国家干渉としての共通農業政策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/05 02:19 UTC 版)
「共通農業政策」の記事における「国家干渉としての共通農業政策」の解説
共通農業政策に対するおもな批判のなかに、制度の理論面や実務面において保護貿易的であるという論調がある。干渉を受けない自由市場は経済資源をより効率的に分配するものであるという考え方があり、これを掲げる立場からするといかなる形態での政府介入を許容するものではない。「人為的に」形成された価格は必然的に生産においてゆがみをもたらすもので、たいていは過剰生産を起こすことになる。共通農業政策において設定された市場を上回る価格で穀物が農家から直接買い上げられ、その莫大な在庫で「穀物の山」ができあがるということがそのことを顕著に示している。補助金制度があるために、本来制度がなければ存続することができない小規模、前時代的、非効率的な農家の経営が維持できるのである。ゆがみのない経済モデルにおいては、市場における価格水準の決定は市場にまかせ、不経済な農業は排除するべきであるという考え方がある。制度が健全化されれば農業に浪費されてきた経済資源を社会基盤整備や教育、医療保障といったより生産的な分野に振り向けることができる。
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