誤解されたイメージ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 04:43 UTC 版)
ダイソン球(Dyson sphere)は現在では恒星全体を覆う球殻状のものとして世間で認知されているが、ダイソンが1960年に論文で書いた際はそのようなものは想定していなかった。初出の論文では「an artificial biosphere which completely surrounds its parent star(その親星を完全に囲んだ人工生物圏)」と書いているが、これは「biosphere(生物圏)」であり 「sphere(球)」ではなかった 。 ダイソン自身は自身の論文に対する反応への返信として以下のように書いている。 「A solid shell or ring surrounding a star is mechanically impossible. The form of ‘biosphere’ which I envisaged consists of a loose collection or swarm of objects traveling on independent orbits around the star.」 日本語訳:「星を囲む固体の球殻またはリングは、機械的に不可能である。私が想定していた「生物圏(biosphere)」の形状は、星の周りの独立した軌道を周回する物体の緩やかな集団または群れで構成されている」。 このような形状は、現在ダイソン・スウォームと呼ばれているものに近い。 2000年ごろに行われたダイソンへのインタビューでは、自身は生物圏(biosphere) と書いたが、SF作家達はそれを球殻(sphere)と捉えたのだと述べている。 このような経緯もあり、ダイソンの提唱した恒星のエネルギーを活用する人工生物圏(artificial biosphere)は、現在では恒星を丸ごと包み込むダイソン球(Dyson sphere)として認知されている。
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