され、指定した「UNKWON」マスに敵ユニットが居れば発見できる。攻撃と同様に広範囲を索敵できる場合は対象範囲が紫色で示される。索敵したマスは、実行したユニットが次に行動できるまで視界と同じ扱いとなり、そこへ新たに進入した敵ユニットも発見できる。マスの索敵済み状態は、索敵を行ったユニットが次の行動順を迎えるか撃破されると「UNKWON」状態へ戻る。なお、既に索敵済みまたは視界内のマスも索敵でき、同じマスを重複して索敵しても効果は変わらないが、同じマスを索敵した片方のユニットが撃破されても、もう片方のユニットが健在であれば同マスの索敵済み状態は継続される。
待機
ユニットに何もさせず、時間を送る。
一部プラグインによる行動
「雛菊爆弾」なら「自爆」、「拡張レーダー」なら「索敵」など、出撃準備でユニットに一部のプラグインを装備させておくと、行動選択肢が増える。通常は操作画面の下方に攻撃・移動・索敵・待機の4つが所属陣営のシンボルを挟む形で左右に並ぶのに対し、この選択肢は陣営シンボルの上に左右にまたがる大きな選択肢として現われる。こうしたプラグインの多くは「使いきり」で、1度使うと無くなってしまう。「使いきり」でないものも、同一戦闘中に再使用はできない。

戦闘は、シナリオごとに定められた条件によって勝利と敗北が決まり、彼我の状況によって「大勝」「勝利」「敗北」「大敗」と評価される。勝敗にかかわらず第1作と第2作では敵の撃破数に応じて「物資」が得られ、第3作では得点が得られる。敗北または大敗すると、シナリオによってゲームオーバーになる場合とそのまま物語が進む場合がある。

ユニット

ユニットとなる人間戦車は機能・役割によって以下の様に大別される。それぞれの車種は、基本となる車両の他に、第1作と第2作では開発・生産によって、第3作ではシナリオによって、より高性能の戦車が登場する。[10]

指揮車両
隣接〜数マス先の敵を攻撃でき、さらに索敵もできる車両。設定上は戦域外の指揮官と通信できる唯一の車種とされ、戦闘には指揮車両を最低1両は出撃させねばならず、その全滅がシナリオの勝利/敗北条件である場合が多い。各作品にはへしこ、ルル、ほたるといった物語に関わる指揮車両が登場するが、それらを戦闘に参加させず一般の指揮車両で代用しても良いし、戦闘中にへしこ等が撃破されても他の指揮車両が健在なら敗北にはならない(へしこ等は設定上、完全には破壊されず、撃破されても次の戦闘に参加できる)。
強襲車両
手榴弾や爆弾で自爆攻撃を行う車両。「通信速度」が高く、攻撃を実行すると自らの撃破と引き換えに自分を中心とする一定範囲のマスを攻撃できる。
突撃車両
ライフルなどの銃器を持ち、数マス離れた敵を攻撃できる車両。第1作と第2作に於ける生産コストのバランスも良く、公式サイトによれば「戦場において主戦力となりうる車種」。但し、全車種中、唯一、索敵能力が無い。
砲撃車両
大砲やミサイルによる長射程攻撃ができる車両。反面、移動力が低く、敵の迎撃車両によって攻撃を無効化されることがある。
索敵車両
索敵性能の高い車両。視界外を広範囲に索敵できるが、攻撃射程が短いなど攻撃には向かない。
迎撃車両
第1作の途中から登場する車両。予め設定した範囲に対する砲撃車両からの攻撃を無効化する。「攻撃」の代わりに「迎撃」を行うので、敵を一切攻撃できない。
騎士/剣客車両
第1作の途中から登場する特殊な強襲車両。自爆せずに刀剣を用いて近接範囲攻撃を行う。また、あらゆる攻撃を無効化する「回避」スキルを持つ。スキルは自動的に発動する(以下のユニットも同様)。
狙撃車両
第2作の途中から登場する特殊な突撃車両。スナイパーライフルを持ち、騎士/剣客車両に攻撃を回避されない「必中」スキルを持つ。
制圧車両
第2作の途中から登場する特殊な砲撃車両。敵の人間戦車に装着された全てのプラグインを無効化する「破壊」スキルを持つ。

フリーミッション

シリーズ各作品とも、インターミッションに於いて既に終えた過去の戦闘に再び挑むことができる。また、特定の条件を満たすと、本編とは別の特別なフリーミッションが発生する場合もある。フリーミッションは、第1作と第2作では「フリーミッション」一覧から選択でき、人間戦車やプラグインの開発・生産に必要な物資を得られる。第3作では「ミッションリスト」一覧から選択するか画面に表示される地図上で色のついた地点を選択すると遊ぶことができ、周回を重ねずに高ランク獲得やリミットクリアを試みることができる。

セーブ

このシリーズのセーブ機能は共通して、いつでもマウスの右クリックで呼び出せるシステムメニューから任意に記録できる場所が4箇所と、インターミッション毎に自動記録される「オートセーブ」、それに戦闘中に「中断」を選ぶと記録される中断データの合計6つの記録を保持できる。

クリアデータ

シリーズ各作品とも、最終話をクリアすると、「クリアデータ」を記録できる。これを読み込むと「x周目」として再び最初から遊ぶことができ、既に見たのと異なる経路でシナリオを進めたり、クリア後に現われる新たなフリーミッションを遊ぶことができる。なお、第1作・第2作では前回の開発状況や所有している人間戦車とプラグイン、所有物資を引き継ぐことができる。

開発・生産・処分

第1作と第2作の共通要素として、人間戦車とプラグインの「開発」「生産」「処分」がある。

開発は「インターミッション」でのみ実行でき、人間戦車とプラグインそれぞれの候補から選んで実行する。開発には「物資」など規定の材料が必要で、候補は前代の人間戦車を生産するなど条件を満たすと増える。新型の人間戦車やプラグインは、まず開発しなければ生産できない。開発を指示した人間戦車/プラグインは、次の「出撃準備」時に完成する。

生産と処分はどちらも「出撃準備」と「インターミッション」時に実行でき、物資を消費して任意の人間戦車やプラグインを生産、もしくは不要な人間戦車やプラグインを処分して物資に変えることができる。


  1. ^ a b インディーズゲームの小部屋:Room#61「とつげき!人間戦車」”. 4Gamer.net(Aetas株式会社) (2008年10月15日). 2011年3月30日閲覧。
  2. ^ 特集記事「引き金を引け!敵を殲滅せよ」とつげき!人間戦車”. DLsite.com (2009年4月11日). 2011年3月30日閲覧。
  3. ^ やりこみゲーム特集”. ギュッと!(株式会社JACK IN THE BOX) (2010年5月5日). 2011年3月30日閲覧。
  4. ^ DiGiket.com 体験版 特集”. DiGiket.com(株式会社アットリンクス) (2011年2月12日). 2012年5月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年3月30日閲覧。
  5. ^ 2009年ランキング”. DLsite.com (2010年1月17日). 2011年3月30日閲覧。
  6. ^ 2010年ランキング”. DLsite.com (2011年1月30日). 2011年3月30日閲覧。
  7. ^ とつげき!人間戦車 ゲームの流れ”. 焼肉万歳. 2011年4月1日閲覧。
    とつげき!人間戦車ALTeR システム”. 焼肉万歳. 2011年4月1日閲覧。
    とつげき!人間戦車LIMITED OPERATIONS システム”. 焼肉万歳. 2011年4月1日閲覧。
  8. ^ とつげき!人間戦車 インターミッション”. 焼肉万歳. 2011年4月1日閲覧。
    とつげき!人間戦車ALTeR インターミッション”. 焼肉万歳. 2011年4月1日閲覧。
    とつげき!人間戦車LIMITED OPERATIONS インターミッション”. 焼肉万歳. 2011年4月1日閲覧。
  9. ^ とつげき!人間戦車 戦術画面(バトルパート)”. 焼肉万歳. 2011年4月1日閲覧。
    とつげき!人間戦車ALTeR 戦術画面(バトルパート)”. 焼肉万歳. 2011年4月1日閲覧。
    とつげき!人間戦車LIMITED OPERATIONS 戦術画面”. 焼肉万歳. 2011年4月1日閲覧。
  10. ^ とつげき!人間戦車 人間戦車”. 焼肉万歳. 2011年4月1日閲覧。
    とつげき!人間戦車ALTeR 人間戦車(ユニット)”. 焼肉万歳. 2011年4月1日閲覧。
    とつげき!人間戦車LIMITED OPERATIONS 人間戦車(ユニット)”. 焼肉万歳. 2011年4月1日閲覧。
  11. ^ 第1作・第2作の作中では「20年前」と語られるが、第3作では「60年前」とされており、本項では後者に従った。
  12. ^ とつげき!人間戦車 アルタパッチ”. 焼肉万歳. 2011年4月6日閲覧。
  13. ^ Diary(焼肉万歳)”. 焼肉万歳 (2008年12月18日). 2011年4月6日閲覧。
  14. ^ とつげき!人間戦車アルタ 富士樹海大洞穴パッチ 青・黒・白”. 焼肉万歳. 2011年4月6日閲覧。
  15. ^ Dairy(焼肉万歳)”. 焼肉万歳 (2010年1月4日). 2011年4月9日閲覧。ゲームフォルダの各ファイル名にも使われ、ゲーム内におけるタイトルコールにも「ろ!」とだけ言うものがある。
  16. ^ とつげき!人間戦車 サイクロペディア”. 焼肉万歳. 2011年3月31日閲覧。
  17. ^ SOUNDS OF THE HUMAN TANKS”. 焼肉万歳. 2011年3月31日閲覧。





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