完全競争との比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/03 12:22 UTC 版)
独占市場の方が完全競争下よりも価格が高くなり、出荷数が減少する事を、適切な条件下で示す。 完全競争下では、相手企業からシェアを奪う為に値下げ合戦がおこるので、損がでないぎりぎりの価格まで商品の値段が下がり、そこで均衡する。したがって完全競争下で各企業が出荷した商品数をQcとし、そのときの価格をpc=p(Qc)とすると、総収入pcQcが総費用Cc=C(Qc)と等しい。 完全競争下ではいかなる企業も市場支配力をもたないので、均衡点では各企業が出荷した商品数は全商品数からみると無視できるほど小さく、従って各企業が出荷した商品数が価格に与える影響も無視できるほど小さい。従ってdp/dQ=0とみなしてよい。 以上の議論により、完全競争化の均衡状態での限界費用MCcは M C c = d C d Q | Q = Q c = d ( p Q ) d Q | Q = Q c = p c {\displaystyle MC_{c}=\left.{\frac {dC}{dQ}}\right|_{Q=Q_{c}}=\left.{\frac {d(pQ)}{dQ}}\right|_{Q=Q_{c}}=p_{c}} である。すなわち、完全競争化では価格pcは限界費用MCcと等しい。 一方独占市場での価格pm、出荷数Qm=Q(pm)、および限界費用MCmは M C m = ( d C d Q | Q = Q m ) ⋅ Q m + p m {\displaystyle MC_{m}=\left(\left.{\frac {dC}{dQ}}\right|_{Q=Q_{m}}\right)\cdot Q_{m}+p_{m}} を満たしていた。 今Q個の商品を作る総費用Cが、初期費用C0に一個あたりの費用cを加えた値C=cQ+C0であった場合、限界費用は MCm=MCc=c を満たす。 従って独占競争下での価格 p m = c − ( d C d Q | Q = Q m ) ⋅ Q m {\displaystyle p_{m}=c-\left(\left.{\frac {dC}{dQ}}\right|_{Q=Q_{m}}\right)\cdot Q_{m}} は完全競争下での価格 p c = c {\displaystyle p_{c}=c} より ( d C d Q | Q = Q m ) ⋅ Q m {\displaystyle \left(\left.{\frac {dC}{dQ}}\right|_{Q=Q_{m}}\right)\cdot Q_{m}} だけ高くなる。(注:総費用Cは商品数Qに対して単調増大であるので、dC/dQは正である。従ってpmの方がpcより大きい。) また売れる商品数Q=Q(p)は価格に対して明らかに単調減少であるので、独占市場で出荷する商品数Qm=Q(pm)は完全競争下で出荷する商品数Qc=Q(pc)よりも少ない。
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