受容美学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/02 00:02 UTC 版)
「ヴォルフガング・イーザー」の記事における「受容美学」の解説
イーザーは文学理論における受容美学(読者反応批評)の提唱者として知られる。この理論が胚胎したのは1967年のことである。当時コンスタンツ大学に勤務していたイーザーは、同僚のロベルト・ヤウスとともに、受容美学のコンスタンツ学派の祖とされている。 読者反応批評の目指すものの多くは、「どのように読者がテクストや作者に接触するのか」を記述することを目的にしているため、解釈学と重なっている。イーザーは最初の読書のプロセスとその後テクストが「全体」へと発展していくさまを描き、「いかにして読者とテクストとの対話が行われるか」を示した。 イーザーの受容美学理論によれば、「文学テクストはそのテクストが読まれるという行為において初めて効果を発揮する」という。この結果、イーザーの理論では、作者やテクストよりも読者が圧倒的に重視される。なぜなら、たしかに作者がテクストを創造するのであるが、読者がいなければテクストはその効果を発揮できないからである。イーザーはこうした読書行為の研究に加えて、ローマン・インガルデンの批判的読解を通じて、テクストの空所の理論や潜在的読者の理論も提唱している。これらの理論においては、テクストとは読者との対話の可能性をつくりだすものである。文学はコミュニケーションなのである。 イーザーは「あらゆる文化は有史以来文学を産み出している」と考え、文学についての特殊な行為とは何かという問いを立てた。1991年の著作『虚構のものと想像のものDas Fiktive und das Imaginäre』は、人類学的定数としての虚構的貧困Fiktionsbedürftigkeitを明らかにしている。
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