釧路市の事例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 09:21 UTC 版)
釧路市の阿寒湖温泉は、2002年(平成14年)の169.5万人をピークとして観光入込客数が減少し、2013年(平成25年)度には96.7万人とピーク時からおよそ4割減少した。そこで同年、阿寒湖温泉旅館組合は臨時総会で入湯税引き上げを決議し、同組合の事務局を務める阿寒観光協会まちづくり推進機構は独自財源研究会を設立して、公益財団法人日本交通公社観光政策研究部と共同で入湯税に関するアンケート調査を、阿寒湖温泉来訪者に対して実施した。その結果、来訪者が(阿寒湖温泉に対し)金銭面で協力することについて、「使途が明確になっていれば、積極的に協力したい」(50.7%)、「これからは地元だけではなく、来訪客も積極的に協力したい」(18.5%)という前向きな回答が寄せられ、入湯税の追加負担額として「151 - 200円」(30.1%)、「101 - 150円」(21.6%)が多く挙げられた。 この調査結果を踏まえ、阿寒湖温泉は釧路市に対し超過課税を要望し、市は2015年(平成27年)度からの10年間の期限付きで入湯税を250円(100円上乗せ)とすることを議決した。先のアンケートで「使途が明確になっていれば」という回答が過半数を超えたことを踏まえ、上乗せ徴収分は「釧路市観光振興臨時基金」として積み立て、使途を観光振興に限定し、市と地域団体との間で事業をすり合わせた上で、補助金として拠出することになった。 入湯税の超過課税による宿泊者数の減少も懸念されたが、超過課税実施前の2014年(平成26年)度と実施後の2016年(平成28年)度を比較すると、宿泊者数は129万人から145万人(1.12倍)、入湯税収入は108百万円から157百万円(1.45倍)に増加した。 釧路市の例では入湯税を引き上げても宿泊者数は増加したが、標準税率より低い100円に設定していた新潟県十日町市が標準税率と同じ150円に引き上げたところ、宿泊者数は引き上げ前に比べて4万5千人減少し、入湯税収入は1.69倍増加した。
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