歴史と考察
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/07 09:48 UTC 版)
新石器時代から世界の各地で迷宮図形は描かれており、クレタ型迷宮は古典的迷宮の特徴を兼ね揃えた代表的なものである。 『迷路研究』を著したカール・ケレイニーによれば、迷宮図形は螺旋模様が発展したものであり、螺旋や迷宮図形は地下世界の地図であり、死の象徴であるといい、古代人にとって、迷宮に入ることは死を意味し、迷宮から出ることは転生を意味するという。 古代から現代に至るまで、迷宮は様々な場面で実用的に用いられた。古代エジプトなどの防御施設では、中央部に接近するためには一本道の小路を折り返して辿らなければならない構造が施されているものがあり、防衛用途としての迷宮構造と考えられている。また、イギリスでは墓所やグラストンベリー・トーのような巡礼地の入口の前に迷宮を設け、入場希望者に小路を辿らせることで入場者数を制限していた。迷宮は魔除けにも利用されていた。古代の中国では悪魔は直線にしか飛べないと考えられており、外から入る悪魔を妨害するために住居や都市の構造に迷宮が用いられた。ヨーロッパでは牛舎の入り口や指輪、紋章などに迷宮図形そのものを魔除けとして施していた。
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