反衝損傷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/16 16:11 UTC 版)
反衝損傷 contrecoup injury は、反動損傷(英:counter blow、独:Gegenstoß, Gegenschlag)ともいい、間接性振盪のことである。頭蓋、胃、膀胱など、液体を含む器官に様々な外力による衝撃が作用した場合、直接外力が加わった部とは反対側の部が損傷を受けることをいう。頭部に強い外力が加わると、脳は強い力で一方へ進行し、頭蓋骨内面に衝突、その反動により反対方向へ引き戻され、対側の頭蓋骨に衝突して損傷を受ける。外力による直接的脳損傷(直撃損傷)に加え、加速された外力が頭部に加わると、外力と反対側の頭蓋骨と脳との間に間隙を生じ、陰圧が起こることにより脳組織に損傷が生じる。そのため反衝 contre-coup による損傷は、直撃 coup による損傷より大きくなるとされる。 脳室は脳脊髄液で満たされているため、衝撃を受けた瞬間に脳実質は頭蓋骨が移動する速度に遅れて移動し、打撃部位と反対側には陰圧が生じる。外力を受けた部位の直下周辺では圧縮、陽圧により損傷が生じるのに対し、対側では伸展、陰圧により頭蓋骨と脳との間に空洞化現象が生じ、瞬間的に真空に近い状態になる。この陰圧が気胞 cavity を形成するが、元の圧に戻り、気胞が崩壊する時に脳挫傷が生じる(cavitation theory; Gross)。このような状況で衝撃部の反対側に生じる脳挫傷が反衝損傷である。 後頭部に外力が作用した場合には、受傷直下に直撃損傷が生じることは少なく、反衝損傷による対側挫傷が生じやすい。主に前頭葉底面、他に側頭葉前部などが反衝損傷を受ける。
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