NMR分光法における利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/21 01:25 UTC 版)
「テトラメチルシラン」の記事における「NMR分光法における利用」の解説
1H、13C、29Siを用いる核磁気共鳴分光法(NMR分光法)において、テトラメチルシランは化学シフトの内部基準物質として利用される。テトラメチルシラン分子に含まれる12個の水素原子は全て等価であるため、1H NMRスペクトルを測定すると、シングレット(ピークが1本)のグラフが得られる。このシングレットを「δ 0.0」と定義することによって、δ 0.0と他のピークとの相対的比較により、他の化学シフトを表現することができる。 同様に、テトラメチルシラン分子に含まれる4個の炭素原子はすべて等価であるため、13C NMRスペクトルにおいてもテトラメチルシランはシングレットのピークが現れる。このピークは容易に特定することができるため、通常はこのピークを13C NMRスペクトルの「δ 0.0」と定義して、核磁気共鳴分光法による分析で用いられる。 テトラメチルシランのケイ素原子は炭素原子よりも電気陰性度が低いため、水素原子・炭素原子を強く遮蔽化し低周波数側(δ値が負となる方向)にピークをシフトさせる。このことから、ヒドリド種や環電流により強く遮蔽化された水素原子・炭素原子などを除けば、一般に1Hや13C NMRでピークが現れるのはδ0.0より左側(δ値が正となる方向)となる。従って、テトラメチルシランのピークが試料のピークと干渉することはない。またこの性質のため、取得されたグラフからδ0.0のピークを容易に特定することができる。 テトラメチルシランは高い揮発性を有するため、NMR分光法で分析を行った後の試料は溶媒を留去することにより、簡単に回収できる。
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