第一部 ラウール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/17 04:06 UTC 版)
「ラウール・ド・カンブレー」の記事における「第一部 ラウール」の解説
ラウールの父は、ラウールの誕生を前にして逝去してしまった。父の持つカンブレーの封土は、そのままラウールに相続されるはずであった。しかし、ラウールが三歳の時、王ルイは一方的にカンブレーの地と未亡人アライスをギブアンという臣下に与えると宣言する。母アライスは激怒したが、カンブレーの封土は、ラウールが成人したら返還するという約束のもと、ギブアンの手に渡された。 ラウールは屈強な青年に成長した。彼は王ルイにより騎士に叙され、デュランダルにも匹敵する名剣と、ローランその人により倒された異教徒の兜とを授けられた。ラウールは、親しい友人であったベルニエールを自らの従騎士に任命した。 しかしラウールが成人したにも関わらず、ギブアンは一向にカンブレーの地を手放そうとしない。憤慨したラウールは王ルイに直訴するものの、ルイはギブアンから土地を取り上げようとはせず、代わりに次に領主が逝去した封土をラウールに与えることを約束したのであった。 次に領主が逝去した封土、それは不幸にもヴェルマンドワの地、すなわち友ベルニエールの家門の封土であった。王ルイの公認を後ろ盾に、ラウールは武力でヴェルマンドワの地を自らのものにしようと決意する。ラウールは随所で略奪し、オリニーの街に差し掛かった時、その地に立つ女子修道院に押し入ると、無残にも火を放ち道女たちを全て焼き尽くしたのであった。その中には、ラウールの最も忠実な臣下であるベルニエールの母親が含まれていたにも関わらず。 変わり果てた母の姿を見たベルニエールは激憤する。この瞬間、二人の亀裂は決定的となった。対立は次第に激化し、ついに二人は武力で衝突する。神の加護によってついにラウールは討たれた。カンブレー伯の家督はラウールの弟ゴーティエに託された。ゴーティエはいつの日か、ベルニエールに復讐を果たすことを誓った。
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