揚屋差紙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 00:39 UTC 版)
客が揚屋である太夫を名指しで招こうとするとき、揚屋はその太夫の名を伝票に記入し、これをその太夫のいる妓楼にもたせてやると、その娼家ではこれとひきかえに、その遊女を、その揚屋におくる。その伝票、公翰を揚屋差紙(あげやさしがみ)といった。 「吉原雑話」さし紙の条に示されているのをあげれば、 一貴殿御かかへの長門どの御ひまに候はば 御かり申たく候御客の儀は慥成る御方にて 御法度の御客にては無御座候為念如件 月 日 揚屋清十郎(印) 月行事善右衛門(印) 三浦屋四郎左衛門殿 人気の高い太夫になれば、この名指しの客が多いから、とつぜん揚屋に行っても会えないことがある。そこで有名な太夫はあらかじめ日を決めて、約束をして申し込んだ。これを兼約といった。 なお、京阪ではのちに公許、非公許ともに新たに遊女、芸子をかかえたときに、茶屋あるいは呼び屋へ配った報帖を、差紙といった。たとえば、 本素人出 千種屋 天 神 八重梅 では、天神はその遊女の妓品であり、千草屋はその置屋すなわち妓楼の名であり、八重梅はその遊女の名である。肩書きに本素人出とあるのはその遊女の前身であり、しかしこれは虚々実々というべきであり、客の心をそそるためであったという。
※この「揚屋差紙」の解説は、「揚屋 (遊廓)」の解説の一部です。
「揚屋差紙」を含む「揚屋 (遊廓)」の記事については、「揚屋 (遊廓)」の概要を参照ください。
揚屋差紙と同じ種類の言葉
- 揚屋差紙のページへのリンク